膨張する防衛予算 大綱見直しに潜む危うさ

 安倍政権は「防衛計画の大綱」見直しをテコに防衛費を大きく膨らませようとしているようだ。

 2019年度防衛予算の概算要求額は5兆2986億円で、今年度予算比2・1%増となった。

 ただし、例年の予算に含まれる米軍再編関連経費2200億円超が金額を示さない「事項要求」扱いとなっており、実質的な概算要求額は5兆5000億円を超え、今年度予算比の伸び率は6%を上回る。

 安倍政権下、防衛費はこれまで6年連続で増えてきたが、伸び率はおおむね2%以内、高い年でも2・8%だった。今回の概算要求は突出しており、それを事項要求という小手先の操作で隠そうとしたわけだ。

 政府は年末に防衛大綱を見直し、新大綱に沿って来年度から5年間の中期防衛力整備計画を策定する。

 政府は先週、大綱見直しへ向けた有識者懇談会の初会合を開いたばかりだ。今後、予算編成と並行して議論が進められるのに、防衛費の膨張が既定路線となっている。

 概算要求には、新大綱の目玉になりそうな陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の整備費2352億円が計上された。その大半は米政府と直接契約する有償軍事援助(FMS)だ。

 FMSは米側の言い値を押しつけられる懸念が指摘されながら、近年急増している。概算要求に計上されたFMSの新規契約額は6917億円で、今年度予算の4102億円から7割近く跳ね上がった。

 配備まで6年かかるとされる陸上イージスの導入を、大綱の見直し論議を待たずに決める必要があったのか。その背後に、武器の大量購入を迫るトランプ米大統領がちらつく。

 防衛費は国内総生産(GDP)比1%に届かない水準で長らく推移してきたが、来年度以降は1%突破が視野に入ってきそうだ。

 自民党はトランプ大統領が欧州諸国にGDP比2%を求めていることを念頭に防衛予算を確保するとの提言を5月にまとめている。提言には敵基地攻撃能力の保有やヘリ搭載護衛艦の空母化なども盛り込まれ、大綱見直しの論点になる見込みだ。

 概算要求の伸びが防衛政策の転換を図る布石だとしたら危うい。慎重な議論を求めなければならない。

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