安倍晋三首相(自民党総裁)は3日午前、自民党が23議席にとどまった東京都議選の歴史的惨敗について「大変厳しい審判が下された。自民党に対する厳しい叱咤(しった)と深刻に受け止め、反省しなければならない」と首相官邸で記者団に述べた。自民党内では惨敗への衝撃から、首相への不満が噴出しかけており、党執行部は同日午前に党本部で開いた臨時役員会で、首相を支える方針を確認した。
首相は記者団に「党一丸となって態勢を整え、結果を出すことで国民の信頼を回復したい。謙虚に丁寧に、やるべきことは前に進める。政権を奪還した時の初心に立ち返る」と政権運営の決意を示した。敗因については「政権の緩みがあるとの厳しい批判があったと思う」と述べた。自身の責任や内閣改造には触れなかった。菅義偉官房長官は同日の記者会見で「基本的には地方選挙で、地域の課題への対応という点で都民の十分な理解を得られなかった」との認識を示した。
臨時役員会の冒頭では誰も発言せず、首相は口を真一文字に結び、終始険しい表情でカメラを見据えた。出席者によると、首相は「反省して謙虚に受け止めたい。国会、政策、地方選挙でできることを考えてほしい」と発言した。これを受けて竹下亘国対委員長は国会内で公明党の大口善徳国対委員長と会い、野党が要求する閉会中審査に応じる方向で調整を始めた。
3日正午には政府・与党連絡会議が官邸で開かれ、都議選で対決した自民、公明両党が、国政では引き続き連携する方針を再確認。公明党の山口那津男代表は「都議選は都政に対する厳粛な審判だった。国政は国政で課題が山積しており、結束して国民の期待に応えるべきだ」と強調。その後、首相と個別に会談した。【松倉佑輔、高橋克哉】