石破茂氏吠える!「原発問題先送りは“世代を超えた虐待”だ」

石破茂氏吠える!「原発問題先送りは“世代を超えた虐待”だ」

東京・永田町では自由民主党総裁任期の上限を引き上げて安倍晋三首相の“4選”を期待する声が上がっている。そんな中、ポスト安倍の一人と目されてきた石破茂・元自民党幹事長は、重要課題であるエネルギー政策を真正面から語らない安倍首相に物申す。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

特別インタビュー・石破茂氏Photo by Masato Kato

――民主党から政権を奪還した後の安倍政権は非常に強固な政権基盤を持っていました。いろいろな政策課題を前進させることができるはずですが、エネルギー政策は大して変わっていません。

 何も進んでいない。それなら何のための自民党1強なんだと。自民党1強という状況を生かさなければ、自民党は国家に対する責任を果たすことができない。嫌なことに正面から向き合わずに先送りするのは、次の時代のすごい負担になる。それは国家そのものをつぶしかねない。

 だから私は、嫌なことを先送りするという対応を変えようとしない安倍政権に批判的です。北方領土問題が何か前進しましたか。拉致問題が何か前進しましたか。エネルギー問題が何か前進しましたか。してないでしょう。

エネルギー自給率と
自主防衛力は似ている

──特に原子力問題に関しては避けたがっているように見えます。

 選挙の票にも人気にもつながらない。だけど、それではいけない。エネルギー政策、原子力問題は絶対に避けては通れない。この国がどうなってもいいと思うならば避けてもいいでしょう。でも、そんな考えなら、政治家を辞めるべきでしょう。

 

──安全保障の観点から潜在的抑止力として、原子力は政策的オプションとして持っておくべきだという考えを以前お持ちでした。今も変わりはないですか。

 変わらない。日本の周りは、核保有国だらけ。仮に朝鮮半島が統一されれば、核を持つ反日国家が出現する可能性はかなり高い。そして中国。核大国ですよね。ロシア、米国もそうです。

エネルギー政策に真正面から向き合わない安倍首相を批判する石破氏 Photo by M.K.

 エネルギー自給率と自主防衛力って似ていると思います。原子力技術を維持するとなると、イコール核兵器保有だと批判を浴びる。いやいや、それは議論が飛んでいませんか、と。

 私は日本が核兵器を持つことに全然賛成していません。日本が核を持つということになると、核兵器不拡散条約体制は間違いなく崩壊する。世界中、どの国も核を持つことになる。その引き金を唯一の被爆国たる日本が引くこと、つまり日本が核兵器を保有すること、これはすべきではない。

 では、仮に日本が核兵器による攻撃を受けた場合に、どうやって生き残るか。それを考えるときに、日本で原子力に関する知見が失われていいのか。私はいいとは思わないですね。

 今、原子力を学ぼうとする学生が減っていると聞いています。一方で、日本に原子力を学びに来る留学生が多い。原子力の知見が失われ、人材も失われ、それがどんどんアジアを中心とする周辺国に渡っていくというのは、わが国の安全保障上、極めて厳しい話。

──安倍政権のエネルギー政策、とりわけ原子力政策についてどう思われますか。

 原子力をベースロード電源(一定量の電力を安定的に低コストで供給する電源)に位置付け、パリ協定に従って2030年までに13年と比較して26%温室効果ガスを削減する。50年までには80%削減する。それに整合したエネルギー基本計画になっていますが、実現可能性はどうなんだと問いたい。どうも具体策が出てこない。

 原子力発電所を建て替えるとしても5年や10年ではできない。50年から逆算すれば、今から原発をどうするか考えなくてはならない。

原発が生むプルトニウム
再稼働で平和利用できる

 私は幹事長(12年9月~14年9月)のときから、原発を少なくするために原発を動かすという考え方をもっと出すべきだと言っています。

 それは、老朽化した原発を最新鋭の原発に置き換えていくということ。かなり古い原発と最新鋭の原発とでは、安全性においても格段に差があると聞いています。置き換えることでどれくらいの経済効果が得られ、安全性はどれくらい違うのかをきちんと数値にして示すべきだと思います。それによって得られた経済的な利益を蓄電池や小型の原子炉といった技術開発に振り向けていくべきです。

 (原発への)依存度を下げるためにも、原発を再稼働し、建て替えるよう、政治家が決然たる意志を持って言わねばならない。

 一方で難しい課題がある。核の不拡散という議論だ。原発の使用済み燃料には、核兵器に転用できるプルトニウムが含まれている。このプルトニウムを核兵器に転用せず、原発での発電といった平和利用にのみ限ることを日米原子力協定で決めている。

 使用済み燃料に含まれるプルトニウムは、核燃料サイクル(使用済み燃料を再処理して原発の燃料として再利用する)を動かして削減しなければならない。要は原発を稼働しなければプルトニウムは削減できない。

 世論の中には原発の再稼働は反対だ、核拡散も駄目だという意見があるが、それはなかなか両立しない。プルトニウム保有量を削減することは、原発の再稼働と一体ですから。

──エネルギー基本計画は、原発のリプレース(建て替え)、新増設について明記していません。

 政治家が原発政策から逃げちゃいけない。原子力規制委員会に責任を負わせるのではなくて、政府としての決然たる意志を示さないといけない。

 太平洋戦争は食料を求めて戦争を起こしたわけではありません。エネルギーをめぐって戦争は起きた。そして、国は敗れた。エネルギー自給率を高めていかないと、国家として決して強くなれない。

──自民党内での議論はどうなっているのですか。

 その手の会議に私は参加していないので分かりません。原発政策について、誰も責任を取らないというか、みんながいい顔をしている。それは医療でも社会保障全般でもそうです。国民が嫌がることは逃げる、説得もしない。

 経済が成長して人口が増えているときは、先送りしておけば予定調和的に問題を解決してくれた。だけれど人口が減って、経済が伸びない時代、先送りでは予定調和的な解決ができない。次の時代にものすごく重い負担がのしかかる。これを、世代を超えた虐待と言わずして何と言うのか。

 

石破 茂(いしばしげる)/1957年生まれ。鳥取県出身。慶應義塾大学法学部卒業。三井銀行入行後、86年衆議院議員初当選。旧防衛庁長官、防衛大臣、農林水産大臣、国務大臣地方創生・国家戦略特別区担当、自民党幹事長を歴任。当選11回。
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