Global Ethics


『「日米合同委員会」の研究――謎の権力構造の正体に迫る』 by limitlesslife
January 8, 2017, 12:56 pm
Filed under: 日米
【正月読書感想文 2017.1.4】 星川 淳・2017年1月4日
『「日米合同委員会」の研究――謎の権力構造の正体に迫る』吉田敏浩(創元社)

沖縄の基地問題などに注目していると、日米安保条約が日本国憲法の上位にある「法
の下剋上」状態を認めざるをえないが、昨年、その構造をさらに踏み込んで明らかにし
ようとする労作が2冊出版された。1冊目は5月刊行の矢部宏治著『日本はなぜ、「戦争
ができる国」になったのか』(集英社インターナショナル)、そして2冊目が12月に出
たばかりの本書だ。

両書とも、戦後占領期から続く米軍(米国でさえない!)による事実上の日本支配の
実態を検証しようとするものだが、矢部著が全体像を俯瞰しているのに対し、吉田著は
タイトルどおり、その中核的な協議・決定機関である「日米合同委員会」の脱法性と悪
影響に的を絞る。

表向きは、米軍駐留にともなう日米地位協定(旧安保期は行政協定)についての協議
と調整を行なうため、米軍高官たちと日本側の関係省庁担当者が隔週で話し合う場とさ
れているものの、実際にはここが決定機関となり、日米両政府を縛る構造が黙認されて
きた。しかも、完全に非公開の同委員会からは、決定事項も議事録も日本の国会や国民
に報告されず、日米政府間で公文書に残したくないいわゆる“密約”は、同委員会に送
って正式合意したことにする慣行まで定着している。

つまり、少なくとも在日米軍と米軍基地に関する限り、日本国憲法も、国権の最高機
関とされる国会も、日米合同委員会という秘密会議によって制度的・恒常的にネグレク
トされているのである。たとえば「高江が無法状態だ」と訴えても、もともと日本列島
全体が米軍租界同然なので、その声を受け止める責任主体は存在しない。日本政府は、
日米合同委員会の席上と同様、唯々諾々と占領軍の要求に従うだけだ。

米軍基地や日米地位協定の問題解決にとどまらず、日本が民主国家として独立するた
めには、このような脱法機関を廃止して、これまでの合意と密約をすべて公開し、今後
は通常の政府間交渉にふさわしく文民同士の協議機関に改組した上で、議題を国会と共
有しながら、決定に際しては国会の承認を受けるようにしなければならない。それにつ
いて著者の筆致は揺るぎない。

友好国・同盟国とのあいだにここまでブラックな秘密機関を常設していることは、本
来、米国の民主制においても容認しがたいはずで、ぜひ早急な英訳を望みたい。

MLホームページ: http://www.freeml.com/uniting-peace

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