22日投開票
現行憲法下で25回目となる第48回衆院選は10日公示され、22日の投開票に向け12日間の選挙戦が始まった。自民、公明両党が4年10カ月にわたる安倍政権の継続を訴えるのに対し、政権交代を目指す希望の党は日本維新の会と連携。共産、立憲民主、社民3党は選挙協力で政権批判の受け皿を狙う。選挙戦はこの3極を軸に展開される。2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げの是非や、憲法改正が争点になる。【西田進一郎】
新党の議席数が焦点
今回の衆院選を前に、「1票の格差」是正のため小選挙区数が6県で各1減され、比例代表も4ブロックで定数が1ずつ減った。衆院定数は小選挙区289、比例代表176となり戦後最少の465議席を争う。
安倍晋三首相(自民党総裁)は、消費増税分の使途を国の借金返済から幼児教育無償化などに変更することや、核・ミサイル開発を強行する北朝鮮への対応について国民の信を問うとして、9月28日召集の臨時国会冒頭で衆院解散に踏み切った。衆院選は2014年12月以来。
首相は議席目標を与党で過半数(233議席)と設定。10日午前、福島市での演説で経済政策「アベノミクス」の実績を列挙し、「政策こそ未来を切り開く。負けるわけにはいかない」と強調した。7月の東京都議選で小池百合子東京都知事が率いた「都民ファーストの会」と協力した公明党は、衆院選では自公連携を強調。山口那津男代表は北海道岩見沢市で「政権選択選挙だ。自公連立政権でこれからの日本を担わせてほしい」と訴えた。
小池氏が結成した希望の党には民進党の多くが合流した。消費増税凍結を掲げ、アベノミクスを批判する。小池氏は東京都内で学校法人「森友学園」「加計学園」問題にも言及し「安倍1強政治を終わらせよう」と呼びかけた。日本維新の会は政策が近い希望の党と選挙協力する。松井一郎代表(大阪府知事)は大阪市内で府の教育無償化の実績を強調、「増税することなく教育無償化はできる」と主張した。
共産党の志位和夫委員長は東京都内で「争点は安倍暴走政治をこのまま続けていいのかどうかだ」と政権を批判。立憲民主党を結成した枝野幸男代表は仙台市で「まっとうな政治を取り戻すために、新しい受け皿が必要だ」と訴えた。社民党を含む3党は多くの小選挙区で候補者を一本化した。
首相は5月、憲法9条第1項(戦争放棄)と第2項(戦力不保持)を維持しつつ自衛隊の存在を明記する改正を提案した。希望の党は9条を含めて改憲論議を進めると公約し、日本維新の会も改憲に前向きだ。共産、社民両党は改憲に反対し、立憲民主党も「9条改悪に反対」と主張している。