過去にも関与…自民「ネトウヨ冊子」ネタ元は身内の可能性

自民党本部が所属国会議員に配布していた「ネトウヨ冊子」が波紋を広げている。
本紙が15日発売号で、〈フェイク情報が蝕むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識〉と題された冊子について報じて以降、ネットメディアやテレビ、地方紙も問題視。偏った内容の冊子の“ネタ元”が「自民党周辺」だった可能性が浮上している。
冊子は、野党や安倍政権に批判的なメディアに対する誹謗中傷が満載。参院選対策として議員1人当たり25部ずつ配られたという。
内容は、「テラスプレス」なる情報サイトに掲載された記事が基になっているが、当サイトには運営者の詳細について記載がなく、ネット検索してもヒットしない。正体不明のサイトなのだ。本紙の質問に、党本部は〈『テラスプレス』は、そのときどきの時局テーマについて、非常に簡潔にわかりやすく解説している〉と回答したものの、テラスプレスの詳細については答えなかった。
さらに北海道新聞は、加藤勝信総務会長が21日の会見で「どういう趣旨で配られたか承知していない」と発言したと報道。党幹部すら詳細を知らないとは驚くしかない。TBS系「上田晋也のサタデージャーナル」では、党の内情に詳しいとされる人物が〈この件だけはコメントしたくない〉と逃げた様子を伝えていた。怪しさは深まるばかりなのだ。
■過去にも「党周辺」がデマ、誹謗中傷を拡散
あらゆるメディアの追及に、不自然なほどかたくなに口を閉ざす自民党。過去、野党議員のデマを流したサイト「政治知新」を自民党地方議員の弟が運営し、野党批判を繰り返した「宇予くん」なるツイッターを、党と関係が深い日本青年会議所が運営していたことが明らかになっている。今回も運営に“党周辺”が関与しているのではないか。
元自民党職員の政治アナリスト・伊藤惇夫氏はこう言う。
「テラスプレスの記事内容は『安倍首相応援団』の主張そのものです。自民党や安倍首相とつながりを持った人物や組織がサイトを運営していると受け止めざるを得ません。こういった偏った内容の冊子を党本部が選挙対策で配布する感覚は、到底理解できません。かつての自民党はもっと良識がありました」
政権政党なのに随分と卑怯な参院選対策である。