北の脅威後退も…防衛費より社会保障費を削る政権の筋違い

この人じゃムリ(C)日刊ゲンダイ
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 削るところが違うだろう――。

安倍政権が国と地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)黒字化の目標時期を5年先送りし、2025年度にする方向だという。6月に新たな財政健全化計画を策定するが、北朝鮮の「核・ミサイル開発中止」を受けての財政健全化議論。防衛費を削減すればいいのに、切り込むのは社会保障費というからムチャクチャだ。

「16年度から今年度までだった社会保障費の自然増抑制を、19年度からさらに3年間継続することになりそうです。年間6300億~6700億円の自然増を5000億円以下に抑えたことで、高齢者の医療費の負担が増え、サラリーマンの介護保険料がアップされました」(厚労省関係者)

安倍政権の下、防衛費は4年連続で過去最高を更新。18年度予算は5兆1911億円で、後年度負担というツケもさらに5兆768億円もある。安倍首相が北の脅威を煽りまくった結果である。

 安倍首相は6回の施政方針演説すべてで北への圧力を強調。今年1月も「北朝鮮の核・ミサイル開発は、これまでにない重大かつ差し迫った脅威であり、我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後、最も厳しいと言っても過言ではありません」と訴えていた。

■それでも小野寺防衛相は防衛力整備を強調

ところが、今や、朝鮮半島の南北融和で差し迫った脅威は影を潜めた。防衛費にちょっとメスを入れれば、年1700億円程度の社会保障費の自然増削減は避けられる。例えば、北のミサイル迎撃のために配備を決めたイージス・アショア2基は計2000億円。キャンセルすれば、自然増を賄えてお釣りがくる計算だ。

社会保障に詳しい立正大客員教授の浦野広明氏が言う。

「高齢化が進んでいるのですから、その分、社会保障費が増えるのは当然です。それを削ることは国民生活の破壊です。他にも安倍政権は、財政健全化の名目で年金支給の68歳への引き上げ、75歳以上の医療費負担増などをもくろんでいます。健全化というなら、防衛予算など不要不急なものから削減するのがスジ。言いにくくても、不要な武器のキャンセルを米側と交渉すべきです。防衛費を減額する補正予算を組むことも検討すべきです」

小野寺五典防衛相は、7日の参院決算委で、朝鮮半島の融和ムードは認めた上で「北朝鮮が何か約束をしたわけではない」と防衛力整備を進めることを強調。当たり前の見直しも、安倍政権ではムリか。

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