困難な状況を丸ごと受け止め、心に寄り添って生活を支援するのが私たちの仕事

滋賀県野洲市 生活再建支援で滞納解決
債務整理や就労など各課が連携
山仲善彰市長 生活壊す滞納整理は本末転倒

「税金が払えない」「一括納付を迫られた」「預金が差し押さえられた」-。
自治体による地方税の厳しい徴収が強まっています。
そんな中、市民の生活再建を何よりも重視しているのが滋賀県野洲(やす)市。
納付相談に乗りながら相談者が自立できるように支援しています。
その仕組みを「債権管理条例」
(「ようこそ滞納していただきました条例」)で定めました。
滞納は生活困窮者のシグナルと捉え、自治体あげて生活再建の手助けをしています。

再建管理条例で困窮者支援定め

「税金を納めてもらう以前に市民の生活が健全でなければならない。
市民の生活を壊してまで滞納整理をするのは本末転倒。
生活を壊さず納付してもらうのが原理原則」。
山仲善彰市長は条例制定への思いを話します。

条例では、著しい生活困窮状態で徴収の見込みがないと市長が認めた場合は
徴収金を取り立てず、放棄できることにしました(2015年4月施行)。
さらに住民税や固定資産税、国民健康保険(国保)税の他に、
給食費や水道料金などによって生じる滞納債権を債権管理室が一元的に管理。
市民生活相談課と連携し滞納を解決するだけではなく、
生活困窮状態から抜け出して生活再建を支援する仕組みをつくりました(表)。

「自立支援を優先することは、理想論すぎる。
全体の奉仕者である公務員が個人のためにそこまでやっていいのかなどの指摘もある。
しかし、目の前の一人を救えなければ問題は解決しない」と山仲市長は力を込めます。

市民生活相談課が設置された2011年度からの相談者総数は1000人を超え、
毎年200人近くが相談に訪れています。
生水(しょうず)裕美課長補佐は「住民税が滞っていれば固定資産税や
国保税を納められず、水道料金や給食費も滞納している可能性もある。
困難な状況を丸ごと受け止め、心に寄り添って生活を支援するのが私たちの仕事」
と胸を張ります。

親身に相談に乗り 市民をサポート

市民生活相談課では相談者から親身になって話を聞き、
生活再建のプランを立て、「支援調整会議」を毎月開いて
プランの内容を検討しています。
就労支援を生活再建の柱の一つに据えていることも大きな特徴で
ハローワークとも連携し、市役所内に常駐する就職支援ナビゲーター
が就労相談に乗っています(図)。

過去の相談事例を見てみると・・・。

大学を卒業してブラック企業に就職した20代の男性は心身ともに疲れて仕事が
できなくなり、パチンコ依存症になって多重債務に陥り、野洲市に戻ってきました。
市民生活相談課が相談に乗り法律家につないで債務を整理し、
男性は、福利厚生が整った企業に就職。
元気を取り戻して生活できるようになりました。

飲食店を経営する30代の男性は、市税と国保税を合わせて30万円の
納付が滞り、その上180万円の借金がありました。
督促状の中に債務整理の案内があったことから市民生活相談課を訪ねて相談。
18万円の所得の中から毎月8万円を返済し、税金を納付できなかった
ことを話しました。
市民生活相談課では弁護士につなぎ、毎月2万円を4年間返済することで
貸金業者と和解し、市民税と国保税は合わせて毎月3万円ずつの分納に。
男性は生活を立て直して商売を続けています。

生存権守るのが自治体の役割と
(後略)

「表」 野洲市 債務管理マニュアルによる生活再建支援の流れ(市の資料より作成)

「納付相談」(債権所管課)
滞納者との面接時に生活状態を確認して支援の有無を確認。
滞納原因を把握し、生活再建支援が必要か判断

「要支援」(債権所管課と市民生活相談課が連携)
生活債権支援  就労支援の各種サポート
返済額平準化  収入実態に応じて分納計画を策定

(さらなる対応が必要な場合)

「徴収停止・債権放棄」(債権管理審査会)
生活債権の視点から、市民生活相談課長を加えて検討

「図」 市民生活相談課の相談機能(市の資料より作成)

「納税推進課」 滞納整理 「滞納してますよ」
「子ども家庭課」 ひとり親支援 「児童扶養手当」
「健康推進課」 メンタルヘルス
「学校教育課」 教育に関すること 「就学援助」
「障がい者自立支援課」 障害者福祉
「地域包括支援センター」 高齢者福祉 「介護サービス」
「NPO」 ホームレス支援
「保険年金課」 国民年金 健康保険
「法律家」 法律相談 「債務整理」
「やすワーク」 就労支援

→相談者 税金滞納 失業 不登校 借金 など 「払えなくて。」

→市民生活相談課 総合相談支援センター
〈職員体制〉 課長
正規3名
派遣職員
嘱託消費生活相談員(消費者行政推進事業)
嘱託相談員2名(生活困窮者支援事業)
臨時職員1名

各課・専門家が連携して解決!

(全国商工新聞2017年1月23日)

MLホームページ: http://www.freeml.com/uniting-peace

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