
翁長雄志知事の急逝で来月30日に投開票される沖縄県知事選。最大の争点である名護市辺野古への基地移設を巡って、官邸が怪しい動きを見せている。政府が県側に、翁長知事の遺志である辺野古の海の埋め立て承認撤回を知事選後に延期するよう要請していたのだ。
政府は引き換えに「喪に服す期間への配慮」を理由に、辺野古沿岸への土砂投入を知事選後に延期する意向を伝えた。「一時休戦」を申し入れ、知事選の民意次第で土砂投入断念もあり得るような言い分だが、この取引は、政権側の選挙対策に過ぎない。
「官邸は早ければ今週17日にも土砂の投入を強行するつもりでしたが、公明党や創価学会幹部が菅官房長官に土砂投入をやめるよう伝えたようです。強行すれば県知事選で公明の選挙協力を得られないため、投入延期が検討されているのです。ただ、官邸は知事選の結果がどうあれ、土砂投入の意向らしく、投入延期の意向を示したのは投開票日まで県民の心証を損ねたくないだけでしょう」(官邸関係者)
要するに、投入延期は翁長知事死去への「配慮」ではなく、ただ選挙を優位に戦いたい安倍政権の思惑というワケ。喪に服すふりをして休戦を演出する「狸寝入り」作戦なのだ。加えて、官邸内には「公明が動けば知事選は勝てる」との楽観論が広がっているという。
「今年が選挙イヤーの沖縄において、2月の名護市長選や3月の石垣市長選、4月の沖縄市長選で自公推薦候補がオール沖縄の候補を破った。その成功体験があるため、知事選でも公明の選挙協力が必須なのです」(前出の関係者)
来月の知事選には、いずれも保守系の佐喜真淳・宜野湾市長(54)と元JC会頭の安里繁信氏(48)が立候補を表明し、保守分裂の可能性が浮上していた。
「菅官房長官が10日夜、翁長知事の弔問のため来沖。『懐が深い人だ』と皆、感服していましたが、実は弔問にかこつけて安里氏の説得に来ただけ。安里氏も辞退を受け入れ、事実上、与党候補は佐喜真氏に一本化されたようです」(沖縄政界関係者)
佐喜真市長は14日、出馬表明し、「対立や分断から無縁な沖縄を取り戻すために全身全霊をかける」と決意を語ったが、辺野古移設への対応について明言を避けた。
「弔い合戦」で有利なはずのオール沖縄は候補者調整が依然、難航中だ。基地移設をゴリ押しする安倍政権に冷や水を浴びせられるか。
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