米カリフォルニア州サンディエゴ郊外のパウウェイ市にあるシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝所)で27日午前11時20分(日本時間28日午前3時20分)ごろ、白人の男が銃を乱射し、女性1人が死亡、3人がけがをした。容疑者の「犯行声明」は、ネット上での白人至上主義の広がりをうかがわせる。米国で銃の規制が進まないことも、犯行を容易にしている面がある。

 地元警察は同日、サンディエゴに住む白人男性のジョン・アーネスト容疑者(19)を逮捕。地元市長は「ヘイトクライム憎悪犯罪)だ」と断定した。

 警察によると、アーネスト容疑者はシナゴーグに押し入り、ユダヤ人を中傷する言葉を叫びながら銃を乱射。現場から逃走した後、警察に電話して居場所を伝え、駆けつけた警官に身柄を拘束された。

 地元警察は27日の会見で「銃が不具合を起こした形跡がある」としており、銃に問題が起きなければ犠牲者がさらに拡大していたおそれがある。

 カリフォルニア州立大学サンマルコス校は同日、アーネスト容疑者が自校の学生だと明らかにした。

 10代の大学生が、なぜ犯行に至ったのか。

 警察は27日の会見で「犯人が書いたとみられる犯行声明を調べている」と述べた。米メディアによると、同容疑者は事件前、ネット上に「犯行声明」を残し、「ユダヤ人は白人社会を破壊している」と書き込んでいた。

 さらに、3月15日にニュージーランド・クライストチャーチで白人至上主義者の男が起こした銃乱射事件に影響を受けたと表明。この事件をまね、自ら事件を起こしフェイスブック上で生中継しようと計画したものの、アカウントが凍結されてできなくなったとの内容も含まれていた。

 3月下旬に今回の現場近くのエスコンディド市であったイスラム教の礼拝所(モスク)が放火された事件も自らの犯行だとし、昨年10月、ピッツバーグのシナゴーグで起きた銃乱射事件に共鳴する考えも書き込んでいたという。

 米ニューヨーク・タイムズ紙は今月初め、白人至上主義がネットを通じて世界に拡散しているとの記事を掲載。ここ数年、白人至上主義者が「反ユダヤ主義」や「反イスラム」を掲げて起こした事件が共鳴者を呼び、犯行の連鎖が起こっていると指摘した。

 また、今回の事件は、米国の銃規制を巡る問題を改めて浮き彫りにした。

 警察は27日、「犯行に使われたのは、AR15のようなライフルだ」と明かした。AR15は軍が使用するような半自動銃を民用向けにしたもので、殺傷性の強いアサルトウェポン(突撃銃)だ。

 突撃銃は昨年のフロリダ州パークランドの高校での銃乱射事件など、多くの乱射事件で使われてきた。米国では「軍が使うような銃を民間人が簡単に所持できるのはおかしい」との批判があるが、全米ライフル協会(NRA)の抵抗が根強い。トランプ大統領は26日、通常兵器の国際取引を規制する武器貿易条約(ATT)への署名撤回を宣言。ATTに猛反発していたNRAへの配慮が背景だった。(サンフランシスコ=尾形聡彦

近年起きた主な銃乱射事件

2018年10月

米ペンシルベニア州ピッツバーグのシナゴーグで、反ユダヤ主義の男が銃を乱射、11人を殺害

2019年3月

ニュージーランド・クライストチャーチのモスクで、白人至上主義者の男が銃を乱射し50人が死亡

     4月

21日 スリランカキリスト教会などを狙った連続爆破テロで、日本人女性1人を含む250人以上が死亡。実行犯は「イスラム国」(IS)に忠誠を誓っていたとみられる

27日 米カリフォルニア州サンディエゴ郊外のシナゴーグで男が銃を乱射、4人が死傷(日付は現地)