北方領土を「戦争で島を取り返す」のはダメで,南西諸島の「島嶼奪回作戦」はいいのか?
丸山穂高衆議院議員(維新)の,北方領土に関する「戦争けしかけ発言」が問題になっています.議員辞職に値することは言うまでもありませんが,このMLで問題にしたいのは,事実上同様のことを公然と述べた文書が政府機関によって出されているのに,平和運動側にもこれを咎める人がほとんどいないと言うことです.正確には,そのような批判の頻度が極端に少ない,と言うべきでしょうか.例えば,2018年防衛白書の「2 島嶼(とうしょ)部に対する攻撃への対応」の部分に[1]は,「島嶼への侵攻があった場合には、航空機や艦艇による対地射撃により敵を制圧した後、陸自部隊を着上陸させるなど島嶼奪回のための作戦を行う」とあります.また,2017年に佐賀空港オスプレイ配備計画での地権者説明会で配られた防衛省資料[2]の,「島嶼防衛や奪回」を説明する挿画も同様です.
自衛隊違憲論についても,護憲勢力はおそらく「戦術的配慮」というつもりでしょうが,あからさまにを言わなくなって久しくなります.「集団的自衛権」反対を強調するあまり「個別的自衛権」(もちろん軍事力による)はあたかも認めてしまったかのようです.一見,多様な意見の人々をまとめるのに合理的であるかのようですが,明らかな矛盾を含む論は説得力を欠くだけでなく,戦争容認への無限の後退につながりますし,実際そうなっています.
詳しくは今日未明のブログ記事に書きました.
北方領土を「戦争で島を取り返す」のはダメで,南西諸島の「島嶼奪回作戦」はいいのか?
https://pegasus1.blog.so-net.ne.jp/2019-05-14
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[1] https://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2018/html/n31202000.html
[2] https://www.mod.go.jp/rdb/kyushu/topics/168sagatikensyasetumei/siryou.pdf
(転載歓迎)
豊島耕一
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豊島さん、
この丸山穂高という名のひとの発言を知って唖然としました。というより、ここまできているのか、この日本国という国家の
ひとたちは、というおもいに暗澹としました。
「維新」などということばを麗々しく党の名にかかげている「エセ政治党派」の正体見たりです(参院選をまえにしてわわてて除名
したところで、責任はのがれられようもありません)。
戦争は政治の延長である、つまり、外交で敗北した側が戦争をしかける、といった、クラウゼヴィッツ流の思考は、
もはや、古びてしまった、というより、古びてしまったものと見なして却下すべきです。
公然の秘密として、現安倍政権は、戦争への体制を着々とととのえつつあります。
御指摘のように、沖縄周辺の諸島嶼への戦力配備、島南西諸島の「島嶼奪回作戦」策定などなど。
この事実を、多くの「国民」が、まだ知らない、知るすべもないままでいます。
こういう時点でこそ、わたしたちの側からのはたらきかけが肝要でしょう。
政権側の諸施策を暴露し糾弾すること。
「集団的」であろうが「個別的」であろうが「自衛権」なる権利に関する諸施策は、すべて
日本国憲法の根本精神である「戦闘否認」「戦力不保持」「交戦権否認」をおかす行為であることを、
「国民」全体にはっきりと知ってもらうことが肝要です。