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それ、多数決で決めていい? 憲法や法律の考え方学ぶ 福井で法教育の実践 by limitlesslife
May 9, 2017, 12:35 am
Filed under: 憲法

それ、多数決で決めていい? 憲法や法律の考え方学ぶ 福井で法教育の実践
朝日新聞 2017年4月28日

憲法は何のためにあるのか、そして多数決で決めていいこと、悪いこととは――。自
信を持って「こうだ」と答えられる人は、おそらく、そう多くないのではないか。福井
県では、法の基本的な考え方を身につける「法教育」の取り組みが進んでいる。実践例
の一つを紹介する。

(編集委員・豊秀一)

■アリの食糧、キリギリスに分けるには

福井市明道中で昨年9月、3年生の社会科授業「人権と日本国憲法」の中で、「アリ
とキリギリス」を題材にした創作劇が取り上げられた。福井弁護士会の有志メンバーが
2012年に作った教材で、「アリの国」で集めた食糧をキリギリスに分けるべきか、
分けるとしてだれが、どのように決めるべきかについて班に分かれ、考えた。

劇に登場するのは、弁護士扮する「女王アリ」1人と「働きアリ」3人、「働けない
老人アリ」と「病気アリ」が1人ずつ。そして、冬になり「食糧を分けてくれと頼んで
くるキリギリス」1人。

■女王アリに従う

最初の場面は、「このままだと飢え死にする」と訴えるキリギリスに対し、女王アリ
が一人で「同じ昆虫の仲間。分けてあげなさい」と決めるところから始まる。これをど
う考えるか――。

生徒の賛成意見は「女王アリはみんなの代表だから」。一方、「リーダーだけで決め
るのはだめ」との反対意見も出た。

担当の森川禎彦教諭(35)=現・福井大学教育学部附属義務教育学校=が黒板に書
いたのは「絶対君主制」。「女王アリ=国王」という権力者の決定のみで物事が決まる
時代が歴史上あったことに触れた。

劇では、アリたちが「みんなで決めた方がいい」と考え始めるが、「ジャンケンで決
める」などまとまらない。生徒にどうやって決めるべきなのか聞くと、「全員納得する
まで話し合う」「いくつか案を出して最後は多数決」などの意見があった。

多数決で決める。しかし、だれが参加するのかという問題が残る。

劇では働きアリが「働いた人だけで決めるべきだ」と主張した。生徒からは賛成意見
も出たが、「食糧を食べるのは皆同じだから全員が参加すべきだ」などの意見が多数。
森川教諭がコメントしたのは、だれも境遇で差別されず、参加が保障される「機会の公
正」という言葉だった。ここで1時間目の授業が終わった。

■パン1枚だけ?

2時間目の授業では核心へ。蓄えたパンを毎日何枚ずつ分けるかをめぐり、アリたち
が争いになる。多数決で下した結論は、働きアリ6枚、老人アリ2枚、病気アリ1枚。

病気アリも参加してみんなで決めたことだが、この多数決にはどこかおかしいところ
がある。生徒たちは言う。「病気アリが死んじゃう」「不公平」「病気アリが納得して
いない」

多数決の限界に気づいた生徒たち。森川教諭が「多数決で決めてはいけないことは何
か」と問いかけた。ある班は「命にかかわること」「相手が受け止められないことが最
初からわかっていること」などと答えた。

授業は締めくくりへ。森川教諭が「国の政治を批判した人を処罰すること」など5項
目をあげ、是非を聞いた。生徒の正答率は高く、発言の自由を禁じたり、差別を認めた
りすることは直感的に許されないと思っていることがわかる。

生徒たちの直感を引き取りながら、森川教諭は立憲主義をこう説明した。「多数決で
決めてはいけないことは人権にかかわることです。憲法に違反する法律を作ることはで
きません。これを立憲主義と言うのです」

■立憲主義、肌で感じる授業に

福井県では2004年から、福井法教育研究会がスタートした。米国の法教育の実情
を研究してきた学者や弁護士が県内におり、学校の教員らと協力して出前授業などの実
践に取り組んでいる。

その取り組みの一つが、「ジュニア・ロースクール福井」。森川教諭は06年に中学
校教員になり、研究会のメンバーになった。「人権と日本国憲法」の授業案も、研究会
で知恵を出し合って作った。森川教諭は「知識として表面的に立憲主義が大切だと覚え
ても役に立たない。生徒がその大切さを肌で感じ、自分の言葉で表現する授業をめざし
たい」と話す。

■答えがない問題、自分で考える 橋本康弘・福井大教育学部教授

法教育は、法律専門家でない人々を対象に法や司法制度の基礎になっている価値を理
解させる米国の「法教育法」に由来します。自由で公正な社会の運営に参加する市民を
育て、答えがない問題を自分の頭で考える力を身につけさせるのが狙いです。司法制度
改革以降、日本弁護士連合会や各地の弁護士会、法務省、最高裁が現場の教師と協力し
ながら、出前授業や模擬裁判、教材作りに取り組んできました。

裁判員制度が始まり、18歳選挙権の導入を機に主権者教育の必要性が認識されてい
ます。高校の必修科目となる「公共」では民主主義や法の支配、自由・権利など「公共
的な基本的原理」を活用し、問題解決に向けて議論する力が求められます。法教育の理
念や方向性と一致します。

子どもたち自身が「気づき」を持てる授業をどう組み立てるか、その技能を持った教
員をいかに育てるか。課題はさまざまですが、法科大学院生が授業に参加するなど、最
近、担い手の裾野が広がっていることに注目しています。

http://digital.asahi.com/articles/DA3S12913298.html?rm=150

MLホームページ: http://www.freeml.com/uniting-peace

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