自治学会シンポ@京都同志社大学

色平(いろひら)
皆さん、初めまして。
今しがた、滋賀県の野洲市役所のとりくみを伺い、感動いたしました。
先日、同じ滋賀県南部の甲賀病院から連絡がありまして、
「外国籍の患者対応で困っている、講演に来てほしい」との依頼を受けました。
いまから四半世紀前、私が研修医だった頃、信州でタイ人の生活困窮に対処し、
HIV感染者への積極対応をしたことで、タイ政府に表彰されたことがありました。
野洲市で難しい生活相談案件に誠実に取り組んでおいでになることに感銘を受けました

生水(しょうず)さん、すばらしい!
ありがとうございます。

市長さんのご発表も、おもしろかったですね。
「友だちの数が多い人は長生き」って、皆さん、ご存じのことでしょう。
友だちが多く、お母さんがニコニコしているご家庭の家族は皆、長生きです。
死ににくいばかりでなく、転びにくいから骨折もしにくい、寝たきりにもなりにくい、
認知症にもなりにくいことが昨今、はっきりしてきました。
ビッグデータの解析が進んでわかってきたのがこの辺り。

先ほどご丁寧にご紹介をいただき、すでにばれてしまっているのですが、
お坊さんみたいな頭をしておりますが、実はお医者さんです。
そして普段、お坊さん役とお医者さん役の両方をやってること、わかります?
超高齢社会の第一線医療は、どうしてもそのような役回りとなりましょう。

そしてお坊さんもお医者さんも人々から嫌われてるって、ご存じですよね。
弁護士さんのお仕事も含め、「人さまのご不幸でご飯を食べている卑しい仕事」。
その卑しい職業の人々が、先生、先生、と周囲から持ち上げられるのはなぜなのでしょ
う?
それは人々のご不幸を扱うからこそ、なにかしらの倫理性が伴った、
そんな聖なる職業でもあった時代の名残があるからにちがいありません。

ここに6月16日付けの日経新聞があります。
記事に、がん死亡率は男性も、女性も、全国平均と比べて長野県は2割近く低い、
とあります。
長野県佐久市では、75歳以上の「高貴高齢者」人口割合は高めだが、
1人当たりの医療費は全国平均よりかなり低い。
老衰で亡くなる人は男女とも、全国平均より1.5倍以上多い。
健康長寿の秘訣はどこにあるのだろうか?との記事。
日経が特に注目しているのがわが長野県の東部・佐久地方です。

これは、実に日本一というだけではなく、世界最高。
時々、私は在京テレビ局に呼ばれます。
どうして世界一なのか。
日本の中でも信州は長寿、佐久はさらに長寿。
どうしてなのか?と。
世界銀行の部長がニューヨークから佐久にインタビューに訪ねてきたこともある位。
その時はホント困りましたね。
私たち信州の医師がお役に立てていないからだ、と感じていましたから。
「予防は治療に勝る」ということ、これはつまり、予防が成功してしまったから、
医者は要らないよ、ということにつながるわけです。

では、医療機関がどのように佐久の住民たちに働きかけてきたというのか。
塾長先生はすでにお帰りになりましたけれども、
先ほど直接、コメントを差し上げておきました。
佐久では当時、塾長先生のおしゃっていたICTはなかった。
佐久では、皆さん、分厚い健康手帳を持っておいでです。
そこに50年前から、どういう病気で、どういう処方でと、全部書いてあるんです。
自分で持ってるんです、カルテのような健康手帳を。
災害になっても、自分で持ち歩く健康パスポートみたいなものですね。
それで全てわかる。
しかも、自分自身の持ちものです。

佐久では自分の健康手帳を自身のものとする。
自分の健康は自分のものだという意識を、なぜか病院がその中心を担った筈の
健康教育活動で芽生えさせることができた?
いったいどうやったのでしょうかね。
医師がこうやって講演の形で、皆さんの前でしゃべってしまってはまったく無理なご相
談。

実は、演劇をやったんです。
ちょっと、やってみましょう。

爺 (老人車を押し、腰曲げて、よぼよぼ歩いてくる)

婆 おやー、ジイさんじゃーないかい。
えらい、ぼつらぼつら歩いてるけんど、どうしただい。

爺 おらあ、車の運転やめただよ。
子どもにかくれて、乗らっと思ったら、正月に来たとき、鍵隠されちまっただよ。

婆 よく、あきらめただにー。

爺 しょうがねー、この車(老人車)買ってもらって、うちのばあさんと一緒に歩いて
いるだに。

婆 じゃあ、買い物はどうしてるだい。

爺 おらちのおばやん、買い物が大好きだったども、どこも出かけられなくなってなあ
ー。

しょうがねーから、生協頼んだだが、注文書の棒が引けねーだよ。
だいいち、量が多くてだめだ。
次になあ、農協の食材にしただけど、農協が決めたものがくるだよ。
おれが、肉が食いたくても、魚が届くだ。

婆 まあ、そうかい。
女衆は、品物見て買いてーしなあー。
ストレス解消にもなるらぁ。
むずかしいところだいねー。

爺 だけど、これは、きっと、おらっちだけの問題じゃあねーよ。
佐久病院に診察に行くのだって、困るいなあ。
葬式だって、人に頼まなきゃ行かれねーわ。
義理を欠くようになりゃ、つれーなあー。
福祉バスは日に1本きりだし、朝でかけりゃ、夕方までけーってこれねーや。
新幹線で東京まで行くに、1時間半だなんて言ってるけんど、バスで買い物に行くのも
一日がかりだ。

婆 あー、だから、あそこんちは、東京の娘が、

ちくわだ魚だミカンだって、宅急便で送ってくるだわ。
便利なようで、なんかー、変だいなあー。
子どもがいる衆はいいけんど、おらっちみたいにいなきゃ、どうするずら。
いまちっと、世の中、何とかならねえずらか。

爺 いまちっと何とか、っちゃー、佐久病院の診察だわ。
まーで、この間なんか、2時間も待って、やっと色平先生の顔見たと思ったら、
「いいですね」で終わりだったわー。
おらー、いっぺー、言いてーことがあっただども、そう言われりゃあー、
何も言えねえで、けーってきちまっただよ。
情けねーなあ。
先生とうも忙しくてかわいそうだども、おらも、ちっとは聞いてもらいたかっただよ。

婆 ほーっ、そーかい。
どんな話がしたかっただい?

爺 天気の話とかさー、今年は寒いとかさー。
おらちの東京の孫のこととかさー。

婆 そりゃー、だめだわ。
先生だって、ふんふん聞いてりゃー、日が暮れちまうわ……。

こういうふうに、寸劇を。
佐久病院ではフツーに皆がやっていることです。
農民がオーナーシップをもち、お金を出しあって病院を築き、医師たちを雇った。
これが徐々に発展し、信州最大の病院と化し、後日、戦後になって国民皆保険制度の基
にもなった。

国民皆保険とは「農村・農民を包摂する」ということであります。
途上国のヴェトナムからでも、ミャンマーからでも毎年私のところに
研修視察に来ますが、農村をどうするのかということが、まず、大問題。
たいへん難しい。
いつもお金の問題ではありません。
どうやれば可能だというのか、、、
佐久はお金をかけずに、先ほどのようなICTがない時代に、
健康手帳をつかって自覚を促し、自分たちで脚本を書いて、
劇をやり、互いの自覚を育ててきました。
毎年、5月第3土日には、数万人が集まる病院祭が開催されます。

今年の病院祭は、スーダン保健省から医師が来たし、
ミャンマーからも、タイからも行政官がおいでになりました。

どこの国でも、途上国から来たお客さん方は
「帰国したら、ぜひ、私のところでも、病院祭、フェスティバルをやりたい」
と言い出します。
お祭りでは、若手の研修医たちが先ほどのような寸劇をやるんです。
そして、糖尿病とは何か、とか、開腹手術とは何か、とか、
住民と情報を共有し、感動を共有する。

先程、市長さんがおっしゃったことはまったく正しい。
糖尿病を悪化させてしまうと、とっても医療費がかかるんですよ。

本人としてはインシュリン注射にはなりたくはないことでしょう。
なったらどうなるのかって、自ら、劇にして、下手くそでもいい、
役者と会場が感情をやりとりする中で、ああ、そうか、予防は治療よりも大事なんだ、
「医者要らずが一番なんだ」と納得ができる。

医師は卑しい仕事。
むしろ後ろに控えているべきであって、主役を務めるべきは住民自身。
大きな病院は役にたつようだけれど、われわれ自身が取り組むことが最重要。
住民のイニシアティブでがん死亡率が下がったように、
「結果として」医療費がここまで安い、、、
これは、医者たちがアホだ、ということです。

皆さん、お医者さんって医療機関にいるでしょう。
たくさん病気がでたほうが医療機関って、もうかるじゃないですか。
佐久はあえてそういうことをしないできた、そんなアホ病院の代表ですよね。

行政が何かを仕切るということでもなく、医師が何かを仕切るという
ことでもなく、フェスティバルをしかけて、人々が気さくに、ホンネで声をあげる。
佐久病院は、サケ病院と言われてるの、ご存知ですか?

皆さんのお手元に、経済誌『プレジデント』のインタビュー記事があります。
「佐久総合病院はサケ騒動病院だ」と書いてあります。
なぜサケ騒動病院なのかというと、一緒に酒ばかり飲んでいる。
農民にホンネを打ち明けてもらうために、お酒をついで回ったんです。
そして「おらっちは、医者たちのこういうとこが大っ嫌えだ」と言わせる。
そういう、農民たちが、なかなか口に出せないでいるニーズを聞き取って、
襟を正すことを70年間も続けたら、信州最大の病院になっちゃった。

佐久病院に、経営方針はひとつしかないんです。
それは、農民のニーズに応えること。
ウォンツに応えるということではない。
欲求に応えることではなくて、ニーズに応えるということを、
若月先生たち諸先輩がとりくみ続けた結果、大病院になりました。

大きくなりたくてなったわけでもなく、医療費を下げたかったからでもなく、
「結果として」費用がどんどん下がってしまって、
「結果として」平均寿命が世界最高になってしまった。
金メダルですので、もう落ちるだけだね、というふうに、いま、長野県庁
の担当者とやりとりをしています。
「もう信州、いつ首位から、落ちるばかりなり」という感じ。

私は、『日経メディカル』で毎月連載しています。
9年前に都道府県別の医療体制になったら、ちょっと大変だね、というような
観測記事を書いたことがありました。(別添)
また、「都道府県別の医療提供体制」になったらどうでしょうか、
というような、いいかげんな記事も5年前に書いてますね。(別添)
これらは手探り的なもの過ぎません、、、その後、つい先月、書いたのは
新専門医制度になったらいったい第一線医療はどうなるというのか。(別添)
お手元に記事コピー、ございますか?
こうやって医療政策や医師教育について、多少とでも発信するように致しております。

京大医学部の出身なので、つい先日後輩たちに紫蘭(しらん)会館で話しました。
今日も数人か来ているかもしれないですが、私が赴くと、あちらこちらから医学生
看護学生が集まってきて、私の口車に乗って、信州の村までやって来てしまいます。

15年間で2000人ぐらい学生が来ました。
もう、もてまくり。
ほとんどが女の子、わかります?
なんで、私がもてたのかぜんぜんわからないよ。

年間百数十人は来たものですが、そのうちの1割ほどは海外へ送ります。

フィリピンへ送ったり、バングラデシュへ送ったり、英語圏が多いです。
そういう途上国の農山村に足をはこんで、「貧困の中に」身をおいて、
戦前、日本の産業組合の指導者たちが農山村で自前の医療機関をもつために
どのように苦闘したのかということを、
後日、日本に戻ってから日本語で勉強していただくための事前準備をしていただきます

昭和農村恐慌で苦しんでいた時代の農民たちの語りは、今も長野県に伝わっています。
けれど、それを今日本語で聞いてもよくわからない、というので、
最初は英語で海外で、現代の事情を聞いて来てもらうようにしています。

「地域包括ケア」という言葉、先ほど市長さんもおっしゃったように最近の言葉です。
厚労省も認めていることだからいいますが、これ、佐久モデルのことなんですね。
これやると、医療費は下がるという単純なお話。
病院祭やったり、劇やったり、つまり医師たちの頭をきりかえないといけない。
そのように、先ほど、塾長先生も言っておいでになりましたでしょう!
だから、若月院長は(オルタな医師を育てる)農村医科大学をつくりたかった。
未だ設立できてはおりません。
われわれのような、医科大学の医局に入っていない、はぐれ連中を集めましたら、
ドクターは現在230人以上、毎年どんどん増えるという、そういうミラクル病院です。

では、ミラクル病院にはどうして医師が集まるのか。
今日の課題で、塾長先生が残した宿題のうち、最大のものはここです。
制度やお金ではない。
のこる要素としては、人の心というべきか。
実際は専門家たちの医師あたま(石頭)。
これ、かたいという意味ですが、医師頭をどうやってかち割るのか、ここが大問題。
ここは京都市であり、府立医大と京大の二つがありますけれど、多くの県では1個しか
医科大学がありません。
県に1個しかないこの大学医局がどのぐらい「白い巨塔」的な権力を持っているのか。

彼らはもちろん、ものすごく大事なんです。
こと医療に関して、「白い巨塔」とどうつきあうのかという、
このお作法を誰が教えてくれるのか、という辺りで悩んだ学生たちが私のところに来る
ようです。

京都府立医大でも講義したことありますが、
「ここで私がしゃべったことは全て忘れ、講義室から出た後、決して外でしゃべるな」
と、申し上げました次第。
そのぐらい「沈黙の掟」になっているわけね、今でも。

介護のお話もしましょう。
介護で大事なコミックがあります。『ヘルプマン!』って知っていますか。
あてないから、知ってる人、手を挙げて。
良かった。
『ヘルプマン!』って、この第8巻がいいと思います。一冊544円。
講談社の回し者である私は、544円、『ヘルプマン!』コミック第8巻、と言って回りま
す。
これを買えば、TPPも読み解けるし、とか、なんとか言って、売って回ります。

これ面白いね。
皆さんが大事にすべきは、学者さんが本とかで書いたり展開したりすることではなく、
地域の人たちがどういう思いでいるのかということ。
一番大事なのは、本当に困った時に自分をちゃんと助けてくれるのだろうか、、、
という辺りを不安に思っている、ここをうまく描けてあるのがこの『ヘルプマン!』。
特に第8巻が良いと思います、1冊買うなら第8巻。
講談社が出していますよ、どうぞよろしく。

こういうことを私、全国市議会議長会でもしゃべったことがあるんです。
皆さん全員が『ヘルプマン!』コミック第8巻を何冊か買って、それをばらまいて、
みんなでちょっと泣いたりすれば、実はそれでOK。
市議会議員が全員読んだら、もうぜったい、そこの議会は、そして自治体が変わる。
これは本当のことです。

世界中が注目しているのは、日本国がこんなスピードで高齢化し、人口がドワーッと
落ちるなんて、そんな国、世界史上あり得なかった、「お初」の状況になっている。
ジェットコースター状態。
だから、どうなるのかって、私は先進国とももちろんおつきあいはあるけれど、
途上国からも、どんどん質問が寄せられる。
そこで、健康手帳だよ、とか、病院祭だよ、って答えると、
向こうで勝手にはじめちゃうんですよ。
ローコストだから。
50年後ぐらいに佐久病院みたいになりたいからかな、彼ら。

皆さんに質問をしましょう。
医者が少ないといわれているでしょう。
何科が少ない、どの医者が少ないかわかります?
一般内科医が少ないんです。
さっき、塾長さんは「総合医」っていってたかな。
総合医というのはほぼ一般内科医のことです。
一般内科医というのは専門内科医じゃないっていう意味。
医科大学では、みんな、専門医になりたいわけ。
循環器内科、消化器内科、かっこいいから。
かっこいいのは、たとえば脳外科とかね。
そうじゃない、一般内科医になる医者がホントは大量に必要なんです。

一般内科医が一番守備範囲が広い。
野球で言うと内野手。
一般内科医は、福祉と協働できる。
一般内科医をちゃんと仕込めば、医者語だけじゃなくて、村語もしゃべれるし、
行政語もわかるんですよ。
自治医大は、それを育てようとしてきています。
一般内科医を育てるためにどうしたらいいのかということをもっともっと真剣に考えて

文科省に迫らないといけません。
これは厚労マターじゃないですからね。

医師不足をどうしたらいいかって、皆さんに、回答しましょう。
それは「医師を輸入するか、患者を輸出」したらいい。
皆さん、のけぞってる場合じゃないですよ。
これ、正しいんです、新自由主義的には。
諸外国ではみんな、やってるわけです。
なぜ、日本ではできないのかって考えたこと、ありますか?

日本語をしゃべるのは日本国だけでしょう。
だから、国外にだされちゃった患者さんたちは日本語でケアをしてもらえない。
自分に身を置きかえたらひどいことだ。
外に植民地をもっていた時代ならともかく、日本語ができる医師はもう海外では
輩出できないのだから、国内で「一般内科医」を養成するしかないんです。

これは、すでにものすごーい背水の陣なんです。
私は、2000人の医学生看護学生の相手をしたけれど、これは愛国心の一心からです。
君たちが一般内科医になって、途上国の苦労もわかって、
オーナーシップをあえて農民にとらせて、自分が技術者としてかっこつけるのではない
方向へ進めるか。
医療技術を商品化するのでなく、権威化するのでもない。
医療技術を協同化し、「みんなのものだ」といってみせるような医師を
大量につくっておかないとわれわれ自身の老後がアウト。
ということで、私はこの十数年、いろいろやってきましたが、全然、力が足りません。

きょう、もう一つお話ししなければいけないのがSDH。
Social Determinants of Health。
健康を支えるその決定要因が何なのかということ。
われわれが健康で長生きする。ハッピーで、お母さんたちが笑顔であるためには、
どういう要因があるのか。
大まかに言って、「遺伝」が4分の1はある。
お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんが長生きな人は長生き。
この4分の1はしょうがない。諦めてね。
遺伝がもしも全部だったら、もう諦めてくださいね、医者、要らないでしょう。

じゃあ、残りのこの部分を決定する因子、ここの4分の1が「医療技術」です。
ではここ、残りの4分の2、半分の決定因子が何なのかということ。
これが、友人が多くて、ニコニコして、何かと支援の手があり、
自分も支援できたらうれしいし、人と人とのつながり、日本語で言えば、おたがいさま

おかげさまで、というところ。
この社会的要因で健康の半分を支えることが担保できているんです。

長野は、医者が優秀かって、優秀じゃない。
むしろ、医者が優秀じゃないことを認めて、こんなこと70年前に見抜いたんです。
佐久はね。
いまになって、やっとビッグデータで分かるSDHを。
だから、WHOが学びにやって来るんですよ、世銀も取材に来るんですよ。
なぜ、こんなことができたのか。
ワシントン・コンセンセスでは解決できないことを、なぜ佐久ができたのか。
われわれは別に医療費を下げようと思ってやったんじゃないのです。
日経新聞は、誤解して、そう褒めてくれてますけれど。

農民は、医者の顔なんか見たくない。
医療費払いたくない。
でも、長生きしたい、痛くないように。
それはニーズだから。
その思いを大事にできるかどうかというのは、
別の意味でしょうね、ちょっと変わった専門家たちを輩出しないと無理。
日本は大量の「一般内科医」をもたないと、この超高齢社会を乗り切れないんです。

なぜ、長野がトップなのか。
いろいろな質問がきます。
いろいろな人が答えています。
でも、はっきりしてるのは、当時、農民は貧しかった。
医者にかかれず、死んでいた。
そういう人たちのところに入って、多少でも、「医療技術」のこの4分の1をやる。
当時はこれ、非常に効いたんですよ。
平均値は上がる。
クラスで言えば、九九のできない子どもたちのところへ行って、九九を教え込んだら、
平均値、バーンって上がるでしょう。
ただそれだけのことなんです。

でも、そのときのおしつけとして、医師が大事なのではない。
行政も大事だけど、むしろ保健師さんが大事だと、女性たちの働きが大事だと。
あなたたちが思いを持ってやってることを、われわれは見守って、あえて介入はしない

手控えるような感覚で、おたがいさま、おかげさまで、という、
日本のムラ社会がもともと持っていた良いところを生かすようにするように仕向けたの
が、
若月が天才である所以です、とこの記事に書いてありますね。

東大医学部は創立以来の百何十年のうちに3人の天才を産んだというんです。
その3人のうちの1人ですよ、若月先生は。
どう天才なのか、ちょっと説明しきれないですね。
SDHを70年前に見抜いて、それに適合した社会活動を始めちゃうというのは、
いったいどういう人なんでしょうね。
いや、これ、英語でよく聞かれる質問なんですけれど、ちょっと想像もつきません。
もうそろそろお時間だと思います。

===

色平
高松の丸亀商店街に伺って、一度『日経メディカル』に書いたことがあります。
各地のさまざまな「自前の自治」の取り組みについて、取材して回ったこともありまし
た。
生水さんのご著書について、ぜひ、『日経メディカル』で
拙評を書かせていただきたいものだと感じております。

自分で発信する立場になりますと、毎週、朝日新聞に連載していたこともあるんですが

診療ばかりしていて、取材に行けないので、いろいろなネタがほしくなるんです。
だから、今日のこの場のような学会に参加すると、勇気づけられます。
同時に、皆さんがどういうところで日々悩んでおいでになるのかということに
関心をいだきます。
サケ騒動病院の如く、懇親会なりで飲んでお話ししてみたいものだという気持ちになり
ました。
フォーマルな場では本音がでないですからね。

佐久の場合は、医者がフツーの医者の仕事をやらないようにしているんです。
ケースワーカーみたいな仕事を医者がやってもいいのだ、と。
さらに言うと、佐久では、医者と医者以外のスタッフとが平等です。
全職員で研修医たち若手を育てる。
毎年16人、若い研修医が就職し、それをわっさわっさとみんなで育てるという感覚。

医科大学での卒前教育が終わった後、卒後研修の場では、
こういう医者になってほしい、こういう医者は困るんだ、そして
こういうことで私たちは困ってるんだけど、、、という現場の話を聞かせます。
医療だけでは解決しきれない課題、例えば外国籍住民を含む
地域の人たちと語り合うような場を設定するようにして、職員教育にとりくむ。
間接的には、研修医たちの定着率、つまり初期研修医たちがどのくらい後期研修に
残って佐久で働き続けてくれるかということが、われわれの救急医療体制を支える
大きな基礎になっているということもあってのこと。

長野県にひきつけていうと、総合医を育てることのできる医療機関は、
佐久病院と諏訪中央病院しかないんです。
大学医局がそういう意識を持っていないはずはないでしょう。
しかし医局の論理というのは、自らの弟子を育て、研究者を育てるという方向性。
一時代前はこれで良かったのだと思いますが、現在の国民ニーズにはあわない方向です

医科大学は、合議制の中世的なギルドみたいな組織です。

「生命だけは平等だ」という言葉、皆さん、知っていますか。
徳洲会を創設した徳田さんの言葉です。
生命だけは平等だという言葉があそこまで支持され得たということの背景には、
現今の医療提供体制に関する不満がある。
なかなか言葉にならないところではありますが、
ここを踏まえて、徳洲会病院はあんなにも大きくなった。
離島医療、救急24時間診療といった分野のことです。
そういった庶民の期待に応える医療者たちも存在していた、
という歴史を浮き彫りにしてくれています。

私は、大西市長さんとちがって、ちゃんと卒業しないで、中退。
中退して京都へ、でした。
京大は中国学で有名です。
医者の医というのは、京都ではこういう字で習うんですよ。
これ、旧字体です。

左上は技術です。
刃物をちゃんとサックに入れてある、危ないから。

右上は手です。
手あてのこと、あるいは、奉仕のこと、ケアのことなんですね。
左上がキュア、右上がケア。

下はお酒。
これは祈り。
地域住民が素朴な意味で地域共同社会の仲間の病気を心配している。
おたがいさま、おかげさまで、みたいな感じ。
自然村で、自分たちの同胞の回復を願っている、そんな祈りです。

医療の三要素です。
そのうちの左上、「技術」だけを取り出して教えてしまっていること
についての批判を、われわれは京大医学部で習いました。
この教えが京大の中でさえきちんと後代に引き継げなくなってるということを聞き、
私はもうのけぞっているんです。

佐久では、あるいは地方で何ができるというのか、とのご質問ですね。
まず、病院祭をはじめたらいいと思います。
病院祭をやるとなると、皆さん、自治体病院を持っておいでになりますね。
現場はのけぞると思いますよ。
うまくいっているところでは、病院が人気者になって、
地域のニーズが伝わっていき、不満や不安感が少なくなるいうことがわかってきており
ます。

佐久のデメリットをいえば、住民側の要求水準が非常に高くなりました。
佐久病院には、気安いお医者さんしかいない。
皆さん、農協の組合員といえば、みな農民じゃないですか。
佐久では農民が拒否権を持ってますから、「この医者は要らない」っていったなら、
われわれは首になっちゃいます。
そういう、一定しんどい場所でご修行いただくということで、後日、開業した際には
大成功、というような世迷いごとを、私はあえて私立の医科大学で講義しています。

別に介護保険制度とは関係なく、相手の介護ニーズを把握できるという能力は、
担当者の心のアンテナ次第です。
それはお金にもなるけど、みんなのためになる能力。
皆さん、どうでしょうか。
英語と数学と物理があそこまでできる医科大学の医学生たち、
彼ら、日本語しゃべれないでしょう。
医科大学・吉本枠でもつくったほうがいいぐらい、と感じるところ。

医療は技術です。
医者は技術がちゃんとしていないようだと、特に外科系は困ります。
ここに大きな矛盾があります。

皆さんは、自分の子どもさんたちが医者になったとして、出身地域に呼び戻しますか?

講演した後など、村長さんたちが酒を飲んで、「色平先生、ぜひ、うちに来てくれ」
っていってきます。
「今いる医者、困ったやつだ、、、何とかしたい、、、」といってきます。

「そんなこと言っちゃ駄目ですよ、今、来ているお医者さんを大事にしなきゃ駄目です

と、お答えいたします。
そのうちに、「うちの子はできがいいから、都会の医科大学にいってる」などと。
私から「お子さんを早く戻し、村長さんの村に貢献してもらったらいい」。
そしてさらに「村長さん、そこまで言うのだったら、
村長が今から勉強して医大行って医者になって村に赴任してください」と。

医者はウジではないから、そこいらから自然にわいてでてくるものではない。

自治体と同じように、つまり行政語と同様、医者語というものが現に存在します。
医者どうしでの仁義の切り方、医者仲間での仕切りのあり方、、、
このような古来のギルド団体に関し、その的確な読み解き方までを開示してくれる奇特
な人は絶無。
「メディカル・リテラシーの教科書」はなかなか出版困難、いうことでしょう。

皆さんにとって、『ヘルプマン!』という講談社コミックは
「ケア・リテラシーの教科書」でありましょう。
ケアを読み解くためには、「コミック544円、第8巻」でOK。

医療についてもっと読み解いてみたいという向きには、岩波新書をぜひ。
『医療のこと、もっと知ってほしい』という岩波ジュニア新書がでています。
1冊で、OK。

これ、サケ病院の話です。
自分たちのこと、自分の病院のことを私は書けなかったので外部の方に書いてもらいま
した。
この本をもって、佐久でない地域ではどうなのか、というご質問に対するお答え
にいたしたく存じます。
ありがとうございました。

MLホームページ: http://www.freeml.com/uniting-peace

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