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連載:社説
2017年10月7日05時00分
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自民党との違いを出そうと苦心しながらも、むしろ自民党との近さの方が印象的である。
希望の党が公約を発表した。
自民党との対立軸を意識したのは「消費増税凍結」と「原発ゼロ」だろう。だが急ごしらえを反映し、実現への道筋はあいまいで説得力を欠く。
消費増税2%分、5兆円余の代替財源をどうするのか。歳出削減や大企業の内部留保への課税をあげるが、税制の制度設計には時間がかかる。2年後の財源とするのは乱暴すぎる。
原発は「日本の将来を担うエネルギーとは考えない」とし、「2030年までに原発ゼロをめざす」との目標を掲げた。
では、それをどうやって実現するのか。具体的な行程表はこれからつくるという。
消費増税凍結も原発ゼロも、現状では、政策というより「主張」の域を出ない。
一方で、自民党に寄り添うような公約が目立つ。
憲法改正では「9条を含め憲法改正論議を進める」ことを公約の3本柱の一つに掲げた。
小池百合子代表は記者会見で「希望の党の存在が、これからの憲法改正に向けた大きなうねりをつくる役目を果たしていくのではないか」と語った。
民進党が憲法違反だとして白紙撤回を求めてきた安全保障法制については「現行の法制は憲法に則(のっと)り適切に運用する」と容認した。
米軍普天間飛行場の辺野古移設も、小池氏は「着実に進める立場」と言い切った。
小池氏は「安倍1強を倒す」といいながら、みずからの立候補は否定し、希望の党としての首相候補も決めていない。
同時に、選挙後の他党との協力について「結果を見て。政治では当たり前の話」と語る。安倍首相が退陣すれば、他の自民党首相のもとで連携する可能性を示唆したとも受け取れる。
だが200人以上の立候補予定者を擁し、政権奪取を掲げる事実上の野党第1党である。
自民党に代わる選択肢をめざすのか、それとも、場合によっては自民党の補完勢力となる可能性も排除しないのか。
基本的な党の姿勢を明らかにして1票を求めるのが、有権者への最低限の責任ではないか。
公約のつくり方にも疑問がある。希望の党はまだ党規約もなく、党の意思決定の仕組みさえ整っていない。すべてが小池氏の号令一下で決まっているかのようだ。
立候補予定者の幅広い論議もなく作成された公約には、大きな疑問符がつく。