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連載:社説
2017年12月1日05時00分
幕引きなどとんでもない。疑問はますます膨らむばかりだ。
森友学園への国有地売却をめぐり、政府の異例ずくめの特別扱いが、計4日間の衆参の予算委員会で改めて浮かんだ。
まず、財務省が認めた二つの音声データの内容だ。「ゼロに近い金額まで努力する」「(地中のごみは)知らなかった事実なので(補償を)きっちりとやる必要があるというストーリーをイメージしている」
近畿財務局側が学園側に伝えた言葉は、大幅値下げのための価格交渉や口裏合わせではないのか。この内容を補強するメモも新たに示された。事前の価格交渉を否定してきた佐川宣寿(のぶひさ)・前理財局長の国会答弁が、根幹から揺らぐ事態である。
だが財務省はこんな理屈を持ち出した。「金額」については話したが、「価格」は交渉していない。「口裏合わせ」ではなく、ごみの量を見積もる「資料提出のお願い」をした――。
うなずく人がどれほどいようか。説得力を欠く詭弁(きべん)である。
取引の異例ぶりや手続きのずさんさも鮮明になった。
最近の1千件前後の同種契約で森友だけが金額が非公表とされ、売却を前提にした定期借地契約が結ばれ、分割払いが認められていた。一方で、予定価格を決める際に必要な「評価調書」は作成されていなかった。
なぜ、こんな無理が通ったのか。野党が改めて調査を尽くすよう求めたのは当然だ。
だが麻生財務相はこれを拒んだ。関係者の処分も否定した。麻生氏がなすべきは徹底した調査を指示するとともに、財務省トップとして自らの責任を明らかにすることではないのか。
安倍首相はこう語った。「財務省から適切に処理したとの答弁があり、そう報告を受けていた。私の答弁は、そのような理解の上で申し上げた」
責任は財務官僚にあり、自分は報告を信じただけ。そう言いたいのだろうか。だとすれば、行政府トップとして無責任な発言というほかない。
「この問題を野党はいつまで長引かせるのか」。自民党などにはそんな声もある。だがわずか4日間の審議で、これだけの疑問が指摘された。しかも政府から納得できる答弁はない。
首相がいま求められていることは、はっきりしている。
会計検査院の調査報告や予算委で指摘された疑問を解明すべく、関係省庁に徹底調査を指示する。当事者が国会で説明するよう指導力を発揮する。
首相自身が腹をくくり、解明に動かねば問題は終わらない。