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「加計学園疑惑」山本幸三内閣府特命担当大臣の責任が問われなければならないはず by limitlesslife
June 10, 2017, 6:53 pm
Filed under: アベノミス, 前川喜平(前次官), 加計学園

「加計学園疑惑」の本命は内閣府だ 追及すべきは官邸と「忖度の行政」
寺脇研 てらわき けん 京都造形芸術大学教授

「加計学園疑惑」が、前川喜平前文科次官の勇気ある発言で
クローズアップされている。
だが、見誤ってならないのは、真に追及されるべきは文科省ではなく、
内閣府であるということなのだ。

文部科学省の前川喜平前事務次官は5月25日の記者会見で、
「加計学園」の獣医学部新設は「総理のご意向だと聞いている」
「官邸の最高レベルが言っていること」等の内部メモについて、
同省が作成したと明らかにしました。

私は前川氏の先輩として長年文部科学省に勤務し、彼の人柄をよく知っています。
そして彼の記者会見について、ある全国紙に次のような私のコメントが
掲載されるはずでした。

「前川前文科次官の会見は堂々たるもので、信念の人だと改めて感じた。
覚悟を決めて証言したのだろう。

今回の問題は、獣医学部の新設を特区として認めるための手続きが
適正に行われたかどうかにある。
指摘された文書が本物とすれば、本来あるべき関係省庁の合意形成がないのに
内閣府の官僚が首相の意向であるかのように恫喝し、
文科省に設置審査入りを急がせていたことになる。

官僚が首相の意向を勝手に忖度し、手柄を立てて評価してもらおうと
強引に進めていたのなら大問題だ。
忖度は森友学園の問題とも通じる。
官邸が幹部人事をコントロールしていることが、忖度の行政を生んでいる
のではないか。

内閣府という役所は歴史が浅く、他の省庁のように役人として
どうあるべきかという『吏道(りどう)』が確立していない。
官邸の下部機構なので官邸が強大になれば内閣府の官僚は他省庁に対して
強権を振るえる。
本来、それぞれの所掌について責任を持ち政策提案するのが各省庁の本務
のはずなのに内閣府の下請け状態となっている。
これは正常な内閣制度とは言えない」――。

結局、このコメントはボツにされましたが、言いたいことはここに尽きています。
しかしながら今回の前川氏の行動について、メディアの報道や
野党の対応はあまりに的外れであるように思えてなりません。

まず、あのメモを作成したのは文科省かもしれませんが、
そこに書かれてあるのはまぎれもなく内閣府の官僚の常軌を逸した言動です。
ですから問題の焦点は発言の主の内閣府にあり、
メモを作成しただけの文科省をいくらほじくり出しても、
意味がないはずなのです。
野党も「文科省内に問題のメモがあるのかどうか、調査しろ」
などと主張していますが、そんなことをしても何の成果も期待できません。

「4条件」に合わない

聞くところによれば、内閣府には他省庁のように記者が常駐する記者クラブがなく、
取材が難しいそうですが、それでもメディアは文科省ではなく、
内閣府にこそメスを入れるべきです。
そして発言したとされる内閣府の藤原豊審議官本人に対し、
「メモに書いているようなことを、あなたは本当に言ったのか。
あるいは、言っていないのはどこなのか、教えてください」と、
しっかり問い詰めねばならないはずです。

同時に、そこでのポイントは「総理のご意向」の部分よりも、
メモに登場する加計学園の獣医学部新設について、
「平成30年(注=2018年)4月開学を大前提に、
逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい」との記述です。
これは、本来あり得ない話だからです。

なぜなら、15年6月30日に、国家戦略特区における獣医学部の新設について、
「4条件」が閣議決定されています。
この「4条件」とは、
(1)現在の提案主体による既存獣医師養成でない構想が具体化し、
(2)ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における
具体的需要が明らかになり、
(3)既存の大学・学部では対応困難な場合には、
(4)近年の獣医師需要動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行なう
――という内容にほかなりません。

そして、加計学園の獣医学部新設が、本来非常に重いものである閣議決定の
「4条件」に合致しているかどうかについて、前川氏も記者会見で述べたように
「実質的な根拠をもって説明されているとは思えない」のです。

問題になっている内部メモが本物だろうがニセ物だろうが関係なく、
閣議決定の「4条件」を満たしていないにもかかわらず、それが無視されて
「平成30年4月開学」が押し付けられたという事実が重要なのです。
さらに、50年以上なかった獣医学部新設をみとめるなら、文科省のみならず
獣医師制度を所管している農林水産省や、防疫を所管する厚生労働省との
合意形成も行なわれなければなりません。
ところが、これもない。

ならば、この閣議決定との関連こそが何よりも追及されるべきです。
メディアも即刻、内閣府に押しかけて
「この『4条件』と合わないことをどう説明するのか」と、
記者会見でも開かせて弁明させるべきでしょう。
なぜ、そうしないのか。
それほどメディア各社の記者のレベルは、低下してしまったのでしょうか。

人事を握った官邸

先般の「森友学園疑惑」は、突き詰めれば国有地が異例にも安く売られてしまった、
という問題にすぎません。
しかし、「加計学園疑惑」は違います。
内閣府がやったことは、国の行政制度の根幹に関わる越権行為です。

だからこそ前川氏が大変な覚悟を決め、社会生命を賭して告発したのです。
「内閣府の役人の仕事のやり方は、明らかにおかしい」と、
現在の行政でまかり通っている不明朗な政策決定に異議申し立てをしているのです。

ところが、なぜ菅義偉官房長官や官邸が、あそこまでいきりたって
前川氏を攻撃するのか、理解に苦しみます。
前川氏は別に倒閣運動をやろうとしているのではなく、
安倍晋三首相を批判しているのでもありません。

本来ならこのメモの問題は、「一番のがんは文化学芸員といわれる人たち。
一掃しなければダメだ」などという失言でひんしゅくを買った
山本幸三内閣府特命担当大臣の責任が問われなければならないはずですが、
ここでもメディアは関心を示しません。
結局、政局につながるような話ばかりを追っているからです。

では、なぜ今回のような内閣府のやり方がまかり通っているのか。
無論、第一には「安倍一強」と呼ばれるような状況を生んでしまった、
有権者の投票行動に大きな責任があるはずです。
有権者は次の選挙でどうするのか、真剣に考えるべきでしょう。

次に見逃せないのは、内閣府という組織自体のあり方です。
コメントでも触れましたが、もともとこの官庁は2001年に設置された
新しい行政組織で、政府内の政策の企画立案・総合調整の補助が業務とされます。
ところが、第2次安倍政権になった14年に、
内閣府の人事局が各省庁の幹部人事を一括してコントロールできるようになり、
強権を振るえるようになりました。

内閣府は官邸の下部組織です。
これによって官邸は霞ヶ関の官僚の人事を全面的に握ったことになり、
強権を振るえる。
官僚は人事で動きますから、自分が力を発揮できるポストに就きたいから、
官邸に気に入られようとする「忖度の行政」が生まれるのです。

官僚の人事は本来、各省庁の大臣と副大臣、政務官の政務三役が厳正に、
強いリーダーシップをもって行なえばいいのであって、
現在のような人事制度は早急に見直すべきでしょう。
さもないと、今回の「加計学園疑惑」のように、
官邸に手柄を立てて評価してもらおうと、
行政の手続きを無視して強引に事を進めようとする官僚がまた出てきかねません。
「加計学園疑惑」が示しているのは、
こうした官庁の歪んだあり方に対する警告なのです。

まとめ 成澤宗男(編集部) 【週刊金曜日 2017 6 9】

MLホームページ: http://www.freeml.com/uniting-peace

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