陛下のおことばに保阪氏 30年変わらぬ信念

作家の保阪正康さん=根岸基弘撮影

全国戦没者追悼式で、おことばを述べられる天皇陛下=東京都千代田区の日本武道館で2018年8月15日午後0時2分、小川昌宏撮影

 天皇陛下は15日、在位中最後となる全国戦没者追悼式でおことばを述べられた。昭和史に詳しく、著書に「明仁天皇と裕仁天皇」などがあるノンフィクション作家、保阪正康さん(78)に感想を聞いた。

 天皇陛下の全国戦没者追悼式でのおことばを聞き、戦争や平和に対する変わらぬ強い信念と次世代に伝え続けなければならないという責任感を改めて感じた。その思いは「過去を顧みる」と「深い反省」の二つのキーワードに凝縮されているように思う。

 陛下は即位後、基本的に昭和天皇が追悼式で述べてきた内容を踏襲してきたが、戦後50年の1995年に「歴史を顧み、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い」との一節を加えた。2015年以降は「歴史」は「過去」という表現に変わったが、20年以上も使い続けている。

 こうした言葉遣いには、陛下が戦争によって亡くなった人々への追悼や慰霊だけではなく、戦争の惨禍を招いた原因を考える必要性を説いているように感じる。

 戦後70年の15年に加わった「深い反省」という言葉には、戦争を経験した人が減り、戦争の記憶が社会から薄れていくことへの危機感があったように思う。戦争への反省が必要だとはっきり述べ、これ以降毎年伝えてきた。

 今回の追悼式は陛下にとって最後となるため、内容に大きな変化があるのではないかと予想していた。しかし、陛下が加えたのは「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ」という文言だけ。明治、大正、昭和前期と日本は戦争を繰り返してきたが、平成を含む戦後は戦争のない時代であったことを強調する思いが込められているように感じ、最後にふさわしい表現と思った。

 陛下が30年間、節目の年以外におことばを大きく変えることがなかったのは、自身の強い信念に基づくものであることを示すためだったのでないか。陛下が発する言葉を若い世代を含めた国民がどのように受け止めるのかも問われている。【聞き手・高島博之】

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