「これは重大な問題なので、局長から答弁をさせます」

40年近く前に、当時の防衛庁長官がそんな答弁をした。同じような光景が衆院法務委員会で展開されている。

「共謀罪」をめぐる金田勝年法相の姿である。

質問者が法相を指名しているのに、法務省刑事局長が答える。局長の後、ほぼ同じ説明を法相が繰り返す――。

見過ごせないのは、そんな金田氏をかばい、数の力で法案成立を図る与党の姿勢だ。

野党の反対を押し切り、刑事局長を政府参考人として出席させることを委員長の職権で採決し、賛成多数で決めた。参考人の出席は全会一致で決めるのが慣例で、それを踏みにじったのは現行制度で初めてだ。

外部から有識者らを招く参考人質疑も、早くも来週に行うことを職権で決めた。

数の力を乱用した、極めて強引な国会運営というほかない。

「共謀罪」は、安倍政権自身が今国会の最重要法案の一つに位置づけている。人権の制限にもつながる法案であり、国民の関心も高い。

法相が自分の言葉で説得力のある説明をし、国民の理解を得る。それが法案に責任を持つ立場としての責務だ。それができないなら閣僚の資格はないし、法案は通してはならない。

与党の姿勢は、政治家同士の討論による政治主導の国会をめざす流れにも逆行する。

1999年の国会法改正で、官僚の委員会出席は原則として禁じられた。政府参考人制度は「細目的・技術的事項」について、官僚が閣僚を補佐するために設けられた。

政府参考人の答弁が、審議の充実に資する場合もあるだろう。だが、だからといって、閣僚の答弁能力がおぼつかなくていいはずがない。

金田氏は2月、「法案が国会に提出された後で、担当局長も加わって、法務委員会で議論すべきだ」とする文書を報道機関に配っていた。だから刑事局長に答弁を任せると言うつもりはないだろう。法案審議が本格化したいま、法相みずから先頭に立って答弁すべきだ。

数を頼んだ与党の横暴はこれにとどまらない。先週の衆院厚生労働委員会では森友学園への国有地売却問題について民進党議員が安倍首相に質問すると、「法案と関係ない」と反発した与党が採決を強行した。

閣僚の問題発言がやまないなか、国会では与党の一方的な運営がまかり通る。およそ「言論の府」の名に値しない。

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コメント:権力の奢り、私物化があらゆるところに目立つ:主権者国民を無視する不遜、不逞は許されない!