日本に復帰して45年がたった沖縄は、いまも過重負担にあえぐ。国土のわずか0・6%に、米軍専用施設の7割がある。

朝日新聞などが実施した県民世論調査で、この基地の集中を「本土による沖縄への差別だ」とみる人が54%にのぼった。

先の大戦で本土を守る「捨て石」にされて以来の苦難を身をもって知り、あるいは経験者の姿や話を直接見聞きしてきた世代を中心に、こうした思いが広がるのは当然だろう。

政府はことあるごとに「沖縄の基地負担軽減」を口にする。だが名護市の稲嶺進市長は「県民が実感できる状況にない」と話す。これも、ごく自然な受けとめということができる。

米軍普天間飛行場の移設のための埋め立て工事が、同市辺野古沿岸部で先月から始まった。県が求める協議に応じず、所定の手続きも踏まず、6割を超す「辺野古ノー」の民意を無視しての着工である。近年、沖縄以外のどこで、このような乱暴な措置がとられただろうか。

辺野古の他でも、負担軽減とは正反対の事態が相次ぐ。

約1年前、ウォーキング中の女性を襲って殺害したとして米軍属が起訴された。夏以降、本島北部のやんばるの森で、オスプレイが使うヘリコプター着陸帯の建設が強行され、年末にはそのオスプレイ名護市安部の海岸に落ちて大破した。

先月、恩納村の米軍基地内にあるダム工事現場で工事業者の車に流れ弾が当たり、先月と今月には米軍嘉手納基地パラシュート降下訓練が行われた。危険な訓練なので別の基地に集約し、そこでのみ実施するという日米合意は無視された。

軍用機による騒音や環境汚染は日々発生・継続している。翁長知事はきのう発表した「復帰の日コメント」で、基地の存在を「沖縄の更なる振興発展の最大の阻害要因」と指摘した。

沖縄県民は敗戦直後に公民権を停止され、国会に代表を送れなかった。平和主義基本的人権の尊重をうたう憲法を、施行から四半世紀遅れて、復帰の年にようやく手にしたものの、基地がもたらす現実の前に、その理念はかすんで見える。

この島の人々の声に耳を傾けよう。まだ間に合う。政府は辺野古沿岸の埋め立て工事を中止し、すみやかに沖縄県との話し合いの席に着くべきだ。

国民一人ひとりも問われる。無理解、無関心から抜けだし、沖縄の歴史と現実にしっかり向きあう。知ること、考えることが、政権のかたくなな姿勢を改めさせる力になる。

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