太田光征
——– Forwarded Message ——–
板垣雄三です
最近、太田光征さんがパレスチナ問題に関して系統的に指摘されていること、呼びか
けられていることについて、一中東研究者として、深い感謝と共につよく支持するも
のです。ことにご関心を、対イスラエルBDS(ボイコット+投資引揚げ+制裁)に拡げ
られたことを高く評価するものです。かつて、イスラエルと固く提携していた南アフ
リカのアパルトヘイト体制を打ち破ったのは世界的に高まった南ア・ボイコットの力
であり、いまパレスチナの「民族浄化!」・ナクバ=ホロコーストという不正義が遂
げられようとする危機において求められているのは、世界的な対イスラエルBDSだか
らです。世界的にも異常に例外的な形でイスラエルとの提携を深化させている日本
で、このことのもつ意義は絶大です。
以下、ご参考までに
ノーベル平和賞ノミネイトの背景(世界全体の「右傾化」という認識に特にご注意
を!):
https://bdsmovement.net/news/bds-nominated-nobel-peace-prize
2017年の世界で目立ったBDS運動の達成のトップ20:
https://bdsmovement.net/news/top-30-bds-moments-2017
今年1月26日デンマーク議会が対イスラエル経済協力の制限を決定:
https://bdsmovement.net/news/landslide-vote-denmark-excludes-settlements-agr
eements-israel
1月30日、米国で拡がるBDSキャンペーンを禁じるカンザス州法を連邦地裁が憲法違反
と裁定:
https://theintercept.com/2018/01/31/kansas-bds-law-free-speech/
日本でのBDS運動の動向をフォローするには:
http://palestine-forum.org/
BDS問題も含まれるエルサレム首都問題に関して日本の関係諸団体が声明:
http://palestine-forum.org/doc/2017/jerusalem.html
3年半前に私が訳し、ハフィントン・ポスト・ジャパンが2014年11月に掲載したオラ
ンダの社会学者の論説に寄せた私の解説(現在のアーカイブ・サイトでは尻切れトン
ボにされていますが)も、参考まで(肝心の論説のほうは、注まで全部読める):
http://www.huffingtonpost.jp/yuzo-itagaki/peter-cohen_b_6139436.html
http://www.huffingtonpost.jp/peter-cohen/the-root-cause-of-the-never-ending-
conflict-in-palestine_b_6139172.html
以下に、3月4日京都大学で開催される集会の案内を貼り付けます。昨年末に出版さ
れた翻訳書[『パレスチナの民族浄化 イスラエル建国の暴力』(イラン・パペ著、
田浪亜央江・早尾貴紀訳、法政大学出版会、2017年11月刊行]を題材に、現在を考え
ようとする集会です。
『パレスチナの民族浄化』刊行記念シンポジウム~日本におけるナクバ研究の深化に
向けて
●日時:2018年3月4日(日)13:00(開場12:30)~17:30終了予定
●場所:京都大学吉田南総合館南棟地下 共南01教室
『パレスチナの民族浄化』の刊行によって、1948年のイスラエル建国にともなう
パレスチナ人のナクバ(「大災厄」)の全体像に関するもっとも重要な歴史書の一つを
日本語で読み、議論を共有することが可能となった。イラン・パペ(※)は本書で、
イスラエルの公文書とパレスチナ側の証言をもとに、パレスチナ人の追放作戦におけ
る
マスタープランの作成と計画実施のプロセスを明らかにし、それが「民族浄化」とい
う
国際的に裁かれるべき犯罪であることを告発する。そして占領の固定化やナクバの
記憶抹殺のためのイスラエルの政策が現在まで継続・再生産されていることを示し、
イスラエル国家のあり方を鋭く批判している。(※ イラン・パペ Ilan Pappe
(1954-)
1948年に制圧されイスラエル領内となったパレスチナ北部の都市ハイファ生まれ。ハ
イ
ファ大学講師だったがイスラエルを離れ、現在はイギリス・エクセター大学教授。イ
ス
ラエル建国期のパレスチナ現代史を中心とするパレスチナ・イスラエル研究に従事。
19
90年代、実証的な歴史研究を行い、イスラエルの建国史に関わる支配的な歴史観に異
を
唱える「新しい歴史家」の一人とされる。)
本シンポジウムは、同書刊行の意義を確認するにとどまらず、それぞれの研究者が
自身の問題意識に同書の内容をひきつけ多角的に議論することを通じ、日本における
ナクバ研究の深化に貢献することを意図している。原著刊行から10年が過ぎ、
ナクバ研究における本書の立ち位置がいっそう鮮明にはなっているが、一方でそれは
他地域における「民族浄化」の事例の理解を深める手がかりとなりうるのか。ナクバ
の
歴史経験によって導き出されるイスラエル国家のあり方への批判は、現在の国民国家
体制を
問う手法としてどこまで有効なのか。他地域における「民族浄化」の背景・手段・経
緯と
照らし合わせ、ナクバおよびその背景にある植民地政策の特異性を浮き彫りにしつ
つ、
こうした問いを検討してみたい。国家体制のあり方が世界各地で行き詰まりを見せる
なか、
現在の日本社会のあり方を問題化するアクチュアルな市民的関心とも交差することを
期待したい。
■プログラム(予定)
司会:岡真理(京都大学大学院人間・環境学研究科)
【第1部】:パレスチナ研究と「民族浄化」
[訳者報告]
・早尾貴紀(東京経済大学経済学部)
・田浪亜央江(広島市立大学国際学部)
[問題提起・1]
・高橋宗瑠(元国連人権高等弁務官事務所パレスチナ副代表)
・金城美幸(日本学術振興会特別研究員RPD)
【第2部】:異なる視点/他地域からの介入
[問題提起・2]
・鈴木隆洋(同志社大学グローバルスタディーズ研究科博士後期課程)
・松野明久(大阪大学大学院国際公共政策研究科)
・安岡健一(大阪大学大学院文学研究科)
訳者からのコメント
フロア・セッション
●主催:
関西パレスチナ研究会
京都大学大学院人間・環境学研究科 岡真理研究室
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所中東イスラーム研究拠点(人間文化
研究機構「現代中東地域研究」事業)
パレスチナの平和を考える会
●連絡先:palestine.kansai〓gmail.com(〓を@に)
以上