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「崩壊するアメリカ─トランプ大統領で世界は発狂する!?」 by limitlesslife
November 15, 2016, 2:29 pm
Filed under: トランプ(ドナルド、大統領)
「崩壊するアメリカ─トランプ大統領で世界は発狂する!?」

「強い」オバマが掴んだ 新潮流に乗っかるトランプ 横江公美 (政治アナリスト)

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7112

近著「崩壊するアメリカ─トランプ大統領で世界は発狂する!?」(ビジネス社)を書くに
あたって、多くの日本の出版社と話をしたが、ずっと噛み合わないものを感じていた。
あるベテラン編集者と、何時間も話して、その原因がやっとわかった。「日本では、オ
バマが〝弱い〟大統領だと思われている」。それは、米国の政治の奥の院とも言われる
シンクタンクで上級研究員としてオバマを見てきた私にとって大いなる驚きであった。

何しろ、オバマは、特に建国以来一度も皆保険制度を持ったことのない国に、「オバマ
ケア」を導入してしまった。これは、人気のあったビル・クリントンですら、政権初期
に諦めている。大統領が「God Bless America(米国に神のご加護を)」という言葉で演
説を締めるキリスト教色の強い米国で、同性婚を認めたことは神学論争の転換である。
業績で見ると、他の大統領の追随を許さない。

日本では、政権基盤を支持率で判断することが多いが、オバマの支持率は政権発足当時
に比べると格段に低い。しかも、日本では関係の深い国際政治についての報道が大半な
ので、南シナ海の島々の基地化を中国に許してしまったことや、クリミア半島を併合し
てしまったロシアに対しての無策ぶり、そしてISIS(イスラム国)の残酷なテロを見るに
つけ、オバマは弱いと言いたくなる気持ちもわかる。

また、日本と密接なTPP(環太平洋経済連携協定)交渉で、第1次オバマ政権に対し、妥結
のために必要なファストトラック権限を米議会がなかなか認めなかったことが繰り返し
報道されたことも弱い印象を与えたのだろう。しかしそれは、議会で多数を占める共和
党が、オバマの大統領再選を阻むための戦術であった。従来、共和党は自由貿易協定に
は賛成だ。

共和党はオバマが再選するとオバマケアは撤廃できなくなり、さらに手が付けられなく
なると踏んでいたのである。2012年の再選が決まった時の共和党の重鎮たちの落胆ぶり
はかなりのものであった。

米国政治には40年毎に支配政党が変化するという世代論がある。過去の40年間(ニクソ
ンからオバマ直前まで)を見ると、圧倒的に共和党が強く大統領選挙は7勝3敗、民主党
の大統領は、その後党大会に呼ばれないほど評価されていないカーターと、史上もっと
も共和党に近いと言われたビル・クリントンしかいない。だからこそ、共和党の重鎮た
ちはオバマ大統領の登場で潮目が変わったことを理解していたのである。

オバマは外交・安保でも、イランとキューバとの対話を再開し冷戦構造を終了させた。
さらに現職の大統領として初めて広島を訪れた。米国的「戦後レジーム」に区切りをつ
ける最後の砦が広島訪問だったのである。

経済、社会政策、そして外交・安保、つまり連邦政府の仕事全てで、オバマはプラット
フォームを変えてしまった。変化が大きいだけに不満の声が大きいのは当然だ。オバマ
は支持率の低下を恐れずに信念を押し切った。だからこそ「強い」大統領なのだ。

・トランプもヒラリーも「オバマ後」にいる

誰も予想しなかったトランプの予備選勝利、そして今後の本選挙の行く末は、米国に起
きている3つの大きな変化をおさえると納得するだろう。この変化は不可逆的なもので
あり、トランプであってもヒラリー・クリントンであっても「オバマ後」の政治的文脈
から離れることはできない。

3つの変化とは、人口動態とテクノロジーと国土安全保障である。

1つ目の人口動態の変化とは、移民が増え、ヒスパニックや黒人が選挙の帰趨を決める
一定の割合を占めるまでに定着したことだ。2000年には白人は約70%だったが、10年に
なると60%を少々超えるほどで、最近では60%を切っていると予測できる。マイノリティ
の合計が白人の割合を追い越す時代のカウントダウンが始まっている。オバマケアも同
性婚を認める動きもマイノリティの立場にたった対策である。ヒラリーが女性の代表で
あると訴え、トランプが共和党でありながら経済格差の是正を訴える背景は、まさにマ
イノリティ社会への移行なのだ。

2つ目のテクノロジーの進化とは、インターネットへの常時接続環境が整ったことだ。
この変化はテレビの浸透以来の大きな変化である。誰もがスマホで演説を見て、ソーシ
ャル・メディアで候補者について語り合うことができる。サンダースがいまだに大統領
戦から離脱しなくて済んでいるのは、ネットによる個人献金に支えられているからであ
る。トランプは、「リアリティ・ショー」さながらにテレビとネットを操っている。ツ
イッターでのつぶやきですら、ニュースになっている。

変化を理解し、その中枢にいるソーシャル・メディアを使いこなすミレニアル世代(198
0~2000年生まれ)を引きつけて初めて誕生した大統領がオバマだ。ヒラリーもトランプ
もその流れを踏襲しなければ大統領になることはできない。

ヒラリーが伸び悩んでいるのは、変化を理解していない古い世代に見られているからだ
。メール問題は、国家的機密がGメールから漏れたのではない。フリーメールだと、将
来情報公開されるべきメールが、開示される前に事業者によって削除されてしまう可能
性があることが問題になったのである。しかもヒラリーは、政治献金を受け取っている
ために、トランプとサンダースが唱えるウォール街への課税強化を主張できていない。

そして、3つ目の変化は、安全保障環境の変化である。11年9月11日の同時多発テロ以降
、米国は本土の安全保障を考えなければならない国になった。オバマは、米国は世界の
警察官ではないことを何度も繰り返し、本土の安全保障を重視することをはっきりと宣
言している。混乱するイラクとアフガニスタン、そして不気味に拡大するISIS。米国は
厭戦感に包まれ、テロの恐怖に怯えている。誰が大統領になっても、国土安全保障へと
軸足がうつることは変わらない。

トランプが、メキシコ国境に万里の長城をとか、ISISに対して強硬な発言を続けている
のは、一見、人種差別的、極右的に見えるが、国土安全保障を重視するレトリックだと
捉えると、人気の秘密がわかるだろう。

・「左」「右」が入れ違いレーガン主義が終わった

国内雇用のためにTPPに反対し、オバマでもできなかった超富裕層への課税強化を主張
するトランプは、経済政策で見れば、オバマよりも「左」に位置し、一方、ヒラリーは
「右」に位置することになるが、外交・安保においても左右の定義が変化している。

米国の政治に特化した新聞「ポリティコ」は、この様子を民主党のシンボルであるドン
キーと共和党の象が、右、左に迷って右往左往するイラストで取り上げている。従来で
あれば、外交・安保で「右」といえば軍事力で介入することを厭わないという立場であ
り、共和党の考えであった。民主党はどちらかというと、外交・安保以上に国内政策へ
の関心が高かった。

しかし、これからの米国は世界での役割に専念することはできない。国土安全保障と世
界への関与の割合が、争点として浮上している。ヒラリーとトランプの議論を見ると、
世界への関与がそれなりに必要と考えるのはヒラリーであり、国土安全保障の観点を特
に重視するのがトランプである。

この40年の米国の政治を牛耳ってきた共和党は「レーガン主義」で成り立ってきた。レ
ーガン主義とは、強い軍事力、小さな政府、キリスト教的価値観の3つからなるが、オ
バマ大統領の登場で、これらの価値は時代遅れになってしまった。「レーガン主義」は
共産主義陣営、社会主義陣営に対するアンチテーゼだったからだ。

しかし、40年の成功体験があるのだから、共和党の昔良き時代を愛する人々は、その事
実を受け入れることができない。時代の居場所を失ったため、レーガン主義の一つ一つ
を先鋭化する動きが登場した。小さな政府を掲げるティーパーティーの登場が好例であ
る。そして、行き先が不透明なため35人もの候補者が登場した。

そんな共和党の中で時代の潮目を読んで圧倒しているのがトランプなのである。トラン
プは民主党員だったこともある。政治を財務諸表的に理解するビジネスマンのトランプ
だからこそ、経済格差の是正と国際政治の国内政治化というレーガン主義とは真逆の主
張ができるのであろう。

従来、同盟国に優しいのは共和党であったが、今では、民主党のオバマとヒラリーのほ
うが、世界への関与に積極的になっている。日米安保を重要視するのは、トランプでは
なく、ヒラリーなのである。ヒラリーは、国際政治については、共和党のトランプより
もレーガン的な志向を持っている。

だが、民主党で他に人気のある政治家の志向や、そして共和党でのトランプの躍進を考
慮すると、ヒラリーが大統領になっても、日本にとっては少しのモラトリアム期間を手
に入れただけになる可能性が高い。ヒラリーであっても、冷戦時代や、ネオコンが活躍
したポスト冷戦時代のようなレベルで世界に関与することは考えていない。

アジアの安全保障における日本の役が増える流れは誰がなっても変わらない。「オバマ
後」の米国を、日本こそきちんと認識する必要がある。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7062

Wedge7月号では、「知られざるトランプ」と題して、誰も予想だにしなかったトランプ
氏の大統領候補指名を、さまざまな角度から検証しました。

MLホームページ: http://www.freeml.com/uniting-peace


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