南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣する陸上自衛隊部隊が「駆けつけ警護」などができるようにする。政府がきのう閣議決定した。

事実上の内戦状態にある南スーダンでの新任務の付与に、あらためて反対する。

現地の治安情勢は予断を許さない。国連の事務総長特別顧問は今月11日、南スーダンで「民族間の暴力が激化し、ジェノサイド(集団殺害)になる危険性がある」と警告した。

国連南スーダン派遣団(UNMISS)にも混乱が広がっている。7月の首都ジュバでの大規模戦闘では、各国の文民警察官らが国外に退避。今月に入ってケニア出身の司令官が更迭され、これに反発したケニアは部隊の撤退を始めた。

武器は全土に拡散し、7月の戦闘の際は国連施設も略奪の被害を受けた。この戦闘で政府軍とPKO部隊が一時交戦したとの認識を、南スーダン情報相が本紙の取材に示している。

政府は、憲法との整合性を保つため設けられた「PKO参加5原則」は維持されていると繰り返す。実態とかけ離れていないか。現状は「紛争当事者間の停戦合意」や「紛争当事者の安定的な受け入れ同意」が確立した状況とは考えにくい。

駆けつけ警護について政府は「近くで対応できる国連部隊がいない場面で応急的かつ一時的な措置」と説明。邦人保護の必要性を強調し、地域はジュバ周辺に限り、他国軍人を助けることは想定されないとする。

実際に駆けつけ警護を行う可能性は低いと政府はいうが、ならばなぜ、この混乱のなかで新任務の付与を急ぐのか。

現場では、相手がどんな勢力なのか、判断が難しい場合もあろう。仮に政府軍と戦闘になれば、交戦権を禁じた憲法9条に反する恐れも出てくる。

自衛隊が参加できるPKO任務の幅を広げるのはいいとしても、「参加5原則」の枠内で行われるのは当然だ。

いまの南スーダンの状況がそれを許すとは思えない。

政府がいま、急ぐべきは新任務の付与ではない。内戦状態が拡大して、道路や施設整備が難しくなった場合の、自衛隊の撤収に向けた準備ではないか。

日本がめざすのは、あくまで南スーダンの国造りであって、自衛隊の派遣継続で存在感を示すことではない。

そのためにも、支援の重点を切り替える必要がある。自衛隊の「出口戦略」を描き、人道支援や外交努力など日本らしい貢献策を強めていく時だ。