死骸で発見のジュゴンは…辺野古埋め立てで行方不明だった

「残りの2頭は大丈夫?」――。沖縄県今帰仁村の漁港でジュゴンの死骸が見つかったニュースにこう思った人もいるだろう。死亡したジュゴンは体長が約3メートルで漁港の防波堤付近に浮かんでいた。
沖縄というと、ジュゴンがウヨウヨいるようなイメージを抱いてしまうが、生存が確認されていたジュゴンは3頭にすぎない。そもそもが国の天然記念物で絶滅危惧種なのだ。
今回死亡したジュゴンは今帰仁村に近い古宇利島付近に生息し、「個体B」と呼ばれていた。
古宇利島は基地の埋め立て工事が進む辺野古とは海を隔てて離れており、個体Bの死因はいまだに分かっていない。
気になるのは辺野古が面している大浦湾に出没していた残りの「個体A」と「個体C」だ。実はこの2頭は行方不明になっており、その原因が15年に始まった埋め立て工事ではないかとみられているのだ。
「個体Cが最後に目撃されたのは15年7月、個体Aは18年9月でした。それ以来、ぷっつりと姿を消したのです」とは地元関係者だ。
■残りの2頭の生存も危惧
「この2頭は辺野古沖の浅瀬に来て海藻を食べていましたが、工事が始まってから姿が確認されなくなったことになります。専門家によると、ジュゴンは音に敏感なため、トラックや重機が地響きを立てる工事を嫌って、どこかに避難したのではないかというのです。住み慣れた場所を離れたせいで漁船に混獲されるのではないかと心配する声も上がっています」
19日、沖縄県の玉城デニー知事は官邸で安倍首相と会談。ジュゴンの死骸が発見されたことを伝え、辺野古の土砂投入を中止するよう求めた。安倍首相は「残念だ」と応じたが、工事を中止するそぶりはない。
沖縄事情に詳しいノンフィクション作家の奥野修司氏が言う。
「やっぱり、という印象です。ジュゴンは海水が澄み切って水温が高く、エサが豊富な浅瀬を好みます。地元では辺野古の工事が始まる前から『土砂投入で海が汚れたら、ジュゴンがいなくなるのは間違いない』という声が上がっていたのです。個体Bの死によって残りの2頭の生存が危惧され、あらためて埋め立ての無謀さがはっきりしました」
3頭しかいない絶滅危惧種が死んだのに、国は今日もジュゴンの安住の地に土砂をガンガン投入している。
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