2019参院選・数字が語る争点
憲法(その1) 164議席 自衛隊明記へ高い壁
毎日新聞
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164議席 憲法改正案の発議に必要な参院の議席数
参院選(21日投開票)は与党と日本維新の会など憲法改正に前向きな改憲勢力が選挙後に総定数245の3分の2に当たる164議席に到達できるかが焦点だ。安倍晋三首相は獲得議席の目標について「3分の2と言ったことはない」と明言を避けるが、憲法への自衛隊明記実現に向けた意欲は隠さない。選挙で戦う国民民主党へ秋波を送り、選挙後の連携も模索している。
「東日本大震災であんなに頑張ってくれた自衛隊を(共産党は)違憲と言っている。そういう問題に終止符を打つため、憲法に自衛隊を明記する」。首相は公示日の4日、津波被害に見舞われた宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区での街頭演説で力説した。
首相が目指す自衛隊明記に高いハードルを与えているのも憲法だ。96条は改憲には衆参各院の3分の2以上の賛成で国会が発議すると定める。現在、衆参とも改憲勢力は3分の2を上回る。参院の非改選議員数は121で改憲勢力は計79人。今回は改選数124で「164」を獲得するには85議席が必要だ。2013年参院選は与党は大勝しただけに、今回は与党内でも「3分の2の維持は難しい」との見方は漏れる。首相が「3分の2の確保」の明言を避けるのは目標に達しない場合、改憲機運が後退しかねないと危惧するためだ。
それでも首相は自衛隊明記への執念は隠さない。4日のNHKの報道番組で「3分の2の合意を得られる努力を重ねたい。国民民主党にも憲法改正を議論しようという方々がたくさんいる」と語った。だが、自衛隊明記で違憲論争に終止符が打てるのかどうかは有識者の間でも見解は分かれ、曖昧さは残る。【鈴木一生】=随時掲載