元気で帰ってきてね!
ことの外、寒い冬の中で、この日は珍しく早春の好天に恵まれ、「元気でね」「大きくなって帰ってきてね」との子どもたちのかけ声がこだまします。
十一日、埼玉県川越市の入間川河川敷で「入間川にサケを放す会」が開かれ約一万五千匹のサケの稚魚が放流されました。
河川浄化の願いを込めて「入間川にサケを放す会」(杉浦公昭氏)が一九八二年から始め、今年で三十七年目を迎えたものです。
昨年十二月にサケの卵を預かり、学校や家庭で四~五㌢に育てた稚魚を空きびんやバケツに入れて持ち寄った親子連れが約五百人。
埼玉県知事のメッセイジの代読後、市川市立国分小学校二年生の野田正太郎君は作文で「きみたちも、わかれるのがさみしいかもしれないけれど、広い海に出ると、ごはんもたくさんあるし、おにごっこもできるよ!」と励まし、また、同校二年生の山崎憲真君は「大きくなって川にもどり、さけの子どもたちが、ぶじに次の命につなげてくれるといいです」と作文を読みました。
参加者全員で「サケの赤ちゃん」の歌をうたい、会長の合図でいっせいに放流すると、サケたちは陽光にうろこをきらめかせながら旅立ちました。(今年、杉浦は腰痛のため、初めて参加できませんでした。)
十八日(日)午後一時から狭山市昭代橋下左岸で今年二回目のサケの放流が行われます。どなたでも参加できます。
こうした取組が埼玉県から評価され、「心豊かで住みよい地域社会をつくるため長年に渡り積極的な活動を続けてきた」と、この会にシラコバト賞が与えられました。
入間川にサケを放す運動
今から四十年程前、私たちの飲み水にする入間川へ二回も青酸ソーダ(青酸カリと同様の毒物)が流入する大事故が有りました。
この事故を教えてくれたのが「魚の大量死」だったことから、魚を川に沢山泳がせることが私たちの命を守ることになることを知り、清流のシンボルであるサケの稚魚を子供たちと放流することにしたものです。
私たちの命の緩慢な危険は、自然環境破壊であり、急激で最大な危険は、核戦争です。サケの放流運動は徹底的に平和主義です。