安倍首相が26、27両日、米ハワイに赴き、オバマ大統領と真珠湾を訪ねる。

旧日本軍による奇襲攻撃から75年、日米の首脳がともにその犠牲者を悼み、和解の価値を発信する意義は大きい。

5月にはオバマ氏が、米国が原爆を投下した広島を訪ね、核なき世界への努力を誓った。

今回の真珠湾訪問で、首相がどんなメッセージを発するか。日米だけでなく、広く世界が注目する場となるだろう。

首相がまず語るべきは、無謀な戦争に突き進んだ深い反省のうえに立ち、不戦の誓いを新たにすることだ。

忘れてならないのは、アジアの人々への視線である。戦火の犠牲になったのは、日米の軍人や市民らだけではない。

真珠湾攻撃に端を発した太平洋戦争は、アジアの多くの人々に犠牲を強いた。だが真珠湾攻撃以前から、日本は満州事変に始まる10年に及ぶ侵略と、植民地支配を進めていた。塗炭の苦しみを味わった人々の間には、いまなお日本への厳しい感情が残る。

想起すべきは首相が3年前、靖国神社参拝に踏み切ったときのことだ。米国などから歴史修正主義者との疑念を招き、中国や韓国との関係悪化につながった。戦前の歴史を正当化するかのような言動が、どれだけ日本への不信を招いたことか。

真珠湾訪問が、こうした不信の解消につながるなら歓迎したい。そのうえで、日米の和解をアジア太平洋地域の平和と安定に結びつけていくことだ。

日米関係が地域の公共財として機能するためにも、日本はアジアの国々と真摯(しんし)に向き合う必要がある。そのことこそがアジアのみならず、欧米など国際社会での日本への信頼を高めることにつながるはずだ。

安倍氏は戦後70年の首相談話で「私たちは、国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この胸に刻み続けます」と誓った。その決意を、真珠湾でも改めて語ってほしい。

真珠湾攻撃は日本にとって痛恨の過ちだった。その反省のうえに戦後70年余、平和国家として歩んできた今の日本がある。

トランプ米次期大統領の登場で、戦後の国際秩序が揺らぎかねない状況にある。

現行憲法のもと、民主主義や法の支配といった普遍的な原則を貫き、軍事力を過信せず、平和的な手段によって粘り強く地域の秩序を守っていく。

そんな日本の使命を、真珠湾から、アジアに、世界に語る機会としてもらいたい。