米中会談 トランプを揉み手でスリ寄らせた習近平の“恫喝”

脅しには脅しを(習近平) 腰砕けの二枚舌(トランプ)(C)AP
脅しには脅しを(習近平) 腰砕けの二枚舌(トランプ)(C)AP
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 米朝緊迫ムードが続いている。北朝鮮によるグアム包囲射撃の予告にヒートアップしたトランプ米大統領は、「米国領や同盟国に対して何かすれば、心から後悔することになる」「軍事的解決の準備完了」などと応戦し、臨戦態勢をことさらに強調。マクロン仏大統領や、中国の習近平国家主席と相次いで電話会談に臨んだのだが、その内容はドッチラケもの。強硬姿勢は口先だけのようなのだ。

「中国国営放送のCCTVが詳報した習近平主席との12日の首脳会談は腰砕けでした。北朝鮮への圧力強化をめぐり、なかなか同調しない習近平主席をトランプ大統領はことあるごとに非難してきましたが、電話会談では一転、おべっか交じりの社交辞令のオンパレード。中国当局に都合の良い情報の垂れ流しだということを差し引いても、表向きの発言とは温度差があり過ぎます」(現地メディア関係者)

CCTVによると、習近平は「対話と交流による問題解決」や「抑制的な行動による朝鮮半島の緊張緩和」など、従来通りのスタンスを主張。「年内の正式訪問を準備万端でお待ちしています」と水を向けた。それを受けたトランプは「中国が朝鮮半島の核問題に関して役割を発揮していることは十分に理解している」と返し、「中国訪問をとても楽しみにしている」と応じたのだ。これまでの激しい応酬は何だったのか。

ここに至るには伏線があった。共産党機関紙「人民日報」系列の「環球時報」が11日付社説で、米国、さらに中朝軍事同盟を結ぶ北朝鮮に向けて警告を発したのだ。

米国に対しては、北朝鮮を先制攻撃した場合、「中国は阻止に動く」と通告。北朝鮮には、米国領を先制攻撃した結果、米国が報復措置として武力行使したとしても、「中国は中立を保つ」とクギを刺した。そして、半島有事の際には米朝どちらにもくみせず、「ロシアと協調する」と宣言したのだ。

トランプは貿易制裁で揺さぶっていたはずの習近平から恫喝された格好である。何しろ、米国に対して「中国は阻止に動く」と宣告したのだから、そのインパクトはハンパじゃない。その直後、トランプは揉み手でスリ寄ったわけだ。

元外交官の天木直人氏は言う。

「トランプ大統領にとっては、痛烈なメッセージでしょう。ロシアゲートの真相解明はこれからですが、米ロ関係そのものが険悪な上、おそらくトランプ大統領はプーチン大統領に首根っこを押さえられて頭が上がらない。そこに習近平主席がプーチン大統領とガッチリ手を握るとチラつかせてきたのですから、冷や汗をかかずにはいられないでしょう」

トランプと「完全に認識が一致」している安倍首相は連日、有事対応で腕まくり。きのう(14日)はミサイルが上空を通過する可能性がある島根、広島、愛媛、高知4県の知事と会談し、きょうはトランプと電話会談。日中韓3カ国歴訪の途上にある米軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長を心待ちにする始末だ。まるで開戦前夜だが、大騒ぎしているのは日本だけなんじゃないか。

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