消費税を増税すれば、 税収が減って、借金が膨らんでいく!

消費税を増税すれば、税収が減って、借金が膨らんでいく!

最大の理由は、消費増税がどれほど恐ろしい被害をもたらすのか、
ということが十分に共有されていないという点

「しょうがない」という判断の裏にあるのは、恐るべき事実誤認、
つまり「勘違い」「思い違い」

増税肯定論の最大の問題は、
「数%くらい消費税を増税しても、たいした問題にはならないだろう」
と、根拠なく楽観視しているところにある

日本の財政悪化を導いた真犯人は消費増税である

日本のデフレは激しく進行し、財政基盤は決定的に破壊されて
しまうことは必至なのだ

ここまで論じてきた当方の指摘を認識してもなお、消費増税はやはり
「やるべき」なのだと主張できる理性的な人間などいるのだろうか?

本稿で論じた事実が国民に広く知れ渡れば、
財政健全化論者たちも含めて、消費増税などほとんど誰も支持しない
世論状況となるだろう

==

消費増税愚策論  京都大学大学院工学研究科教授  藤井聡  

財政の主権を持つのは日本国民である

現在の法律では、本年(2019年)10月に消費税を8%から10%
に引き上げることが定められている。
したがって、法治国家である我が国日本は、このまま法律を修正しなければ、
10月1日には消費税は自動的に10%に上げられることになる。

しかし、法律は国会の審議を経て、文字通り「任意」に改定できるものである。
その意味において、9月末日まで、消費税の増税を延期、凍結、さらに減税
することも、まったくもって可能なのだ。

もちろん、様々な制度は10月1日の増税に向けて調整されており、
増税の既成事実化は日々進行しているが、
だからといって「もうしょうがない」と諦める必要はどこにもない。
そもそも我々日本国民は、財政についての主権を有しているのだ。

この一点を考えた時、我々日本国民にとって何よりも大切なのは、
10月までに執り行われる国政選挙において、増税を主張する政党・政治家
を支持するのか、あるいは、増税の凍結や減税を主張する政党・政治家を
支持するのか、その一点に集約できるのだ。

増税に反対だが増税推進派を支持する日本国民
・・・
最大の理由は、消費増税がどれほど恐ろしい被害をもたらすのか、
ということが十分に共有されていないという点にこそある。
つまり、増税に反対する国民の多くが、「なんとなく」反対しているに過ぎず、
したがって「どちらかと言えば、反対だけれども、まあ、しょうがないか」
と思っている。
だからこそ現内閣がどれだけ増税を進めると言っても、
たいして支持率は下落しないのだ。

ただし、この「しょうがない」という判断の裏にあるのは、恐るべき事実誤認、
つまり「勘違い」「思い違い」なのだ。

多くの国民は今、次のような漠然としたイメージを共有している。
それはすなわち、「日本の財政は1000兆円を超える凄まじい巨額の借金があって、
それに対応するには、消費増税は必要なのだろう。
たしかに消費増税で自分の支払いがちょっと増えるからイヤだけれど、
それで国がよくなるなら、まあ、しょうがない」、というものだ。
・・・

消費増税が日本経済を破壊する

まず、こうした増税肯定論の最大の問題は、
「数%くらい消費税を増税しても、たいした問題にはならないだろう」
と、根拠なく楽観視しているところにある。

そもそも、日本が成長できない「デフレ」という経済状況に陥ったのは、
1997年の5%への消費増税を行なってからだ。
97年増税によって消費は一気に冷え込み、そこから伸びなくなって
しまったのだ。
そもそも消費は日本経済の60%を占める経済成長のメインエンジンである。
そのメインエンジンに冷や水を浴びせかけたのが消費増税であったわけで、
そのせいで一気に日本はデフレになったのだ。
・・・

日本経済が成長していない時期の消費増税は・・・、経済に
破壊的なダメージをもたらす。
理由は以下の二つ。

第一に、消費税は消費に対する「罰金」として機能する。
だから経済成長していない時期の消費税増税は、消費を激しく冷え込ませるのだ。

そして第二に、消費は経済全体の約6割を占める。
しかも、その消費が冷え込めば、経済全体の15%を占める投資も下落する。
したがって、消費が冷え込めば、必然的に経済全体が大きく停滞するのだ。

だからこそ、バブル崩壊によって激しくおちこんだ経済状態の中で断行された
1997年の消費増税は、破壊的インパクトを日本経済にもたらし、
日本をデフレ化させ、その後20年以上にわたってそこから
全く抜け出せなくなってしまったのである。
・・・

例えば、1980年代は平均4・4%以上の成長率があった。
つまり、日本経済はバブル崩壊で成長率に陰りが出たものの、
それでもなお何とか年率2・2%程度ずつ成長していた。
しかし1997年の増税のせいでほとんど成長できない国家になって
しまったのである。

ここでもしも、消費増税がなかったとすれば、どういう経緯を
たどっていたのかを考えてみよう。
・・・

読者の中には、日本がそんなに成長することなどあり得るのかと、
訝(いぶか)しがる方もおられよう。

しかし、この2・2%という成長率は、世界中の国々と比べれば、
極めて低い水準なのだ。
まず、過去20年間のGDP統計が報告されているOECD76カ国における
1995年からの20年間の平均成長率は約4・6%。
つまり2・2%という水準は世界平均の半分以下なのだ。
しかも、前記76カ国の中で2・2%といえば、上から数えて73カ国目、
下から数えて3番目という極めて低い水準である
(ちなみに言うまでもないが、0・16%という日本の現状の成長率は、
文字通り、断トツの世界最下位だ)。

つまり、日本が消費増税によってデフレにさえなっていなければ、2・2%
程度の成長率が達成されていた可能性が十二分以上に考えられるのである。
むしろ、より高い3%程度の成長率に達していた可能性もあり得たわけだ。

日本の財政悪化を導いた真犯人は消費増税である

このように、多くの国民が素朴に感じている
「消費税を数%上げたところで、たいしたことはないだろう」
というイメージは、完全なる間違いなのである。
もうこれだけで、消費税賛成の論拠はほとんどないと言ってもよいのだが、
それでも、
「だけれど、国の借金を減らすには消費増税が必要なんじゃないか?」
と考える人もいるかもしれない。
そもそも消費増税に賛成する国民の多くが、実はこうした
「良心的」なイメージで、しぶしぶ消費増税に賛意を示している。

しかし、このイメージも完全なる事実誤認だ。

そもそも、消費税を増税すればするほどに、
今の日本は税収が減って、借金が膨らんでいくのである!

再び、先ほど述べた、消費増税がなかった場合の話をさらに考えてみよう。

先の推計ではGDPを推計していたが、「消費税率が3%」でかつ「インフレ」
の時代におけるGDPに対する総税収の割合は、おおよそ11%程度であった。
この値を使って税収を推計すると、2018年度時点で税収は90兆円を超え、
今よりも約35兆円も高かったと推計される。
そして1997年からの累計では、総計約600兆円も税収が増えていたで
あろうと推計された。
つまり我が国は1997年の消費増税のせいで、2018年時点の税収を
約35兆円、増税以降の21年間で約600兆円以上もの税収を
喪失してしまったのだ。
つまり、日本の財政を破壊したのは、他ならぬ消費増税だったわけである。

実際、赤字国債発行額の(10年間)平均値に注目すれば、
1997年の消費増税前後で約3兆円から約23兆円へと一気に拡大している。

こうした経験を振り返れば、消費増税こそが、日本を借金まみれの国家に仕立て
上げたということは、疑いようのない事実なのである。

以上の議論を確認するだけで、もはや消費増税など論外だという結論以外は
導きようがないということになるのだが、今回の消費増税の問題は以上だけに
留まらない。
今度の増税の2019年10月というのは、前回(2014年)や
前々回(1997年)とは比較にならないほどに、
文字通り最悪のタイミングである。

先にも述べたように、消費増税は、経済が成長しているタイミングであるなら
大きな問題とはならないが、経済が低迷しているタイミングでは、その破壊力が
激しく拡大してしまうのだから、このタイミングの問題は極めて深刻なのだ。

第一に、我が国は未だデフレ中だ。
もうそれだけで最悪のタイミングだと言うことができるのだが、
今回に限ってはそれだけではない。

第二に、今、米中経済戦争や英国EU離脱問題、イラン問題等を通して
世界全体に経済が先行き不透明となっている。
そのあおりを受けて、輸出が大きく下落しつつある。
これによって、内閣府の景気動向指標は急速に悪化し、基調判断が
約6年ぶりに「悪化」となった。
しかも、今後の回復のめどは立っておらず、むしろさらに悪化する公算の方が高い。

第三に、オリンピック投資がこれから急速に縮減していくタイミング
であるとともに、働き方改革による残業代の縮減で、労働者の賃金が
さらに下落していく時期とも重なる。

つまり、今回の消費増税は、前回までの消費増税とは異なり、
内需のみならず外需も縮小しているタイミングで行われるものであり、
その「被害」が甚大なものとなるのは必至なのである。

不十分な「消費増税ショック対策」

繰り返すが、多くの国民、そして、多くの政治家たちは、日本の借金の返済の
ためには、消費増税はしょうがないというイメージを持ち、
このイメージゆえに消費増税に賛成している。
しかし、そうしたイメージとは裏腹に、消費増税は途轍もない経済被害をもたらし、
挙げ句に借金を拡大させてしまうのが実態なのである。

にもかかわらず、今、来るべき国政選挙において一部の政党は、
この恐るべき消費増税を行なうということを公約に掲げようとしている。

以上の消費増税をめぐる客観的事実を検討してきた筆者のような専門家に
とってみれば、こうした公約は「正気の沙汰」とは思えぬほどの愚策だ。
・・・

つまり、政府は「消費増税に対して十分な対策を講ずるから大丈夫だ」
とは言うものの、その対策は、短すぎるし小さすぎる。
仮にそれらが万が一完璧であったとしても、そのタイミングが最悪であるが
ゆえに日本のデフレは確実に激しく進行することになる。

だから、万一増税を行なった上でしかもこれだけ世界経済の先行きが不透明な
状況下で「成長」を目指すと言うのなら、消費増税で増える税収の何倍もの
水準の(例えば、年間15兆円程度の)超大型で、かつ効果的な景気対策を
少なくとも5カ年程度は継続せねばならないだろう。

さもなくば日本のデフレは激しく進行し、財政基盤は決定的に破壊されて
しまうことは必至なのだ。

「デマ」と「ウソ」が日本を破壊する

以上、いかがだろうかーー
ここまで論じてきた当方の指摘を認識してもなお、消費増税はやはり
「やるべき」なのだと主張できる理性的な人間などいるのだろうか?

無論、筆者は、そのような者などいるはずもなかろうと確信している。
事実、これまで「増税論者」たちと幾度も議論する機会があったが、
筆者の主張に対して理性的な反論に成功した論者を目にしたことは未だかつてない。
だからそれは大なる可能性で、消費増税をめぐる賛成と反対の議論は、
単なる「真実とデマの対立」なのである。

だから万一、例えば本稿で論じた事実が国民に広く知れ渡れば、
財政健全化論者たちも含めて、消費増税などほとんど誰も支持しない
世論状況となるだろう。
そうなれば必然的に、消費増税を主張する政治勢力は、選挙のプロセスを経て、
その勢力を激しくそがれ、消費税の凍結あるいは減税を叫ぶ政治勢力は
大きくその勢力を伸ばすことができるだろう。

つまり、今後の日本の未来は、消費増税をめぐる真実がデマとウソに勝利
することができるか否かにかかっているのである。
我々日本国民にそうした力が未だ残存していることを、心から祈念したい。

【「世界」2019年8月号「争点としての消費税」掲載 藤井論文より抜粋】

MLホームページ: https://www.freeml.com/uniting-peace

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