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前田高地は沖縄戦の「へそ」 Re: 映画「ハクソー・リッジ」 by limitlesslife
June 25, 2017, 1:56 pm
Filed under: 沖縄

川西さん
ご紹介ありがとうございます。

>ハクソー・リッジとは浦添市にある前田高地のことで、

前田高地(ハクソー・リッジ=弓のこぎり尾根)とは、
尖端に爲朝岩(ニードルロック=針岩)という象徴的な奇岩のある激戦の地、
壮絶な死闘が繰り広げられたことは、
沖縄学の泰斗である外間守善さんが60年の沈黙を破って書いた
「私の沖縄戦記 前田高地60年目の証言」(角川ソフィア文庫)に詳しく書かれていました。
(他の人たちの参戦手記も納められています)

外間守善さんは
第24師団第32歩兵連隊第2大隊所属の2等兵として参戦したのですが、
手記を出版した伊東孝一氏は同じ連隊の第1大隊長として参戦し、
軍マニュアには英雄として称えられています。

前田高地の闘いは、「沖縄戦のへそ」。
ある意味で沖縄戦の性格を語るときの、中心点でもあるようです。

当初、昭和19年(1944年)秋までは、
第32軍は3個師団半の陣容で、沖縄決戦が戦われるはずでした。
しかし、そのうちの最強師団である第9師団が、
大本営の戦略ミスであった「レイテ決戦」の余波を受けて台湾に転出させられ、
2個師団半に縮小した第32軍は、
沖縄決戦の性格を急遽変更せざるを得なくなりました。

つまり、
米軍を波打ち際で撃退する「決戦戦略」から、
米軍を上陸させて地下陣地におびき寄せて戦う「戦略持久」への
戦略変更です。
いかに少ない兵力で、いかに本土決戦まで準備の日数を稼ぐか、
を主要目標としました。

そのため、4月1日の米軍上陸は「無血上陸」となり、
日本軍の2つの飛行場はあっという間に占領されました。
飛行場を放棄するのは
32軍高級参謀八原博通らが立てた、「戦略持久」の作戦通りだったのです。

沖縄上陸は簡単にできたものの、
米軍は、日本軍の地下洞窟立てこもり作戦にはてこずりました。
兵隊も、大砲も、食料も、ぜんぶ地下壕に隠し、
米軍が射程距離の半分以下まで近づいたら反撃する、
首里外郭防衛線での、この作戦に米軍は往生したのです。

烏帽子のような形をした爲朝岩(ニードルロック)が目印の前田高地は、
昨日は日本軍、今日は米軍、あすは日本軍と、占領者が日替わりとなりました。
首里の32軍本拠を取り囲む外郭陣地として、激戦が繰り広げられたのです。

私は、映画「ハクソー・リッジ」を是非みたいのですが、おそらく、
そうした死闘が描かれているのではないかと思います。
米軍側にも大量の死傷者と精神的戦闘不適合者を生みました。
そして前田高地は、

「なぜ沖縄第32軍は米軍に反撃しないのか」
東京都千代田区千代田一丁目一番地におわす君の、
この無責任なひと言(「ご下問」)によって、
死体の山が築かれたところでもあるのです。
昭和天皇裕仁には、どうやら「戦略持久」の採用が知らされてなかったようです。

副官房殿「ご発言」に応えなければならない、
あいや、
天皇「ご下問」に応えなければならない官僚である大本営は、
沖縄32軍司令部に向かって、しきりと「反撃決戦」を「指導」「督促」しました。

( 第9師団の転出を命令して、さらにその補充としての第84師団沖縄派兵決定を、
竹田宮の横槍で覆した大本営でありながら
https://twitter.com/ni0615/status/838658343077990400 )

32軍で作戦担当の八原高級参謀は、それに反対しましたが、
参謀長の長勇(ちょう・いさむ)は、「総攻撃」を主張しました。

cf.
天皇の「ご下問」に応えなければならないと忖度した海軍は、
戦艦大和を、片道分だけの給油で、護衛飛行機、偵察機さえつけず、自殺特攻させました。

結局、「ご下問」の雰囲気圧で、
第32軍は、何回も引き伸ばしていた「総攻撃」を選択せざるを得なくなり、
4月24、25日に掛けて、南部島尻に配置していた第24師団を、
第62師団が死守していた首里北方の戦線に投入したのです。
そのときの「死守」の目標が、首里防衛外郭の橋頭堡である前田高地だったのです。

5月4日、5日の「総攻撃」では、
「前田高地を奪還して司令部をそこに移す」という、
無茶苦茶な作戦が立てられ、
それを決行した結果、「前田高地奪還」など及びもせず、
おびただしい数の兵士の命が失われたのです。

八原高級参謀の回想によれば、5月4日5日2日間の「総攻撃」の結果は、
1、第24師団の戦力が1/3に
2、砲弾のほとんどを使い切ってしまった
3、海上挺身隊の壊滅
4、わずか2日間で精鋭中の精鋭、将兵5千が死傷
5、これで防禦戦法ができなくなった

そして、32軍は
首里の地下司令部が包囲されても、あくまで立てこもり、「首里玉砕」を選ぶか
南部島尻に司令部を移すか、2論に分かれましたが、
けっきょく、「本土決戦までの時間稼ぎ」という大儀を優先して、
5月27日、摩文仁への司令部撤退を決行しました。

この日を境にして、
沖縄戦における犠牲、「死体の山」の質が変わったのです。
それまでは、前田高地に象徴されるような、「兵士死体の山」だったのが、
それ以後は、逃げ惑う「住民死体の山」になったのです。

住民には戦線から離れて避難するという選択肢はありませんでした。
軍がそのように命令しない限り、「逃げるこ」ことはできません。
32軍司令部の撤退では、トラックも無いので、住民の人力が狩り出されました。
目標になったそこに米軍の砲弾が降りそそぎました。
住民には不断に、「軍官民共生共死」の呪文が叩き込まれていましたから、
軍を助け、軍とともに、軍にたよるしかありません。

しかし、行く先々で、軍による壕追い出しに会いました。
「友軍に追い出された」
「友軍に泣く赤子を殺された」

前田高地では砲弾の雨に晒されたのは将兵たちでしたが、
南部島尻では真っ先に砲弾の雨に晒されたのは逃げ惑う住民でした。
犠牲になった住民の過半は、摩文仁撤退以後の1ヶ月で、命を失ったのです。

こうしてみると、前田高地での激戦は、
1、日米両軍の象徴的な死闘の場
であるばかりか
2、日本軍内部の戦略に関する抗争、矛盾のモニュメント
3、沖縄戦に関する天皇の戦争責任の象徴
4、沖縄住民の膨大な犠牲への転機

前田高地(ハクソー・リッジ)沖縄戦の主要な問題を考える『へそ』でもあるようです。
ni0615田島拝

ps
映画の終わりの方にはすこし問題があるようです。
https://twitter.com/openreach14/status/878613668405010432

On 2017/06/24 21:34, 川西玲子 wrote:
 川西玲子です。
 ここのところ「ハクソー・リッジ」という映画を、テレビで盛んに宣伝していたのをご存知ですか。「またアメリカが戦争映画を作ったのか」ぐらいに考えていたのですが、実は沖縄戦が舞台なんですね。今日知って驚いています。ハクソー・リッジとは浦添市にある前田高地のことで、公開済みの国から既に観光客が訪れるようになっているとか。浦添市は「これを機に平和について考えてもらえれば」と言っているそうですけど。
「ハクソー・リッジ」の宣伝に沖縄という言葉が出てこない理由
———————–
川西さん、御紹介ありがとう。
田島さん、よくぞ詳細につたえてくれました。
いわゆる「沖縄戦」に関して、本州・四国・九州・北海道にくらしているひとたちの知識は
皆無に近いでしょう。ただ、漠然と、大勢の住民が死んだいくさだった、ぐらいにおもっているにすぎない、とおもいます。
だからこそ、あなたがつたえてくれたくわしいいきさつを知ることはたいせつなのですね。
なによりも、天皇ヒロヒトの「御意志」を尊重するかに見えて、そのじつ、「かってに」あの戦争につっこみながら、
ヒロヒト天皇が「緒戦の大勝利」に「頬をゆるめ」られたといって感涙にむせんだ東条首相と
おなじ感性の官僚=御役人どもが跋扈している現在を、歴史にさかのぼって確認するという
効果があります。
むかし天皇、いまアベソーリ。
「忖度」の「伝統」は脈々と受けつがれています。
まじめに考えなければいけないことをひとつだけあげておきます。
アベの「御意志」を「忖度」したことによって、いまのところ、死者はでていないけれど、
皇帝ヒロヒトの「御意志」を「忖度」して「大本営」が実施した「作戦」によっては、
無慮無数のひとびとが、軍人のみならず民間人までも、死に追いやられているという事実についてです。
戦艦大和の「特攻出撃」については、かなり知られていますが、
米軍の侵攻経路を読みまちがえて、フィリピンの次は台湾だとかってにおもいこんだ
大本営の錯誤のおかげで、沖縄に受難がふりかかり、
さらにそのうえ、天皇ヒロヒトの「御意志」を「忖度」したおかげで、
沖縄でどれほどのひとびとが死においやられなければならなかったかについては、
ほとんどのひとが知らないでいるのですから、
田島さん、あなたのがつたえてくれた事実はまさに時宜を得たものでした。
カナメは「忖度」です。
ひこ
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