巨大病院グループを築き上げたカリスマ

巨大病院グループを築き上げたカリスマ

本書は、71病院、年商4200億円、職員数3万人超の
「徳洲会グループ」を一代で築き上げた徳田虎男の栄枯盛衰
の物語である。

著者は側近らへのインタビューを通じ、白衣に象徴される
「患者のために」という聖性と、拡大路線を貪欲にひた走る
俗性が混然一体となって強烈なカリスマを放っている徳田の
実像に迫っている。

学閥や年功序列を廃し、若手を積極的に重職に抜てきした
人材登用術、人口動態や現地での医療ニーズを調べ尽くした
うえで新規病院の立地戦略を立てるマーケティング手法、
医療機器や薬品の一括購入、医療に不必要な設備投資を
徹底的にそぎ落とすローコスト経営ーー早々に医療の現場
を離れ事業者としての道を歩んだ徳田が、慣習や常識を
打ち破りながら経営手腕を発揮するエピソードには事欠かない。

豪放磊落(らいらく)な性格で「生命(いのち)だけは平等だ」
の理念と世界進出の夢を語りかける人柄に多くの医療関係者が
心酔した。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)で闘病中の徳田が理事長職を去って
「徳田王国」が崩壊した後の現在でも、
「年中無休・24時間オープン」
「健康保険の3割負担金に困っている人には猶予する」
「患者からの贈り物は一切受け取らない」など
創設時から掲げている行動原理は今でも守られている。

一方、職員へのパワハラや関連会社を通じた裏金づくり、
違法な選挙工作など、コンプライアンス意識の甚だしい
欠如には驚きを通り越して恐怖さえ感じるほどである。

ナンバー2として長年王国を支えてきた幹部との決裂と
その後の暴露合戦は、週刊誌ジャーナリズムの格好の餌食
となった。

タイトルの「神になりたかった男」という文言が、より
いっそう人間の負の部分を際立たせているような気がして
ならない。

===

【書評】新刊本 今月の一冊
「戦略経営者」 2018年1月号掲載

irohira
MLホームページ: https://www.freeml.com/uniting-peace

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