少子高齢化は人災である、子育て世代への大増税

少子高齢化は人災である、子育て世代への大増税

元国税調査官が暴く「少子高齢化は政府による人災」の決定的証拠

歯止めのかからない少子高齢化にあえぐ日本。なぜここまで状況は悪化してしまったの
でしょうか。元国税調査官で作家の大村大次郎さんは、自身のメルマガ『大村大次郎の
本音で役に立つ税金情報』で、少子高齢化は「人災」とした上で、歴代政権が繰り広げ
てきた「愚行」を詳細に記しています。

・少子高齢化は人災である
・非正規雇用の増大が少子化を加速させた
・消費税は子育て世代がもっとも負担が大きい
・児童手当は焼け石に水
・子育て世代への大増税
・なぜ待機児童問題は20年以上解決されないのか?
・国公立大学の授業料は40倍に高騰
・「米百俵の精神」と真逆だった小泉内閣

プロフィール:大村大次郎(おおむら・おおじろう)
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フ
リーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「
悪の会計学」(双葉社)がある。

・少子高齢化は人災である

昨今、日本は急激な少子高齢化に見舞われています。先日の厚生労働省の発表では、出
生数は91.8万人であり、過去最少を3年連続で更新しています。この急激な少子高齢化
は、「日本人のライフスタイルが変わったため」と思っている人が多いかもしれません
。しかし、それは誤解です。

確かに、日本人のライフスタイルが変わったことにより、晩婚化や少子化となりました
。が、これほど急激な少子高齢化が起きたのは、政治の失策が大きな原因となっている
のです。というより、ここ20~30年の政治というのは、わざわざ少子高齢化を招いてい
るとしかいいようがないほど、お粗末なものなのです。

実は少子化という現象は、日本だけのものではありません。「女性の高学歴化が進んだ
社会は少子化になる」ということは、かなり前から欧米のデータで明らかになっていま
した。そして、欧米では、日本よりもかなり早くから少子高齢化の傾向が見られていま
した。

日本の少子化というのは1970年代後半から始まりましたが、欧米ではそのときにはすで
にかなり深刻な少子化となっていました。そして1975年くらいまでは、欧米の方が日本
よりも出生率は低かったのです。つまり、40年以上前から少子高齢化というのは、先進
国共通の悩みだったのです。

が、その後の40年が、日本と欧米ではまったく違うのです。この40年の間、欧米諸国は
子育て環境を整えることなどで、少子化の進行を食い止めてきました。欧米諸国のほと
んどは、1970年代の出生率のレベルを維持してきたのです。だから、日本ほど深刻な少
子高齢化にはなっていません。

1975年の時点で、日本の出生率はまだ2.0を少し上回っていました。フランスは日本よ
り若干高いくらいでしたが、イギリスもアメリカもドイツも日本より低く、すでに出生
率が2.0を下回っていました。しかし、フランス、イギリス、アメリカは、大きく出生
率が下がることはなく、現在は出生率は2に近くになっています。

一方、日本は70年代から急激に出生率が下がり続け、現在は1.4にまで低下しています
。もちろん、出生率が2に近いのと1.4とでは、少子高齢化のスピードがまったく違いま
す。

なぜ先進国の間でこれほどの差がついたかというと、日本はこの40年の間に、子育てを
支援するどころか、わざわざ少子高齢化を招き寄せるような失政をしてきたからです。
待機児童問題が20年以上も解決されなかったり、大学の授業料を40倍にしたり、子育て
世代に大増税を課すなどの愚行を繰り広げてきたのです。その愚行の主なものをご紹介
していきたいと思います。

・非正規雇用の増大が少子化を加速させた

まず、少子化の大きな要因となっているのは、非正規雇用者の増大です。90年代の後半
から、2000年代にかけて、日本は労働政策を大きく転換し、非正規雇用を増やしました

1999年には、労働派遣法を改正しています。それまで26業種に限定されていた派遣労働
可能業種を、一部の業種を除外して全面解禁したのです。2006年には、さらに派遣労働
法を改正し、1999年改正では除外となっていた製造業も解禁されました。これで、ほと
んどの産業で派遣労働が可能になったのです。

派遣労働法の改正が、非正規雇用を増やしたことは、データにもはっきりでています。
90年代半ばまでは20%程度だった非正規雇用の割合が98年から急激に上昇し現在では35
%を超えています。

なぜ非正規雇用がこれほど増えたのかというと、大企業でつくられた経済団体が政府に
働きかけて「非正規雇用を増やせるように」法改正をさせたからなのです。

この非正規雇用の増大は、日本の非婚化を促進しているのです。正規雇用の男性の既婚
者は4割ですが、非正規雇用の男性の既婚者は1割しかいません。このデータを見れば、
日本社会の現状として、「非正規雇用の男性は事実上、結婚できない」ということです

・消費税は子育て世代がもっとも負担が大きい

次に、みなさんに認識していただきたいのが、「消費税は子育て世代がもっとも負担が
大きい」ということです。

消費税というのは、収入における消費割合が高い人ほど、負担率は大きくなります。た
とえば、収入の100%を消費に充てている人は、収入に対する消費税の負担割合は8%と
いうことになります。

が、収入の25%しか消費していない人は、収入に対する消費税の負担割合は2%でいい
ということになります。収入に対する消費割合が低い人というのは、高額所得者や投資
家です。彼らは収入を全部消費せずに、貯蓄や投資に回す余裕があるからです。こうい
う人たちは、収入に対する消費税負担割合は非常に低くなります。

では、収入における消費割合が高い人というのは、どういう人かというと、所得が低い
人や子育て世代ということになります。人生のうちでもっとも消費が大きい時期という
のは大半の人が「子供を育てている時期」のはずです。そういう人たちは、必然的に収
入に対する消費割合は高くなります。

ということは、子育て世代や所得の低い人たちが、収入に対する消費税の負担割合がも
っとも高いということになるのです。

・児童手当は焼け石に水

子育て世帯に対しては、「児童手当を支給しているので負担は軽くなったはず」と主張
する識者もいます。しかし、この論はまったくの詭弁です。

児童手当というのは、だいたい一人あたり月1万円、年にして12万円程度です。その一
方で、児童手当を受けている子供は、税金の扶養控除が受けられません。そのため、平
均的なサラリーマンで、だいたい5~6万円の所得税増税となります。それを差し引くと
6~7万円です。つまり、児童手当の実質的な支給額というのは、だいたい年間6~7万円
しかないのです。

しかも、子育て世代には、消費税が重くのしかかります。子供一人にかかる養育費とい
うのは、年間200万円くらいは必要です。食費やおやつに洋服代、学用品などの必需品
だけでも平均で200万円くらいにはなるのです。ちょっと遊びに行ったり、ちょっとし
た習い事などをすれば、すぐに200~300万円になります。子供の養育費が200万円だと
して、負担する消費税額は16万円です。児童手当で支給された分を、はるかに超えてし
まいます。

つまり子育て世代にとって、児童手当よりも増税額の方がはるかに大きいのです。少子
高齢化を食い止めるためには、政府は子育てがしやすいように「支給」しなければなら
ないはずなのに、むしろ「搾取」しているのです。

・子育て世代への大増税

また子育て世代からの搾取は、消費税だけではありません。政府はこの40年の間、子育
て世代に大増税を何度か行っています。その代表的なものが、「配偶者特別控除」の廃
止です。「配偶者特別控除」というのは、「年収1,000万円以下の人で、配偶者に収入
がない場合は税金を割引します」という制度でした。それが、平成16年に廃止されたの
です。

この「配偶者特別控除」の廃止でもっとも大きな打撃を受けたのは、所得の「低い子育
て家庭」だったのです。配偶者特別控除を受けている家庭というのは、子供のいる低所
得者が非常に多かったのです。働いているのは夫だけであり、妻はパートしても微々た
る収入しか得られない、でも子供もいて養育費がかかる、そういう家庭がこの「配偶者
特別控除」を受けていたのです。

配偶者特別控除を受けていた主婦というのは、働きたくても子供に手がかかったりして
働けない。働いたとしてもせいぜい近所でパートをする程度。夫の給料だけで、なんと
かやっていかなければならない、そういう人が多かったのです。

子供が小さくて妻が働きに出られない家庭などにとって、配偶者特別控除の廃止は大き
な打撃でした。この制度が廃止されたために、少ない人でも、だいたい4~5万円の増税
となったのです。

子供がいる所得の低い家庭に4~5万円もの増税をするなどというのは、少子高齢化の国
は絶対にしてはならないことです。「配偶者特別控除の廃止」は、少子高齢化が人災だ
ったことの象徴でもあります。

現在も「配偶者特別控除」という名称の所得控除はありますが、これは平成16年以前の
ものとはまったく別のものです。現在の「配偶者特別控除」は、一定以上の稼ぎがあっ
て配偶者控除を受けられない人が、ある程度の控除を受けられるという制度です。配偶
者控除を補完するための制度に過ぎません。

・なぜ待機児童問題は20年以上解決されないのか?

この40年間、子育て世代には、税金の負担増だけじゃなく、様々な負担がのしかかかっ
てきました。その代表的なものが、待機児童問題です。この待機児童問題は、最近でも
よく話題に上りますが、問題として認識されたのは1990年代なのです。実に20年以上、
解決されていないということです。

1990年代のバブル崩壊以降、サラリーマンの給料が減ったために、主婦が働きに出るケ
ースが激増しました。現在は、夫婦共働きというのは普通のことであり専業主婦の方が
珍しいですが、1990年代前半までは、「共働きの家庭」よりも「専業主婦のいる家庭」
の方が多かったのです。当然、保育所の需要が増えたわけですが、保育所がなかなか新
設されないために保育所に入れない待機児童が激増し社会問題となったわけです。

この待機児童問題は、実はいかにも「現代日本」らしいというか、現代日本社会の政治
の貧困が如実に表れたものなのです。

待機児童問題というのは、実は解決しようと思えば、まったく簡単なのです。待機児童
の数は2万人前後です。一人あたりに100万円かけたとしても200億円程度で済むのです
。日本の国家予算は現在、100兆円の規模がありますから、わずか0.02%です。まった
く他愛もなく解決するはずです。

にもかかわらず、なぜ20年間も解決しなかったかというと、保育業界が強力に反対して
きたからなのです。「今後少子化が進めば子供の数が減るから、保育所の数をこれ以上
増やすな」ということで、保育業界全体が、待機児童問題の解決を阻止してきたのです

保育所の経営者たちは、自民党の支持母体となっています。また公立保育所の職員たち
は、革新系政党の支持母体となっています。この両者が結託して、保育所の新設に反対
してきたのです。そのために、たかだか200億円もあれば解決する待機児童問題が、20
年以上も解決されず現代も大きな社会問題として残っているのです。

自分たちの利権のために、保育所の新設に抵抗し続けてきた保育業界も保育業界ですが
、嘆くべきはたった200億円程度で解決できる問題を放置してきた政治の貧困さ、です

・国公立大学の授業料は40倍に高騰

さらに悲しい事実を紹介しなければなりません。信じられない事に、この40年間で、日
本政府は国公立大学の授業料を大幅に値上げしているのです。あまり世間で注目される
ことはありませんが、現在、日本の国公立大学の授業料は、実質的に世界一高いのです

日本の国公立大学の授業料は入学金その他を合わせて年80万円程度です。これはイギリ
ス、アメリカと並んで世界でもっとも高い部類になります。が、イギリス、アメリカは
奨学金制度が充実しており、学生の実質的な負担はこれよりかなり小さいのです。

日本は奨学金制度は非常にお粗末で英米とは比較になりません。だから実質の学生の負
担としては、日本が世界一高いといっていいのです。そのため日本の大学生の半数に近
い90万人が、奨学金とは名ばかりの利子付きの学生ローンを背負わされています。

そして日本の大学の授業料がこれほど高くなったのは、80年代後半から2000年代にかけ
てなのです。つまり、ちょうど少子高齢化が社会問題化したころに、大学授業料の大幅
な引き上げが行われているのです。

国立大学の授業料は、昭和50年には年間3万6,000円でした。しかし、平成元年には33万
9,600円となり、平成17年からは53万5,800円にまで高騰しているのです。

なぜこれほど高騰したかというと、表向きの理由は、「財政悪化」です。「少子高齢化
で社会保障費がかさみ財政が悪化したために、各所の予算が削られた。その一環として
、大学の授業料が大幅に値上げされた」というのです。

しかし、日本は90年代に狂ったように公共投資を濫発しています。また80年代から2000
年代にかけて歳出規模も大幅に拡大しています。そして、大企業や高額所得者には、大
減税を行っています。大企業への補助金も莫大なものです。

2000年代、自動車業界に支出されたエコカー補助金は1兆円に近いものでした。その一
方で、国公立大学の学費は大幅に引き上げているのです。政治家や官僚たちに「お前ら
正気か?」と言いたくなるのは、私だけではないはずです。

・「米百俵の精神」と真逆だった小泉内閣

小泉純一郎氏は、2002年に首相に就任したときに、所信表明演説の最後に「米百俵の精
神」を説きました。「米百俵の精神」というのは、明治維新直後の長岡藩では、藩士た
ちの生活が困窮し、救援のために米百俵が届けられましたが、長岡藩の当時の指導者は
、この米百俵を藩士に支給せずに、売却し学校をつくったという話です。

小泉純一郎氏は、この話を引用し、将来の日本のために今の苦しい生活を我慢して欲し
いと国民に訴えました。世間的に非常に話題になりましたので、覚えている方も多いは
ずです。

が、この米百俵の精神で教育の大切さを説いていた小泉純一郎氏は、首相在任中に、国
公立大学の授業料を2倍近く引き上げているのです。また先にご紹介した「配偶者特別
控除」を廃止したのも、小泉内閣でした。

小泉内閣は、その一方で、投資家の税金を所得税、住民税を合わせて10%にするという
、先進国では例を見ないような投資家優遇税制を敷きました。その結果、株価は上昇し
、数値の上では景気はよくなったように見えましたが国民生活はどんどん悪くなってい
ったのです。

以前、このメルマガでもご紹介しましたが、公益法人「1more baby 応援団」の既婚男
女3,000名に対する2018年のアンケート調査では、子供が二人以上欲しいと答えた人は
、全体の約7割にも達しています。しかし、74.3%の人が「二人目の壁」が存在すると
回答しているのです。

「二人目の壁」というのは、子供が一人いる夫婦が、本当は二人目が欲しいけれど、経
済的な理由などで二人目をつくることができないということです。この「二人目の壁」
をつくってきたのは、間違いなく、この国の愚かな政治家たちだったのです。

日本という国は、世界有数の金持ち国です。バブル崩壊後も決して日本経済は悪くなく
、国民一人あたりの外貨準備高は断トツの世界一、国民純資産(資産から負債を差し引
いた金額)も同じく断トツの世界一。そして日本企業も、断トツ世界一の利益準備金を
保有していますし(人口比換算)、億万長者(100万ドル以上の資産保有者)の人口割
合も世界一なのです。実質的に世界一の金持ち国と言っていいでしょう。

にもかかわらず、若い夫婦がたった二人の子供を育てることさえ出来ないのです。今の
日本と言う国が、いかに富が偏在しているか、いかに必要な人にお金が回っていないか
ということです。今の日本に必要なのは、「経済成長」ではなく、「経済循環」なので
す。もう富は十二分にある、その富をちゃんと分配していないことが問題なのです。

しかし今の日本の政治というのは、相変わらず「経済成長」を目標にしています。政治
家たちが、いかに社会が見えていないかということです。これ以上、日本が富を集めれ
ば、世界中から嫌われます。日本がこれだけ富を集めているのに、若い夫婦がたった二
人の子供さえ持てない社会となっていることは、世界的な大恥なのです。

ライフ2019.06.18 15 by 大村大次郎『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』

(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋)

https://www.mag2.com/p/news/402263

MLホームページ: https://www.freeml.com/uniting-peace

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