Global Ethics


米国情報機関の対日工作 by limitlesslife
April 10, 2017, 12:35 am
Filed under: CIA:Corruption In America (from comment)

http://books.google.co.jp/books?id=jhv5pCYWuLEC&pg=PA101&dq

孫崎氏の把握する米国の対日工作の要旨は次の通りである。

(以下要旨)
冷戦終結後、米国は日本を標的として経済スパイ活動を展開した。
米国は、日本のすべての省庁に内通者を確保した。
内通者は脅迫や金銭提供等、非正規な手段によって協力者となった者である。
CIAのみならず、米国国内を拠点とするFBIも活動している。
女性を使いスパイを獲得する手口、ハニー・トラップ(蜜の罠)も適用されている。
ときに売春婦や年少者も利用されている。
第二次大戦後、米国は日本に対してさまざまな政治工作を行なってきた。それは今後も
続くであろう。
CIAの対日工作の全貌を掴むのは難しい。しかし日本への工作もイタリアへの工作(コ
ルビー元CIA長官が記述している)と類似している。
〈工作をするには、資金源は米国という事実を秘匿する必要があった。CIAの中道勢力
に対する援助は、主として、直接金を渡すかたちで行われた。純粋に政治的側面だけに
努力を絞ることは、作戦をあまりに狭くする。自由労働運動の強化、競争的な協同組合
の結成、各種の文化的、市民的、政治的団体の援助にも、多くの努力を払った。ワシン
トンはマスコミ面における活動を期待した。〉(なお〈 〉は、コルビーの著書の引用
部分)。
KGBとCIAがイタリアで実施したことは、日本でも実施したと判断するのが自然。(p.19
3?197)
(要旨終了)

ところで最近、田岡俊次氏が日米交渉での次のようなエピソードを紹介している。「日
米航空交渉で、出席していた外務省の役人があまりにアメリカよりの発言ばかりするの
で、他省の官僚が腹を立てて、その役人の上司(外務官僚)に文句をいった。ところが
その上司は、『きみたちはアレが日本の人間だと思っているから腹が立つんだろう。わ
たしはアレを相手側の人間だと思っているので、腹は立たない』。」(注1)
このような話は氷山の一角で、上記のような「工作」の結果、日本の体制(政・官・財
・マスコミ・学)は蝕まれ、外交をはじめ政策全般が『国益』から甚だしく乖離するよ
うになったとみてよかろう。なお「工作」は買収や弱点(スキャンダルなど)を掴む手
法をも使用するため、いちど「内通者」になると身動きがとれない。(これは、普通の
「市民」感覚とは、ずれるかもしれないが、アメリカの機関と接点があった日本の公務
員たちにとっては、必ずしも驚くことではない。)

そしていまや「対米従属派」が官僚の主流になっているわけだ。
外務省について孫崎氏は次のように言う。

<日本というのは不思議な国で、この当時、イラク攻撃への疑念を述べた人はほとんど
淘汰された。米国の情報をそのまま受け入れ、大量破壊兵器の保持、アルカイダとの結
びつきを強調した人は、情報・安全保障の専門家としての地位を確立した。大量破壊兵
器の不在などが明確になった今日、淘汰された人はそのまま、地位を確立した人もその
まま。不思議である。>(p.220)

対米従属一辺倒の人たちだけが「出世」し、いまや「外務省はアメリカ大使館の出張所
」(田岡氏)なのだそうだ。これは外務省だけのことではないだろう。

日米安保と日本の安全保障

ところで、日本は、日本の安全保障のために日米安保を締結しているということになっ
ている。
ところが孫崎氏によれば、

<駐日米国大使顧問などを歴任したケント・カルダーは『米軍再編の政治学?駐留米軍
と海外基地のゆくえ』・・・で、「米軍基地は日本を無力化させる目的をもっていた」
と記している>(p.216)。

この「米軍基地」を『日米安保』に置き換えてもよいだろう。つまり「日米安保」は日
本を抑え無力化させるために存在しているのであり、日本の独立を抑えるために存在し
ているというわけだ。

それでは、日本の「安全保障」の実態はどうなっているのか?

<ある元防衛次官が私的な会合で次のようなセリフを述べた。
「日本の海軍力、空軍力はきわめて強い。中国であれ、ロシアであれ、この脅威は深刻
に受け止めている。だけど、一本立ちできないようになっている。米国の作戦がとられ
たときには有効に機能する。日本だけでは根本的欠陥があって、何もできない」>(p.2
15)

つまり多大な負担・訓練によって構築された自衛隊(特に海自・空自)は、アメリカに
従属・依存した戦力としてしか存在していないわけだ。(この点は「情報」分野での依
存を考えれば、あきらかである。)

これは(私=安東の感想だが)「ハード」面だけでなく、残念ながら「精神」面でもそ
うなっているのではないか?戦略的に米軍に依存している部隊が、米軍とばかり合同演
習をやっていれば、どうなるか。某幕僚長など、一見『愛国的』な言辞を弄するが、そ
の精神構造はまことに対米従属的なものであるのをみると、ついそう思ってしまう。

ついでにいえば、日本の核武装論者も、そのほとんどはアメリカの「許可」のもとでの
「核武装論」を想定している。しかしそれはアメリカの手のひらの上での核武装である
。その場合「日本が、アメリカの意図に基づいて??しかもその意図に気づくことなし
に??核を使用する」可能性が生じよう。「インテリジェンス」を欠いた「腕力」はな
により自分にとって危険であるということだろう(注2)。

孫崎氏の本が興味深いのは、こうした米国の対日工作の指摘についてだけではない。

ハンチントン宅のパーティー、そしてモニカ・ルインスキー事件

<ハンチントン教授は・・・自宅でしばしばカクテル・パーティーを開いた。・・・何
かの拍子にハンチントン教授は、「米国安全保障では引き金となる事件が起こり、ここ
から米国の安全保障は一気に変わる」と述べた。これに対して私が、「それなら安全保
障を変えたいと思う人物が、引き金事件を起こすこともあるのではないか」と問うた。
・・・一九八五年、・・・ハンチントン教授に問うた質問は、その後、私の国際間関係
を分析する重要な視点でありつづけた。それはハンチントン教授の答えが「君のいうの
は正解だろうが、そんなこと、肯定できるわけがないではないか」という雰囲気をもっ
ていたからでもある。>(P.19-20)

もちろんかの「9.11」が、そのような「引き金事件」であることはいうまでもない。

<多くの日本人は二〇〇一年「九・一一国同時多発テロ」からの流れのなかで米国のイ
ラク攻撃が出てきたかのような印象をもっているが、そうではない。一九九八年一月、
サダム・フセインを排除するため軍事行動を起こすべきだとするきわめて重要な書簡が
、クリントン大統領宛てに発出されている。主要内容は次のとおりである。

・われわれは貴大統領が今度行なう一般教書において、米国の新しい中東戦略を打ち出
すべきと考えている。
・その戦略にはサダム・フセインの排除を含むべきである。
・この目的を達成するため、外交が失敗すれば軍事行動を行なうべきである。
・全会一致の安保理決議に縛られるべきではない。>(p.81)

この文書の署名者は、ラムズフェルド、ウォルフォヴィッツ、パール、エイブラムズ、
アーミテージ、ボルトンなどであるが、

<クリントン大統領はサダム・フセイン排除に動くような人物ではなかった>。

そのあと何が起こったか?

<一九九八年、クリントン大統領は最大の危機を迎えた。一月モニカ・ルインスキーと
の不適切な肉体的関係、不倫騒動が世界のトップニュースとなった。・・・誰がモニカ
・ルインスキー事件を仕掛けたかは分からない。しかし、共和党がモニカ・ルインスキ
ー事件でどこまで追い詰めるかという問題と、共和党系のタカ派が主張するイラク参戦
を行なうか否かがリンクしていた。クリントン大統領は一種の「ハニー・トラップ」の
なかに落ち込んだ。米国人が米国の大統領に仕掛けている。>(p.82)

このような叙述から、どのような疑念が生じるか。そして何が認識できるか?
まず、「9.11」の公式的な説明が本当なのか?という疑念が生じるのは当然であろう。
(注3)
また、アメリカには公式の権力とは別に、ある「勢力」が存在して、自国の大統領にた
いしても「指示」を出し、それに従わない大統領を追い詰める実力を持っている、とい
うことも認識できよう。
この点はオバマ政権の行方を占う上でも重要だろう。

さて、次の指摘はさらに重要と思われる。

イスラム革命の闇

<ここ[ソ連やイラン・イラクという国々]で思い知らされたことは、人間は物理的な
力に弱いことである。軍や治安警察が前面に出て弾圧を行なえば、これに抗することは
基本的に不可能である。・・・では、どうして七九年に、強力な軍と治安警察の存在す
るイランで「イスラム革命」が成功したか>(p.110)

<大使としてイランに赴任した直後に、私はパーティーに出ていた。一人の男が私に近
寄ってきて、
「革命前、米国のサリバン大使が離任挨拶にイラン首相を訪れた。お土産にフクロウの
置物を渡して、『誰が敵か分からない。思いがけない人が敵かもしれません。よく周り
を見なさい』といって去った。大使、サリバン大使の発言が何を意味するか分かります
か」
と謎かけをして去った。>(p.110?111)

〇八年六月、孫崎氏はテヘランの会議で元駐イラン中国大使(七九年革命時テヘランで
勤務)にこのエピソードを話した。

<途端に彼[元駐イラン中国大使]は身を乗り出した。彼の説明は次のとおりである。
?米国は途中でイラン国王を追放する方向に動きはじめた。
?米国はイスラム革命の前にパリでホメイニと会い、両者のあいだで合意がなされてい
る。米国は、米国の強い影響下にあるイラン軍部が国王追い落とし運動の弾圧に参画し
ないことを約束した。
?一九八一年出版のサリバン大使の自叙伝は、米国は国王に代わってイスラム政権が出
現することを歓迎すると記述している。
?国王追放の約十日前、NATO司令官がテヘランを往訪し、まずイラン軍部と会合し、そ
の後国王と会い、国王に十日以内にイランを去るよう命じた。>(p.111?112)
孫崎氏は、もちろんこの説明を鵜呑みにせず検証するのだが、この説明は基本的に正し
いという。(本書はその根拠を何点か挙げているが、ここでは省略。)

<ではなぜ、米国はシャーを見放したか。いくつかの要因がある。
第一に、イラン国王は石油政策で独自路線を歩みはじめた。・・・
第二に、カーター大統領は、ソ連の脅威はなくなったとして、ソ連と戦うために容認し
ていた独裁者を排除する方向に舵を切り替えている。この時期に、朴正煕韓国大統領が
金載圭KCIA長官に暗殺されている。
第三に、米国は中東にイスラム勢力の拡大を望んだふしがある。
・カーター政権末期の安全保障担当補佐官はブレジンスキーである。・・・
・ブレジンスキーは、中東でイスラム勢力が拡大すれば、これに隣接する中央アジアな
どでソ連のイスラム勢力に影響を与え、ソ連内部の混乱を招くとして、イスラム勢力の
拡大を支援する方針を採用した。
・この考え[ブレジンスキーの考えのもとになったもの]は七九年四月のビルダーバー
グ会議で提言され、中東のバルカン化構想といわれた。ちなみにビルダーバーグ会議は
、米欧主要政治家・経済人が参加する会議で、その顔ぶれから主要な国際政治の流れが
決められるとまでいわれてきた。>(p.113?114)

「ビルダーバーグ会議」の話などは、私などが言えば「陰謀論」のレッテルを貼られる
かもしれないが、プロの孫崎氏がこういうのである。
実は、この点は権力観としてきわめて重要な点である。権力ということで、ナショナル
な「権力」しか理解しない人もいようが、たとえば近代のイギリス支配階級を例にとっ
ても、「シティ」のマーチャントバンカーたちはその出自からして国際的な「ネットワ
ーク」をもっており、その「シティ」と「貴族」は深く結びついている(注4)。もち
ろん「王族」たちは国を越えた血脈を持ち、「ネーション」の外部にある。

米国の優先順位を知れ、地域がこれにどう当てはまる?

さて、このイラン革命の真相の件はきわめて示唆に富む。アメリカの公式の敵は必ずし
もその『敵』とは限らない。アメリカの公式の友人はかならずしもその『友人』ではな
い。
この情勢を東アジアに当て嵌めるとどうなるか?
北朝鮮は、はたしてアメリカの敵だったのか?北朝鮮の行動から最大の利益を引き出し
たのは、アメリカではなかったか?北朝鮮幹部とCIAの関係などという話も、必ずしも
「陰謀論」と片づけるわけにはいかないことになる(注5)。

<重要なことは、世界の情勢を見るとき、「まず大国(米国)の優先順位を知れ、地域が
これにどう当てはまる?」を考えてみることである。地域情勢から見て、大国の意図を
見抜けないと、大きな情勢判断のミスを犯す。>(p.115)

孫崎氏は<米国がかつて支持をし、見切りをつけた指導者>を数え上げ、<吉田茂総理
もそうであろう>という。

<世界の多くの指導者が対米関係で失敗するのは、自分をあれだけ重用したではないか
、自分は米国の利益に大変な貢献をした、だから米国は自分を切ることはない、との思
い込みである。
米国とのディール(取引き)は、それが米国大統領とであっても、米国の一個人とのディ
ールである。・・・この点が、多くの非米国人が誤解する点である。>(p.116)(注6

それでは今回の自民党の敗北についてアメリカはどう関わっていたのか、という疑問も
わく。

独自の情報能力が問われる

さて、孫崎氏は同書の最後で、次のようにいう。

<国際社会での米国の優位性の後退は、避けがたい潮流と思う。同時に中国の力は上昇
する。米中の狭間にあって、日本の安全保障政策の舵取りは難しい時代に入る。否応な
しに、独自の情報能力が問われる時期が来る。ほんとうはその日に備え、日本は情報機
能を強化すべき時期に入っている。>(p.237)

しかしこの情報機能の強化は、なにか「官製組織」を立ち上げればよい、ということで
はないだろう。むしろ孫崎氏が強調・重視しているのは「独自戦略の模索が情報組織構
築のもと」であるということであり、民間人を含めた問題意識の在り方だろう。
孫崎氏はこうも言う。

<数年前までは、国務省の見解を直接知るには大使館員か、新聞記者でなければならな
かった。しかし、いまや誰でも、[ネットによって?引用者]日本の大手メディアの記
者のように、プレス・ブリーフの席上に座っていられる。「情報のマフィアに入れ」は
、皆が準構成員程度には実現可能の段階にきた>(p.80)ともいう。

なにより「ネティズン」たちの??民衆のための??「情報能力」が問われている。

なお、今回は孫崎氏の「情報と外交」のごく一部しか紹介できなかったが、同書を??
氏の「日米同盟の正体」(講談社現代新書)とともに??是非お読みになって戴きたい
と思う。

(注1)12月26日、CATV朝日ニュースター「パックインジャーナル」での発言。以下の
引用した田岡氏の発言もこの番組でのものである。

(注2)この点については、副島隆彦氏が「日本の核保有に宗主国であるアメリカ様の
許可が出るかどうかという話なのである。・・・今時核保有を言い出す人間はアホであ
る。刃物を振り回す人間は必ず自分の手足を切る」(「あと5年で中国が世界を制覇す
る」p.209)と言われている。

(注3)孫崎氏は「日米同盟の正体」で次のように述べている。「南北戦争、真珠湾攻
撃、九・一一同時多発テロの三つを並べてみよう。この三者は実に見事な類似性を持っ
ている」。「米国の安全保障政策の中で、なぜ謀略が生まれてくるのか。これは米国の
政治風土と深い関係がある」。「米国の安全保障政策では謀略は不可分の関係となって
いる」。「この理解が九・一一同時多発テロの理解に必要」である。ところが「日本人
は戦略的な思考が弱い・・・。特に、謀略、陰謀論的な動きが出ると、「それはあり得
ないでしょう」と思考停止する」(「日米同盟の正体」講談社現代新書 p.66?71)。
日本では「空気が支配」しているから、結論が「空気」に反するような「思考」は事前
に「停止」される。

(注4)この点は、P.J.ケイン、A.G.ホプキンス「ジェントルマン資本主義の帝国」(
名古屋大学出版会)を参照願いたい。

(注5)副島隆彦氏は「金正日に継ぐナンバー2の金永南でさえ本当はアメリカの意向
で動く」(注3と同じ書、p.209)という。

(注6)なお田岡氏も「核密約」について「ニクソン?佐藤間の密約であり、彼らが退
任した後は、効力はない」という。ただし密約の「効力」と核持ち込みの有無は別問題
である。これは、アメリカの当局者(たとえばアーミテージ)がどんな人種かを考えれ
ばわかることだ。

MLホームページ: http://www.freeml.com/uniting-peace

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