「国境なき医師団」を見に行く 難民支援 最大限の敬意払う姿 

「国境なき医師団」を見に行く 難民支援 最大限の敬意払う姿
いとうせいこう著 講談社 1998円
東 えりか (書評家) 信濃毎日新聞書評 2018年1月28日

編集者であり、作家、クリエーター、としてマルチな才能を
見せるいとうせいこうが「国境なき医師団」を見に行こうと思ったのは、
彼が団から取材を受けたとき、その活動が多岐にわたっていることを
知ったからだ。
通常、発祥の地であるフランス語の略語「MSF」と呼ばれることが多い
この組織は、全世界70数カ国に展開している。
紛争や天災に見舞われた地域に真っ先に入り医療や精神的、
社会的ケアを行う。

2016年3月から17年4月の間に、いとうが赴いた国は、
ハイチ、ギリシャ、フィリピン、ウガンダの4カ国。
MSFジャパンの広報、谷口博子さんとともに訪問した。

10年の大震災の傷がまだ癒えない16年に大型ハリケーンに
見舞われたハイチは、保健医療体制がまったく機能していなかった。

ギリシャで難民、と聞くとなぜ?という疑問がわくが、中東や
アフリカなどからの難民や移民が到着する最大の拠点だと知って驚く。
EUとトルコの難民対策合意により、行き先を失った5万5000
をこえる人々が約50のキャンプにいるというのだ。

「女性を守るプロジェクト」を行うフィリピンのマニラでは、
都市の中心部にあるスラムの過密人口と貧困に衝撃を受ける。

自衛隊も派遣された南スーダンから現在100万人に届く難民を
受け入れているウガンダ。
難民の9割が女性や子どもの理由は、
家や土地を守ろうと男性は地元に残るからだという。

ジャーナリストではない著者は、写真撮影も最小限にして
人々の話を聞くことに徹する。
難民たちの話だけでなく、活動する医師や物流・流通の専門家、
事務職員たちが持つ奉職した理由や使命感もさまざまだ。

彼らは難民やスラムの人々に対し最大限の敬意を払って
支援に当たっていた。
日本の災害でも派遣されていた組織なのに、
私たちはこのことを知らな過ぎた。
本書で多くの人に興味を持ってほしいと切に思う。

著者は1961年、東京都生まれ。
作家、クリエーターとして多方面で活躍。
著書に「想像ラジオ」「どんぶらこ」など。

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MLホームページ: https://www.freeml.com/uniting-peace

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