名古屋高裁は「違憲状態」 11件目判決で初

衆院選で投票する有権者=東京都千代田区で2017年10月22日午前11時52分、宮間俊樹撮影

 「1票の格差」が最大1.98倍だった昨年10月の衆院選(小選挙区)は投票価値の平等を求める憲法に違反するとして、弁護士グループが愛知、三重、岐阜3県の計24小選挙区全てについて選挙無効を求めた訴訟の判決で、名古屋高裁は7日、小選挙区の区割りを「違憲状態」と判断した。藤山雅行裁判長は「最大格差は極めて2倍に近く、見過ごせない」と述べた。その上で請求は棄却した。

 昨年選挙を巡り二つの弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部に起こした計16件の訴訟で、違憲状態の判断は初めて。これまでに出された10件の判決は全て「合憲」と判断していた。

 最高裁は、都道府県にまず1議席ずつ配分する「1人別枠方式」が格差の主な原因として2009年、12年、14年の衆院選を違憲状態と判断した。これを受け昨年の選挙は、三重など6県の小選挙区が1減る「0増6減」を伴う97選挙区の区割り変更で実施され、当日有権者数は最多の東京13区と最少の鳥取1区で格差が1.98倍となった。小選挙区制導入以降初めて、区割りに関する法律が基本とする「2倍」を下回った。

 これについて藤山裁判長は「最高裁判決は議員1人当たりの有権者数をできる限り平等にすることが求められるとしており、2倍未満なら容認するとの趣旨ではない」と指摘した。さらに国会が、人口比をより正確に反映できる「アダムズ方式」の導入を決めながら作業を20年国勢調査後に先送りしたため、1人別枠方式は完全に廃止されておらず、なお憲法の要求に反する状態にあったとした。

 一方で、国会が格差縮小やアダムズ方式導入決定をしたことなどを挙げ「かろうじて、合理的期間内に是正がされたと言える」と述べ「違憲」判断は避けた。

 藤山裁判長は東京地裁時代、裁判長として小田急線高架化の国の事業認可を取り消す判決(01年)、東京都の外形標準課税を無効とする判決(02年)などを出している。【金寿英】

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