共謀罪強行採決へ 野蛮な暗黒政治を止める方法はあるのか

安倍首相(C)日刊ゲンダイ
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 世紀の悪法「共謀罪」法案は、国民の理解が全く進んでいないのに、与党は強行採決に突き進む。それを阻止するため、民進党と共産党は13日、金田法相に対する問責決議案を提出した。与党はそれを織り込み済みで、きょうの本会議で問責案を否決。内閣不信任案が出されても数の力で押し切り、たとえ小幅延長することになろうとも、今国会中の共謀罪成立を強行する。

「加計問題に蓋をするため、何としてでも逃げ切るつもりなのでしょう。嘘と恫喝。ここまで酷い政権はこれまでなかった。日本の議会政治は危機的な状況です」(上智大教授・中野晃一氏=政治学)

23日には東京都議選が告示を迎える。それまでに国会を閉じ、有権者の意識から政権にとって不都合なあらゆる疑獄を消し去ろうということなのだ。

加計問題だけじゃなく、9億円の国有地がタダ同然で売り渡された森友学園疑惑だって、財務省の悪事は不問で真相はヤブの中だ。安倍首相に近い元TBS記者のレイプ事件もみ消し疑惑もある。いずれも安倍による安倍のための国家の私物化疑惑。それら全てを頬かむりして逃げ切る魂胆だ。そんなやりたい放題の暴力政権が、ついに「平成の治安維持法」を手にすることになるのだ。これがどれほど恐ろしいことなのか。背筋が寒くなってくる。

共謀罪での捜査対象は、組織的犯罪集団に限られると政府は国会答弁で繰り返していたが、法律には「一般人は対象にしない」とは書かれていない。当局のサジ加減で、一般人も「犯罪集団」にされてしまうし、安倍政権なら恣意的な捜査だってやりかねない。

権力者にとって共謀罪の最大の効果は、国民を萎縮させることだ。余計な運動には加わらない方が身のためだという空気がつくられていく。共謀罪には自首すれば減刑措置もあるから、密告が行われ、疑心暗鬼も広がることになる。通信傍受やGPS捜査によって、知らないうちに会話やパソコンは丸裸にされる。息苦しい監視社会になり、国民生活はジワジワと蝕まれていくことになる。

共謀罪法案に詳しい弁護士の小口幸人氏もこう言う。

「共謀罪法案が成立すれば、計画段階での監視が必要になります。警察官の増員や必要な設備の予算措置などが進められていくでしょう。そうして得られた壮大な情報を安倍政権は操れるようになり、圧倒的な権力をますます強大化することになる。警察は国会議員の監視情報も握るので、警察国家になる恐れもあります。全国30万人の最強実力組織が力を持つ怖い社会になりかねません。ドラマみたいな話ですが、そのことを国会議員はどれだけ分かっているのでしょうか」

公益に資すると内部告発した官僚について、国家公務員法(守秘義務)違反で処分する可能性を平然と口にする文科副大臣がいるのが今の安倍政権だ。共謀罪成立は、なんとかに刃物、というおぞましさなのである。

11日の東京新聞のコラムで、法政大教授の山口二郎氏が、このところの国会審議のあまりの酷さについて、〈日本の議会政治の崩壊は最終段階に入ったと痛感した〉〈私は文明か野蛮かの戦いだと訴えたい〉と書いていた。

山口氏の言う〈野蛮〉とはこうだ。

〈野蛮人の支配する王国では、公私の区別がなく、国の財産は権力者の私物であり、権力はえこひいきのために行使するのが当たり前で、役人は権力者に隷属する使用人であった。これはまさに安倍政権が支配する日本の現状である。あったことをなかったことにするのが野蛮国である〉

国会答弁では、マトモに質問に答えず、ダラダラ時間を浪費し、ヤジを飛ばすなと言いながら、自分はヤジを飛ばす。人間としての基本的な礼儀作法ができていない。それでいて、身内や友だちには甘く、当たり前のように特別扱いする。そんな首相が支配するこの国は、野蛮な国だというわけだ。

このままアベ王朝に文明を奪われたままでいいのか。山口氏はコラムの最後をこう締めくくる。

〈ようやく権力者の下僕ではなく、法に従う文明人でありたいという公務員の声が政府内部で上がっている。われわれも文明人でありたいなら、黙っていてはならないのである〉

 

 

 

 

 

 

前川前事務次官

(C)日刊ゲンダイ

 

では、国民が安倍政権に対してNOの意思表示をするにはどうしたらいいのか。国政選挙はない。だが、支持率を下げるという方法がある。

安倍首相に関する著書もある政治評論家の野上忠興氏は、「安倍首相の唯一のよりどころは支持率です。支持率が下がればガクッといく」とみる。確かに安倍が民進党をけなす場面で毎度口にするのは支持率だ。

「誰もそういう姿勢は支持しない。それが民進党の支持に表れている」

5月の国会審議でも、こう言って勝ち誇ったような顔を見せた。都合の悪いことを聞かれた際の言い訳なのだが、それでも自らの支持率が高いことが安倍の自信の源泉になっているのは間違いない。

「国民は安倍政権の政策を評価しているわけではありません。『他にいない』という消極的理由が高い支持率の維持につながっている。しかし、加計問題での不誠実な対応にさすがに多くの国民が呆れている。もり(森友)の次はかけ(加計)。そばが続いて、食傷気味です」(野上忠興氏=前出)

TBS系列のJNNが3、4日に行った世論調査では、加計疑惑への政府のフザケた態度が支持率を直撃、前回5月調査と比べ、8・9ポイントもの大幅下落となった。その傾向は、9~11日に行われたNHKの世論調査でも同様で、「支持する」は先月より3ポイント下落の48%、「支持しない」は6ポイント増えて36%。支持と不支持の差は縮まってきている。

文科省文書について「あったものをなかったとは言えない」と証言した前川前事務次官の登場、そしてそれを、あざけるように突っぱねた菅官房長官の態度を見て、国民の多くが安倍政権の欺瞞に気付いた。野蛮な人間性を目の当たりにした。それでNOの意思を示した結果が、JNNやNHKの調査に表れたと言える。

 これがさらに進めば、安倍政権は確実に倒れる。不支持が支持を逆転すれば、体調悪化が懸念される安倍は持たない。

前出の中野晃一氏がこう言う。

「安倍政権はメディアを支配し、いまや大本営発表ばかりです。国民は情報を遮断され、現実が歪められている。いわゆる“ポスト真実”の政治が行われている。そうした状況下で、国民は正常な判断ができない心理状態にある。DV夫と暮らす妻や犯罪者に監禁された被害者のような状態です。『この道しかない』と言われて、安倍首相しかいないと思わされているわけです。しかし、加計問題での前川証言などがあり、正気に戻る人が出てきた。最新のNHKの世論調査では、安倍内閣を支持しない理由のトップは『人柄が信頼できない』でした。異常な心理状態から目を覚ます人が出てきたのは朗報です。『こんな道しかない』はずないのですから」

前川前次官をピエロにするのか、それともアリの一穴にするのか。野蛮人の国に成り下がるのか、それとも文明人として民主主義を高らかに掲げる国にとどまるのか。まさに今、歴史的な分水嶺にある。

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