政権運営、予断許さず 支持回復手応えなく

 
 
2018年度予算案が可決、成立した参院本会議後、報道陣の取材に応じる安倍晋三首相緒=国会内で2018年3月28日午後8時1分、和田大典撮影

 2018年度予算案が28日に成立し、通常国会は後半に入る。学校法人「森友学園」の国有地売却に関する財務省の決裁文書改ざん問題では、政府は27日の佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問で幕引きを図ったが、佐川氏の証言はあいまいさも目立った。安倍晋三首相の米露両国への訪問など大型の外交日程が終わる5月までに支持率が回復しなければ政権運営がさらに不透明さを増す可能性もあり、政府・与党は危機感を募らせる。

 「国民から厳しい目が向けられていることを真摯(しんし)に受け止め、徹底的に調査し、全容を解明していかなければならない」。首相は28日の参院予算委員会でこう強調し、文書改ざんの再発防止へ「責任を果たす」と理解を求めた。27日の喚問で、佐川氏が首相や妻昭恵氏の指示を否定したことについても「あとは国民がご判断いただくことだ」と述べるにとどめた。

 首相の低姿勢が際立つのは、支持率回復への手応えをなお感じられずにいるためだ。政府筋は「いずれにしても世論次第。国民の目は厳しい」と指摘。自民党中堅も「地方では政権への不満がたまっている」と漏らす。

 ただ、政権にとって来年度予算案が予定通り成立したのは大きな「助け舟」だ。野党の追及の舞台となる衆参予算委の開催が減り、さらに首相は4月中旬に訪米、5月下旬に訪露を予定。野党の追及を極力避けながら、外交分野で得点を稼ぐチャンスとみている。

 だが逆に、外交日程を終える5月末になっても支持率の低迷が続いた場合、秋の自民党総裁選で3選する首相の筋書きには不透明さが増す。政権内でも「5月が一つのめど」との声が漏れ、自民党関係者は「ここ2カ月で支持率が大幅回復しなければ、地方で石破茂元幹事長ら『ポスト安倍』候補の人気が一気に高まり、首相の立場はさらに苦しくなる」と話した。

 こうした焦りは、自民党内にも広がっている。自民党の丸川珠代氏は28日の参院予算委で、森友問題を巡る昨年の国会答弁について佐川氏が「丁寧さを欠いた」と陳謝したことを踏まえ、「丁寧な答弁ができない事態を招いているのでは。点検が必要だ」と指摘。暗に財務省の体質を批判してみせた。

 自民党内では、首相や「身内」の脇の甘さが森友問題を招いたという冷ややかな見方も少なくない。「世論が『政権が財務省や野党に責任転嫁している』と感じれば、反感は逆に強まる」(関係者)と不安も漏れる。【高山祐、遠藤修平】

「森友」追及継続 野党6党が方針確認

 野党6党の国対委員長は28日に会談し、森友学園を巡る文書改ざん問題について、衆参予算委員会の集中審議開催や、安倍晋三首相の妻昭恵氏らの証人喚問を今後も求めていくことを確認した。立憲民主党の辻元清美国対委員長は、自民党の森山裕国対委員長と会談し、衆院で集中審議を来週に開くよう要求。森山氏は「真摯(しんし)に努力する」と応じる姿勢を示したが、昭恵氏らの証人喚問は「必要ない」と拒否した。

 2018年度予算案の成立を受け、与党は予算委の連日開催には応じない方針で、改ざん問題の早期幕引きを図る。これに対し、野党は「国会の意思を示すべきだ」と政府・与党をけん制し、継続的に議論する場を設けようと懸命だ。

 希望の党の玉木雄一郎代表は28日の党役員会で、国会に調査特別委員会を設置するよう訴えた。民進党の平野博文国対委員長も記者会見で「議長の下に第三者による調査チームを発足させるべきだ」との考えを示した。【樋口淳也】

働き方法案、審査難航も

 政府・与党は予算成立を受け、今国会の重要法案と位置づける働き方改革関連法案やカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案などの成立を目指す。首相は自民党総裁選3選に向けた実績作りを狙うが、厚生労働省の異常データ問題や森友問題を巡って与野党対立が激化し、与党の法案審査も遅れている。首相は6月20日までの国会会期と世論をにらみ、難しいかじ取りを迫られそうだ。

 自民党の竹下亘総務会長は28日、記者団に「政権与党として年度内に(予算を)成立させねばならず、ほっとしている」と安堵(あんど)の色を浮かべた。30日までに予算関連法案も成立させ、支持率急落に歯止めをかけたい考えだ。

 しかし働き方改革法案は、異常データの影響で裁量労働制の対象拡大を削除。与党審査は想定から2カ月遅れ、国会提出は4月にずれ込む。さらに野党は「高度プロフェッショナル制度」の削除を要求し、審議が紛糾するのは必至だ。同じ厚労委員会に受動喫煙防止対策を強化する健康増進法改正案も抱え、「会期内成立は既にぎりぎりの日程」(国対関係者)。またIR実施法案は与党の議論がまとまらず、先行するはずのギャンブル依存症対策基本法案も審議入りしていない。

 憲法改正論議も与野党対立の余波で、衆参両院の憲法審査会が開催日程の調整さえ始められない状態だ。ある閣僚経験者は「首相は働き方国会を掲げつつ本音は『改憲国会』だが、この状況では両方とも難しいのではないか」と漏らした。【西田進一郎、村尾哲】

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