
「加計学園疑惑」の問題は、「国家戦略特区」の問題である!!
問題が発覚してから、連日テレビや新聞でも報道されており、もはや日本国内に知らない人はいないと言っても過言ではない「加計学園疑惑」。
しかし、この問題の本質がどこにあるのか?
ということまで理解している人はほとんどいないはずです。
なぜそう言えるかというと、この問題は、大方のメディアで語られているように、「安倍総理のお友達が運営する加計学園に獣医学部新設が認められたのは、安倍総理の意向、すなわち官邸の圧力があったからだ」ということは実は法的に全く問題ではないからです。
「えぇ、そうなの!!??」
と思われた方が大半だと思いますので、どういうことか、詳しく説明していきましょう。
まず大前提として知っておくべきことは、「加計学園の獣医学部新設は、今治市における『国家戦略特区』という制度の中で認められた」、ということです。
ちなみに、今治市における国家戦略特区指定は、平成27年12月15日、第18回国家戦略特区諮問会議において、国家戦略特区の3次指定(地方創生特区の第2弾)として、広島県及び千葉市、北九州市とともに決定されました。
実は「加計学園疑惑」の問題の本質を理解するためには、この「国家戦略特区」というものをきちんと理解していなくてはなりません。
首相官邸ホームページによれば、「国家戦略特区」とは、「産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に関する施策の総合的かつ集中的な推進を図るため、2015年度までの期間を集中取組期間とし、いわゆる岩盤規制全般について突破口を開いていくもの」と説明されています。
「国家戦略特区」は、特定地域で集中的に規制緩和や税制優遇を行うことを目的に、第二次安倍政権が2013年に、成長戦略の一環(第3の矢)として創設が決まりました。
2013年に成立した国家戦略特別区域法に基づき、2014年3月に第1弾として東京圏、関西圏、沖縄県、新潟市、福岡市、兵庫県養父(やぶ)市の6か所が、2015年3月に第2弾として愛知県、仙台市、秋田県仙北(せんぼく)市の3か所が、そして先ほど述べたように、2016年1月には第3弾として広島県・愛媛県今治(いまばり)市、千葉市(東京圏の拡大)、北九州市(福岡市の追加拡大)の3か所がそれぞれ指定を受けました。
主な取組みは、医療機関での外国医師・看護師の解禁、教育公立学校の民間開放、外国人観光客の住宅宿泊を認める旅館業法の緩和、実質的な企業の農地保有の解禁、小型無人機ドローンや自動運転車の実用化などがあります。
これまでの特区制度は、規制緩和で地域それぞれの得意な産業を伸ばすという側面が強かったのですが、安倍政権下での「国家戦略特区」は、日本の人口減少・高齢化を踏まえ、政府主導で国際競争に負けない都市づくりに取り組むという特徴をもっているとされています。
すなわち、わかりやすく言えば、「構造改革により特区に指定された地域の規制をとっぱらって、あらゆる企業の経済活動をもっとやりやすくしていきましょう」ということが最大の目的です。
実はこの「特区(特別区域の略)」という構想自体は、米国からの要望(年次改革要望書)で小泉・竹中政権時代に「構造改革特区」として作られたものです(2002年)。
「特区」としては他にも2011年には、民主党の菅政権が創設した「総合特区」や、東日本大震災の被災地で雇用、住宅、街づくりなどに特例措置を設ける「復興特区」などが制度化されました。
ちなみに前述の「年次改革要望書」は、正式には「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく要望書」(The U.S.-Japan Regulatory Reform and Competition
Policy Initiative)のことで、言ってしまえば、「日本はアメリカのグローバル企業群が日本へ参入しやすくなるように規制緩和しなさい」という主旨のものです。
まさに、「米国(の企業)の、米国(の企業)による、米国(の企業)のための」規制緩和を日本が受け入れるように求めた要望書であり、これを読めば、アメリカがいかに日本を自分たちの属国どころか、植民地としてしか見ていないかがわかります。
そしてこの年次改革要望書は民主党の鳩山政権時代に一旦は破棄されたものの、安倍政権で復活し、鳩山政権以外の政権(特に現政権含む歴代の自民党政権)では、この年次改革要望書に書いてある通りの政策展開を行い、日本の主権を米国に譲りわたすような法案ばかりを作ってきました。
労働者派遣法改悪しかり郵政民営化法案しかり。
他にも商法、建築基準法、大店法、司法制度、保健業法、その他行政慣行など、たいがいこの日本の根底を変えるような要求を飲まされてきました。商店街のシャッター街化などは、年次改革要望書の大店法改正から来ているものと言っていいと思います。
つまり、この米国からの要望書に書いてあった特区の制度が日本国民にとって有益なものであるはずがなく、今回の「国家戦略特区」構想ももちろんその例外ではありません。
そして、今回安部政権下で設けられた「国家戦略特区」は、その法律の中でこれまでの特区制度とは異なり、完全に「内閣主導の下で」構造改革・規制緩和が行われることが明文化されています。
特に「国家戦略特区」諮問会議の議長に当たる首相(内閣総理大臣)の権限が異常なまでに強くなっており、議長の権限で特区内での規制緩和を推し進めることができる構造になってしまっているのです。
また、国家戦略特区諮問会議の議長である首相以外の参加者は官僚と大企業の関係者だけとなっています。この会議で規制緩和や経済方針を決めるわけで、諮問会議に国民が選んだ代表である国会議員を入れないということは、日本の民主主義制度が崩壊するのと同じ意味を持っていると言っても過言ではありません。
しかもさらに悪いことに、この諮問会議の議員の座には、小泉政権時代に構造改革を推し進めて日本のあり方を破壊してきたあのパソナ会長竹中平蔵氏がいます。
つまり、この「構造改革特区」は米国の要望書を間に受けた竹中氏のようなグローバリストたちが思い描く、「1%の人間のための、99%の人間から搾取するため」の制度であり、決して一般国民のための制度ではありません。
それどころか、我々が選んだ代表である国会議員には何の権限もなく国家の重要なプロジェクトが官邸主導で決定されていく場が作られているという意味で、民主主義のプロセス・ルールを完全無視した制度であり、民主主義国家として到底放置していて良いような制度ではありません。
ですから、今回の「加計学園疑惑」の問題も、安倍トモである加計孝太郎氏に便宜を図ったのは、安倍政権主導で規制緩和が行われるための制度である「国家戦略特区」の下で行われたことであり、なんら法的には問題はないわけです。つまり、「加計ありき」で獣医学部親設がなされたのは、至極当然のことであったわけです。
しかしながら、こんなことがまかり通る国が果たして本当に「民主主義国家」と言えるでしょうか?
しかもこの特区において成功した事例は全国展開されていくこととされており、神戸での講演会で安倍首相が「獣医学部新設を全国展開していく」ような主旨の発言をしていたのは、単なる思いつきの発言ではないと思われます。
当然のことながら、安倍首相含め、安倍総理の側近である閣僚たちもそのこと(「国家戦略特区」は民主主義国家にはあるまじき制度であること)など決して述べません。
なぜならそれを言ってしまうと、日本という国の国家のあり方そのものが国民に疑われることになってしまい、日本において「民主主義」というものの存在など実際には言葉だけで、実際には存在していないのではないかという疑念を生じさせてしまうことになってしまうからです。
このあたりは日本が米国の属国(あるいは植民地)であり、「主権国家」とは到底呼べないのにもかかわらず、表面上は「日本国憲法」の存在により国民が守られているかのように見せかけられているのと同じ構図だと私は考えています。
長くなりましたが、この「国家戦略特区」の問題は、米国の年次改革要望書の問題も含めて、非常に大きな問題であると私は思います。
結局今回の加計学園の問題など、ここに書いた問題に比べれば、枝葉末節の議論に過ぎません!
メディアの方々には、この「国家戦略特区」の問題をもっと大きな問題として取り上げ、全国民に知らしめてほしいと思います。
そして「1%の人間たちが99%の人間たちを搾取している」という民主主義国家とは到底言えない日本の現状をもっと多くの日本国民に知ってほしいと思いますm(_ _)m
コメント:アベノミクス(レーガノミクスのマネ)は1%の99%搾取・支配:金字塔文明(世界支配者米国隷従)の一地方版!