演説で濃厚にあらわに 安倍首相とトランプ大統領の“本性”

浜矩子
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浜矩子同志社大学教授

1952年、東京生まれ。一橋大経済学部卒業後、三菱総研に入社し英国駐在員事務所長、主席研究員を経て、2002年から現職。「2015年日本経済景気大失速の年になる!」(東洋経済新報社、共著)、「国民なき経済成長」(角川新書)など著書多数。

「他画自賛」(C)AP
「他画自賛」(C)AP
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 安倍首相は1月22日に開幕した通常国会の冒頭で恒例の施政方針演説を行った。アメリカでは、1月30日に、トランプ大統領がやはり恒例に従って、いわゆる「一般教書」演説を行いました。この2つの演説、端的に言って「芯が出た」というイメージです。自分たちは気が付いていないかもしれませんが、2人とも、実に濃厚に本性があらわになった。それが、この2つの演説から受ける印象です。

まず安倍首相。昨年の施政方針演説は、「世界の真ん中で輝く国づくり」なる誇大妄想テーマが軸でした。今年は、これを完全に引っ込めましたね。実をいうと、この対応は私が2017年の年間を通じてこの言い草に徹底的にケチをつけ続けたことが効いたのではないかと自負しています。もしそうなら、小気味いい限りです。

ただ、あの誇大妄想型大言壮語に代わって、今回はもっと生々しく怖いテーマが前面に出て来たなという感じを持ちます。アホノミクスの大将の今回の施政方針演説は、2つの革命を前面に押し出していました。「人づくり革命」と「生産性革命」です。つまりは、アホノミクスの魔の手が本格的に人々の生き方に向かって伸びてきたということです。お国のための1億総活躍。この構図を確立するために、革命的に労働生産性を上げる。この革命的生産性上昇の実現に向けて、革命的な人づくりを行う。「働き方改革実行計画」ができ上がった今、この計画を土台に、お国のために革命的に人をこき使うための理想的システムを築き上げようというわけです。

■2人の「出ちゃった芯」

一方のトランプ大統領は「自画自賛」ならぬ「他画自賛」に徹していましたね。さまざまな形で頑張った人々、世のため人のために尽くした人々を議場に招き、彼らの功績を次から次へと紹介する。そして、あたかも、彼らの素晴らしさが「トランプという僕」の素晴らしさと一体であるかのような言い方をする。他者が描き出したすてきな画像を、自分で自分を褒めるために使う。つまり「他画自賛」です。あれにはびっくりでした。頑張っている人を議場に招いて高揚感をあおるというのは、アメリカ政治において今に始まったことではありません。ですが、トランプさんの場合には、それが実に度を越えていた。要は、誰かの七光に依存しなければ、成果として掲げるべきものが何もなかったということでしょう。

人々の働き方を我が野望のために取り仕切りたい。それがアホノミクスの親分の「出ちゃった芯」。人々の素晴らしさのふんどしで点数稼ぎをしようというのが、トランプ親父の「出ちゃった芯」。いずれ劣らず情けなくも恥ずかしいですよね。2人のために赤面。

 こうした赤面すべき政治家たちの芯の部分に向かって、メディアはもっと鋭く、もっと気迫をもって切り込んでいくべきでしょう。安倍政権のどこが「1強」なのか。トランプ政権のどこに自賛すべき自画があるのか。自分たちを自縄自縛に追い込む常套句を繰り出すばかりでは、ジャーナリズムに力なしでしょう。

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