福島事故とチェルノブイリ事故を比較する ―何という日本市民の人権の軽さー

両事故の比較

両事故の比較を箇条書き的に述べると以下のとおりです。

①放射能放出量はフクシマの方がチェルノブイリの4.4倍に上ります(日本政府は6分の1としています)。広島原爆の際の放射性セシウム放出と比較すれば4150発分に上ります。( 放射線被曝の争点、緑風出版(2016) )

②チェルノブイリは7か月後には石棺を構築し一切の放射性物質の漏えいを防止。日本は5年経った現在も空中に水中に放射性物質を放出し続けています。

③チェルノブイリ周辺国ではチェルノブイリ法(住民保護法) 3) が事故5年後にできました。チェルノブイリ法では、1ミリシーベルト/年に相当する土地汚染量の5分の1あるいは0.5ミリシーベルト以上では政府が住民に「危険ですよ」と知らせます。自然科学的認識、歴史的に勝ち取られて来た放射線防護の基本に立ち返り誠実に住民に事実を告げています。年間1~5ミリシーベルトでは「移住権利」が与えられ、5ミリシーベルト以上では「ここに居てはいけません」、「生産もいけません」と規制されました。

事故を如何に安上がりに処理するかー放射能汚染を軽く見せる・住まわせ続ける・放射能を拡散し続ける・一切の健康被害は認めないー

膨大な予算を国家が支出し住民を保護しています。国の責任で健康診断を徹底しています。汚染地に済む人への配慮が行き届いた土地その他の減免税や保障など社会的保護がなされています。子どもたちには国が保養を行っています。

日本の現状はどうでしょうか?法律では、公衆は年間1ミリシーベルト以上のところにはいてはならないことになっているにも関わらず、年間20ミリシーベルト基準で住民帰還を強力に促しています。チェルノブイリ法で住むことも生産することも禁じられている汚染が年間5ミリシーベルト以上の汚染域に、100万人規模が生活・生産を続けています。原子炉等規制法では100ベクレル/kg以上の汚染物は再利用してはならず、環境から隔離して保存しなければなりませんが、*それを8000ベクレル/kgまで廃棄物として処理でき*最近は再利用を促進しています4)。 原子力緊急事態(2011年3月11日宣言)はあらゆる意味で住民に被曝を強制し、住民犠牲の上に国と東電の都合を優先しています。「原子力災害の拡大の防止」と称して、人権・民主主義破壊を思いのままなしている姿を見事に示しています。

専門家の棄民協力

④チェルノブイリ周辺国では医師・科学者は事実を重んじ健康被害の救済に全力を上げましたが5)、国際機関であるIAEA, WHO、それにICRPは一切の放射線起因性を(甲状腺がんを除く)否定しました。それに対し、日本政府・福島県は放射線との因果関係を一切否定し、福島県下だけでもすでに172人が確認されている小児甲状腺がんさえも「原発事故と因果関係は確認されていない」としていているのです。あらゆる健康被害を放射能との関係を拒絶して、公的記録上では健康被害は一切無かったことにしようというわけです。

放射線との因果関係を認めれば公的な責任を認めることになり、膨大な賠償・補償費が必要となります。日本では人間の命より功利主義・会社の儲けや国の都合が優先されています。国の主である住民の命を守ることは程遠く、予防医学的な観点は皆無と言えます。山下俊一氏が会長を務めていた日本甲状腺学会では、学会の指令として、福島の小児の甲状腺診断のセカンドオピニオン取得を拒否させた有名な事例があります。何という人権の軽さでしょう。

⑤日本では科学抜きの「100ミリシーベルト以下は安心6)」などの安全論や、甲状腺がんと原発事故の関係を否定する珍説が大宣伝されています。実際の半分しか提示しない放射線モニタリングポスト7)、実際の60%しか勘定しない被曝線量計算(実効線量)8)、スピーディー結果の隠匿、安定ヨウ素剤の不投与などなどが行われています。

福島以外は放射能の影響なし

⑥放射能汚染は日本全国に及び、特に東日本は深刻です。政府は放射能の影響があるのは「福島県だけ」と事実に基づかない判定をし、福島以外の一切の被災者を切り捨てています。福島県内では避難者への保護は打ち切り、福島に帰ると若干の保護が受けられようとしています。福島県外への避難が阻止されています。

放射能公害被災者に人権の光を!
原発事故避難者に公的支援を求める会
http://okinawahinansha.wixsite.com/houshanou-kougai
矢ヶ崎克馬(発起人・代表)
署名送り先:〒903-0116
沖縄県中頭郡西原町幸地586−8

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参考文献等

2)渡辺ら:放射線被曝の争点、緑風出版(2016)

3) チェルノブイリ法(住民保護法) http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/201110cherno.htm

4)放射性物質汚染対処特措法に基づく廃棄物処理についてhttps://www.env.go.jp/jishin/rmp/conf/waste_safety01/mat03.pdf

放射性廃棄物を「再生利用」!?http://oshidori-makoken.com/?p=1863

5)馬場朝子、山内太郎:低線量汚染地域からの報告、NHK出版(2012)

6)鈴木正敏、鈴木啓司、山下俊一:低線量放射線被ばくによるDNA損傷の誘導と排除、長崎医学会雑誌87巻特集号239-242(2012)

7)矢ヶ崎克馬、吉田邦博ら:http://blog.acsir.org/?eid=23

8)校庭等の空間線量率3.8μSv/hの学校の児童生徒等の生活パターンから推定される児童生徒等が受ける実際の積算線量の試算についてhttp://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2013/03/01/1331412_002.pdf

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