安倍首相が内閣改造と自民党役員人事を行った。

麻生副総理・財務相、菅官房長官、二階幹事長を留任させる一方、政権に距離を置く野田聖子氏を総務相にあてるなど、「お友だち」に甘いという批判を意識し、刷新イメージを打ち出す狙いがあるようだ。

とはいえ、忘れてならないのは、政権失速の最大の原因がほかならぬ首相にあるということだ。朝日新聞の7月の世論調査では、首相の最近の発言や振るまいについて61%が「信用できない」と答えた。

辞任した稲田元防衛相を国会の閉会中審査に出席させようとしない姿勢は、身内に甘く、都合の悪い情報を隠そうとする政権の体質がまったく変わっていない現実を露呈している。

政権の強権姿勢と隠蔽(いんぺい)体質を正せるかどうか。改造内閣が問われるのはそこである。

加計問題では、野党の質問を「印象操作」と決めつけ、明らかになった文書を「怪文書」扱いするなど、首相や官房長官のおごりがあらわになった。

身内への甘さの裏側にあるのが、自らに批判的な人々を敵視する姿勢だ。東京都議選の最終日、「辞めろ」コールをする聴衆に向かい、首相が「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と声を張り上げたのはその典型である。

国会での議論を軽んじる姿勢も改めるべきだ。多くの国民が懸念を抱く「共謀罪」法を、参院の委員会採決を省略して成立させたことに象徴される。

だが、その指揮をとった松山政司・参院国対委員長を1億総活躍相に、稲田氏の国会招致を拒んだ竹下亘・衆院国対委員長を総務会長に就けた。

首相は記者会見で反省を口にし、頭を下げたが、真意を疑わせる人事だ。

改造内閣がまずなすべきことは明らかだ。野党が求めている臨時国会をすみやかに開くことだ。これは憲法に基づく要求であり、首相の都合で可否を決められる問題ではない。

臨時国会では一連の問題について関連文書の調査を尽くし、すべて公開するとともに、関係者に出席を求め、事実を包み隠さず明らかにする必要がある。

今回、加計問題で野党の追及を受けた山本地方創生相と松野文部科学相、萩生田官房副長官を交代させたが、このまま説明責任を果たさないなら「疑惑隠し」の改造と言うしかない。

自らが深く傷つけた政治全体への信頼を取り戻す一歩を踏み出すことができるか。問われているのは首相自身である。

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