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11月5日からトランプ米大統領が日本、韓国、中国など東アジア5カ国を訪問するのに備え、米軍は北朝鮮周辺の戦力配備を急増し軍事的圧力を強化している。横須賀を母港とする空母「R・レーガン」に加え、カリフォルニア州サンディエゴから「T・ルーズベルト」が日本近海に渡来、アラビア海にいた「ニミッツ」も駆けつけている。
この3隻の原子力空母は各艦がFA18E戦闘・攻撃機44機など60余機を搭載している。米空軍はF35Aステルス戦闘機12機を約6カ月間、嘉手納に前進させる。すでに岩国にいる海兵隊のF35B(垂直離着陸可能)16機を合わせ28機がレーダーに映りにくいステルス機となる。また空対地核ミサイルを搭載するB52H爆撃機もグアムに進出する。いまグアムにいるB1B爆撃機は米ロの戦略兵器削減条約で核兵器を搭載できないように改装されている。
10月10日付の日刊ゲンダイで述べたように、北朝鮮の核・ミサイル関係経費は意外に安い。韓国政府の推計で昨年200億円余、北朝鮮のGDPの約0・6%にすぎない。「経済制裁で資金源を断つ」といっても、北朝鮮に核・ミサイルを放棄させる効果は乏しいから「軍事圧力」(すなわち威嚇)に頼るしかない。
ただし威嚇は相手がそれに屈しない場合、引き下がるわけにはいかず、一層圧力を強化せざるを得なくなる。米艦隊や航空機が北朝鮮の領海、領空付近で行動したり、これまで各地の上空で行ったように、偵察機が領空侵犯して写真撮影をすれば、北朝鮮は対空ミサイルを発射し、戦争の口火となりかねない。
米軍上層部は「1953年以来休戦状態にある朝鮮戦争の再開は韓国、日本に大被害を招く」として慎重だが、もし北朝鮮が米軍機などに対し「初弾」を発射すれば、トランプ氏は武力行使を命じても「戦争を始めた」責任は免れる。米上院外交委員会のR・コーカー委員長など与党共和党の大物議員をツイッターで罵倒するなど、次々と自らを窮地に追い込んでいるトランプ氏は「戦争になれば多数の死者が出るが、それは米国ではなく、あっちの方」とも言っている。起死回生の手段として武力行使の選択肢に手が伸びかねない。
米、韓軍の航空攻撃などで北朝鮮の弾道ミサイル数百発を一挙に破壊できればいいが、中国国境に近い山岳地帯の無数のトンネルに、移動式発射機に載って隠れているミサイルの精密な位置をリアルタイムでつかむのは困難だ。一部のミサイルを壊せても、滅亡が迫った北朝鮮は残ったミサイルを急いで発射するだろう。核弾頭付きと通常弾頭のミサイルを交ぜて多数を発射されれば、日本のミサイル防衛は突破される。
もし北朝鮮が9月3日に実験した威力160キロトンの水爆が東京都心で勤務時間に爆発すれば、爆心地から4キロ余の半径内にいる約400万人のほとんどが死傷、約6キロ圏内の人もヤケドを負う。政治、行政、経済、情報などの中枢が破壊され日本全体が大混乱になる。もし、そうなればトランプ氏と「対話なき圧力」で「完全に一致」したと誇った安倍首相はその責任者として「歴史に名を残す」ことになる。
一方、米国の現実派は対話の必要を説き「核・ミサイル開発の凍結と国交樹立」を落としどころと考える。北朝鮮も「核戦力建設の目標は全て達成した」(労働新聞)と凍結に応じそうな気配も見せだした。米国にとっては自国を確実に狙うICBMの配備を防げば成功だが、「凍結」は北朝鮮が日本を射程内に入れた核ミサイルを持つことを米国が黙認し「国交樹立」は金正恩政権を米国が承認することを意味する。これに日本が賛同すれば核戦争は回避できるが、日本の右派は安倍首相を激しく非難するだろう。安倍氏は強引な解散で首相の椅子を確保したが、それは電気椅子になりかねない情勢だ。