「今後の開示請求に備えたほうがいい」

2017年2月下旬。財務省本省の理財局から、近畿財務局に連絡があった。理財局は、森友学園への国有地の貸し付けをめぐる「特例承認」の決裁文書の書き換えを指示した。

削除すべきだとされた部分のなかには、政治家や、安倍晋三首相の妻の昭恵氏の名が複数箇所に記載されログイン前の続きていた。

朝日新聞が学園側への不透明な国有地売却を報じたのが同月9日。国会で野党の追及が始まった。安倍首相は関与を否定し、同月17日、「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と言い切った。

佐川宣寿(のぶひさ)理財局長(当時)は同月24日、国会で「不当な働きかけは一切なかった」とし、学園との交渉記録は「速やかに廃棄した」と答弁した。同じ日の記者会見で、記録の廃棄を疑問視する質問に、菅義偉官房長官はこう返した。「決裁文書に、(交渉の経緯の)ほとんどの部分は書かれているんじゃないでしょうか」

国会での佐川氏の強気の発言とは裏腹に、理財局内は混乱していた。菅長官の言うとおり、決裁文書に多くのことが書かれていたからだ。

「答弁が断定的すぎて、文書と齟齬(そご)があるように読めてしまう。文書が外部の目に触れるのはまずい」。そんな意見が内部で出始めていた、と関係者は明かす。

当時の理財局の様子について、「慌てて何かに対応しているようだった。職員はかなり疲弊していた」と振り返る人物もいる。

冒頭の理財局から近畿財務局への指示が出たのは、佐川氏が「廃棄した」と答弁した数日後だった。

決裁文書の多くは、近畿財務局にあった。改ざんについて、東京と大阪をまたいで、日夜、細かいやり取りが続けられていたという。

近畿財務局には、書き換えに抵抗もあったようだ。だが、結局、やらされることになった」。複数の関係者が、そう口にした。

こうして、特例承認の文書を含む計14件の決裁文書の改ざんを、4月までに終えたとされる。

ただ、消したはずの情報は、別のところから徐々に明るみに出る。学園側が近畿財務局とのやりとりを録音した音声データから、佐川氏が否定していた金額を示した交渉内容が判明。別の音声データでは、理財局の担当者が「特例」と発言していたことも明らかになった。近畿財務局昭恵氏と一緒に写った写真を提示したことも、学園の籠池泰典前理事長=詐欺罪などで起訴=が明かした。

改ざんのほころびも生じていた。昨年、会計検査院の検査で、財務省国土交通省が提出した同一であるはずの決裁文書の内容に違いがあった。また、項目ごと消した内容が、近畿財務局の別の部署の文書にほぼそのまま残っていた。文書は情報公開で開示された。

今月2日の朝日新聞の報道から10日後、財務省は大規模な「書き換え」を認めた。

「省庁の中の省庁」と呼ばれる財務省が、官僚としての一線を越えてまで決裁後の公文書に手を加えたのはなぜなのか。真相は、まだ語られていない。

財務省による決裁文書の改ざんが明らかになった。官僚や公文書について多角的に報告する。

▼2面=佐川氏招致焦点、4面=政策進まぬ恐れ、38面=知事ら厳しい声、39面=写真で一変