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連載:社説
2018年10月3日05時00分
総裁選で支持してくれた派閥にポストで報いる。「政治とカネ」の問題を引きずる側近も、党の要職に据える。こんな内向きの人事では、政治や行政への信頼を取り戻し、難しい政策課題に取り組む足場を固めることなどできはしまい。
安倍内閣では最多の12人を初入閣させたが、大半は各派閥が推す「入閣待機組」だ。総裁選で善戦した石破茂・元幹事長の派閥からも1人起用したが、露骨な論功行賞人事である。自らに批判的な勢力も取り込む、懐の深さは感じられない。
「女性活躍」を掲げながら、女性閣僚が1人というのも、看板倒れだろう。
党人事で見過ごせないのが、金銭授受疑惑で2年前に閣僚を辞任した、盟友の甘利明・元経済再生相を党4役である選挙対策委員長として「復権」させたことだ。
甘利氏はきのう、「私、秘書とも刑事訴追されていない」と釈明した。確かに、検察は不起訴処分としたが、あっせん利得処罰法はかねて抜け道の多いザル法と指摘されている。何より、甘利氏が当時、説明責任から逃げ続けたことを忘れるわけにはいかない。
来年の統一地方選、参院選で国民に広く支持を求める立場についた以上、甘利氏には改めて、納得がいくまで丁寧な説明を求める。
首相が秋の臨時国会への原案提出に意欲を示す憲法改正でも、身内ともいえる親しい2人を党内調整の要に配置した。憲法改正推進本部長の下村博文・元文部科学相と、総務会長の加藤勝信・前厚生労働相である。
下村氏には文科相在任中、加計学園の幹部からパーティー券の費用として計200万円を受け取りながら、政治資金収支報告書に記載していなかった問題などが明らかになっている。
下村氏は現金は学園からではなく、幹部が11の個人や企業から預かったものだと説明、検察も不起訴処分にしたが、11人の内訳が明らかにならないなど、疑問は残ったままだ。
甘利、下村両氏の起用に加え、首相は、森友問題の真相解明に陣頭指揮をとるでもなく、組織ぐるみの公文書改ざんの政治責任に背を向ける麻生太郎副総理兼財務相の続投を決めた。「謙虚に丁寧に」と繰り返す首相の言葉の本気度を疑う。
首相がきのうの記者会見で述べた「新しい国造りの力強いスタートを切る」布陣には程遠いと言わざるを得ない。