「企業はもはや政府に影響を与える存在ではなく、政府そのものだ」

「世界を変えた14の密約」
ジャック・ペレッティ・著  関美和・訳

権力中枢のあくなき欲望を暴く

著者はイギリスの公共放送BBCでドキュメンタリー番組を手がけ、
ガーディアン紙などにも寄稿する気鋭のジャーナリストである。
本書に収録された14の話題は、どれも日本社会の現状を
ほうふつとさせる。

第9章「権力を持つのは誰か」では、商談のためロンドンを訪れた
大連万達グループ会長の大富豪・王健林の滞在先のホテルで見られた
光景が活写されている。
廊下で王会長との30秒の面会待ちをする財界人の列の中に、
英国の時の首相デービッド・キャメロンと
ロンドン市長ボリス・ジョンソンがいたというのだ。

これに続けて著者は次のように述べている。
「いまでは政府ではなく企業がすべてを決めている。
企業はもはや政府に影響を与える存在ではなく、政府そのものだ」

その上で本書は、政府と企業をつなぐコンサルティング会社、
なかでもマッキンゼー社の暗躍を克明に描いている。
彼らが売り込みに使った「人材競争」というキーワードは
「自分が好きなだけ自分に報酬を支払える」
システムを我田引水するものだった。

第5章「肥満とダイエットは自己責任か」では、
肥満の基準を変えるだけで保険料を高くできるカラクリが解き明かされ、
第6章「国民全員を薬漬けにする」では、国民全員を患者にし、
薬をチューインガムのように使わせてもうけたい製薬企業
の経営戦略が鋭く描かれている。

さらに第7章「働き方が改善されない理由」では、
「過労死」を生む日本的「働かせ方」の背景にある「カルト的仕事観」
が解説されている。
権力の中枢に容赦なく切り込み、権力のあくなき欲望を暴いている。

(文芸春秋・2200円)

評者 醍醐聰 東京大学名誉教授

【掲載紙・しんぶん赤旗 2018年8月5日】

MLホームページ: https://www.freeml.com/uniting-peace

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