NHKの政治報道、変だ 「安倍政権寄り」と保守系誌も批判

特集ワイド

NHKの政治報道、変だ 「安倍政権寄り」と保守系誌も批判

上はNHKの上田良一会長。「自主自立を堅持する」と繰り返すが、政治報道への批判にどう応えるのか

 NHKの政治報道が変である。今年に入り、論壇誌が相次いで「安倍晋三政権寄りが目に余る」などと報道姿勢にモノ申す特集を組み、NHKのOBらが古巣に抗議する事態になっているのだ。物議を醸した籾井勝人前会長が退任して2年。公共放送はどこへ向かっているのか?【吉井理記】

 記者が報道の仕事に最初に関心を持ったのは、小学生だった1984~85年放送のNHK特集「21世紀は警告する」だった。番組内容をまとめた単行本を今も持っている。もちろん、それ以降も社会や歴史の断面を深く掘り下げるドキュメンタリー番組に圧倒されてきた。

 そのNHK、政治ニュースにかつてないほど厳しい目が向けられている。保守系論壇誌「月刊日本」は4月号で、左派・リベラル系読者の多い「週刊金曜日」は2月15日号で、それぞれ「政治報道が安倍政権寄り」などと厳しく批判した。放送記念日の3月22日には、NHKのOBや元経営委員らが「政権に都合の悪い事実がほとんど伝えられていない」として、上田良一会長に改善を申し入れた。

 確かに首をひねるような報道はある。例えば、昨年秋にあった翁長雄志・前沖縄県知事の県民葬。安倍首相の弔辞を代読した菅義偉官房長官に、参列者から「ウソつき!」との声が飛んだ。「沖縄に寄り添う」と繰り返しながら、名護市辺野古の基地建設を続ける政府が、沖縄県民にどう映っているかを示す象徴的な出来事である。当然「本土」の民放はこの場面を放送したが、NHKはしなかった。

 辺野古の問題でいえば、1月の討論番組「日曜討論」では、基地建設に絡み、埋め立て予定海域のサンゴ移植はされていないのに、安倍首相は「サンゴは移している」と発言した録画インタビューをそのまま放送し、批判された。

 「政府が右と言うものを左と言うわけにいかない」と、不偏不党をうたう放送法に反する見解を記者会見で披露した籾井氏の退任から2年が過ぎた。だが現実に籾井氏の言った通りのことが起きているのではないか。

 「実はあれが放送されてから、NHKの現場の関係者からおわびがありました。さすがに内部でも編集の在り方を問題視する声が少なくないようです」と話すのは、立憲民主党の小川淳也衆院議員だ。「あれ」とは、NHKの看板番組「ニュースウオッチ9」のことだ。

 今月1日の衆院本会議。小川さんは野党6党派を代表し、統計不正問題の責任を取るべきだとして、根本匠厚生労働相の不信任決議案の趣旨説明に弁を振るった。ところが当日夜の「ニュースウオッチ」は、趣旨説明の骨子は伝えず、小川さんがコップの水を飲む場面を「何度も水を飲む姿に……」とのナレーション付きで取り上げ、大島理森議長が「結論を急いで」と注意する場面を続けて放送した。

 「骨子を伝えないのも問題ですが、それだけではありません。確かに脱水を防ぐために多めに水を飲みましたが、議長の注意はそこではなく、私の持ち時間のリミットが迫っていたので、趣旨説明の妨げにならないように水を飲んだ時に注意してくださった。それを、私が時間を引き延ばすために何度も水を飲み、注意を受けたかのような編集になっていて……」

 小川さんは14日の衆院総務委員会で、参考人として出席した上田会長らNHK幹部にこの件をただした。「野党とはいえ国会議員。報道や編集の在り方を問うのは慎重であるべきです。だからこそ委員会というオープンな場で『報道は事実を曲げない』といった放送法の趣旨に合致していると思うか、幹部に認識を問うた。上田会長らは『指摘は真摯(しんし)に受け止める』と答えていましたが……」

 NHK関係者によると、ニュース編集には、制作担当者だけでなく、政治部デスクらも立ち会い、当日の編集責任者の了解の下に放送される。関係者は「私見ですが……」と前置きして「小川さんの問題に限れば(NHKの)他の時間帯のニュースでは、あそこまでの編集はしていない。統計不正問題は、報じるだけで政権にマイナスイメージを与えかねない。そこをそんたくし、ニュースウオッチだけは野党をちゃかすかのような編集にしてバランスを取ろうとしたのではないか」と推測した。

 NHKで社会部デスクなどを務めた月刊「マスコミ市民」の高野真光編集委員(66)は「そんたくかは分かりませんが、現場の意向だけであんな編集にはなりません。NHKの政治報道全体の問題と捉えるべきです」と見る。

 「実際、NHK報道局の幹部が、安倍政権に都合の悪いニュースの放映に必要以上に神経をとがらせている、といった事実はあるようです。1月の首相の『サンゴ発言』、放送するのはいいんです。でも改めてNHKとして検証し、ファクトチェックの結果を伝える責任があった。でもそれを怠った。翁長前知事の県民葬でのやじも、客観的事実です。それを伝えないこと自体、公平性や中立性に疑いを抱かせます」

 選挙報道に定評あるNHKが、昨年の沖縄知事選では他メディアから1時間半ほど遅れて、玉城デニー氏の「当選確実」を流したことも「そんたく報道」を疑われている。OBやメディア関係者の間では「政権側候補の完敗の印象を薄めるためではないか」と話題になったのだ。

 高野さんがまとめた。「NHKとして政権批判を表立ってする必要はないと思うが、政権監視は不可欠だ。公共放送として伝えるべきことを伝えない、あるいは首相や政権の言うことのファクトチェックを怠るのは『健全な民主主義の発展に資する』とうたう放送法に反します。私は日本にきちんとした公共放送が絶対に必要だと思う。だからこそ、古巣に警鐘を鳴らしているんです」

「人事・ガバナンス劣化」

 ならば問題の根底は何か? 2015年まで経営委員を務めた早稲田大の上村達男教授(会社法)はドライな見方を示す。

 「籾井前会長の時に局内の人事がおかしくなったんです。自分の気に入らない理事や幹部を左遷したり、あるいは閑職につけたり。その代わり自分の気に入る人物を『特進』させる。組織の人事は、一度崩れたらすぐに立て直せない。安倍政権の責任は大きいですよ」

 NHK会長の人事は、会長の選任権を持ち、業務執行を監督する経営委員が鍵を握る。経営委員は原則として与野党一致の同意で選任されてきたが、第2次安倍政権以降、このルールが無視され、政権に近い人物が選ばれるようになった。事実上の政府任命人事である。「公平・中立を旨とする公共放送としてのガバナンスが崩れたのです。番組の劣化と人事やガバナンスの劣化とは無関係ではないと思う。そういえば、企業絡みの事件があれば、会社法の専門家として、必ずといっていいほどNHKの記者は私のところに取材に来たし、番組出演も度々ありました。でも経営委員を辞め、安倍政権やNHKの在り方を批判するようになってから、一切来なくなりましたね。そんたくの最たる例かもしれません」

 私が取材した誰もが、NHKのドキュメンタリーや教養番組は「素晴らしい」と口をそろえる。政治報道が「政権寄り」と批判される現状は変わらないままなのだろうか。

 

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コメント:偏向放送に血税・聴視料払うのはおかしい‼

 

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