米軍は日本を守ってなどいない! 田岡俊次が在日米軍を詳細分析して分かった実態とは

米軍は日本を守ってなどいない! 田岡俊次が在日米軍を詳細分析して分かった実態とは

田岡俊次2019.8.23 11:30AERA#ドナルド・トランプ

 

出港を待つ米海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」。甲板を取り囲むように乗員が整列していた/2017年5月、神奈川県横須賀市 (c)朝日新聞社

出港を待つ米海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」。甲板を取り囲むように乗員が整列していた/2017年5月、神奈川県横須賀市 (c)朝日新聞社
出港を待つ米海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」。甲板を取り囲むように乗員が整列していた/2017年5月、神奈川県横須賀市 (c)朝日新聞社

トランプ大統領の意向を受け、在日米軍駐留経費の日本側の負担を3~5倍に増額することを要求する可能性を示したとされるボルトン米大統領補佐官 (c)朝日新聞社
トランプ大統領の意向を受け、在日米軍駐留経費の日本側の負担を3~5倍に増額することを要求する可能性を示したとされるボルトン米大統領補佐官 (c)朝日新聞社
米軍は日本を守ってくれている。日本人の多くはそう信じて疑わないだろう。 だが実態は全く違う。在日米軍の分析で驚くべき事実が浮かび上がった。

トランプ大統領の意向を受け、在日米軍駐留経費の日本側の負担を3~5倍に増額することを要求する可能性を示したとされるボルトン米大統領補佐官 (c)朝日新聞社

【写真】ボルトン米大統領補佐官

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「もし日本が攻撃されれば米国は私たちの命と財産をかけて日本人を助けるために戦闘に参加する。もし米国が攻撃されても日本は私たちを助ける必要は全くない。米国への攻撃をソニーのテレビで見ることができる」

トランプ米大統領は6月26日、FOXビジネスネットワークのインタビューで日米安保体制の不公平を強調した。

この大統領の意向を受け、7月21日に来日したボルトン大統領補佐官(安全保障担当)は、在日米軍駐留経費の日本側の負担を3倍、あるいは5倍に増額することを要求する可能性を示したとの報道もある。

米国防総省の2004年の報告書では、日本は米軍駐留経費74.5%を負担している。韓国の40%、ドイツの32.6%をはるかに上回っており、それを3倍や5倍にするのはほぼ不可能だ。大幅に増やすには米軍将兵の給与や装備の調達費、維持費を出すしかない。「そうすれば米軍は日本の傭兵になりますな」と防衛省幹部も苦笑する。

3倍や5倍論は日本を驚かせ、イラン包囲網の「有志連合」に参加させたり、2021年3月に期限切れとなる在日米軍経費負担に関する特別協定の再交渉で増額を迫ったりすることを狙うトランプ流のかけ引きか、とも思われる。だが韓国は昨年の米軍経費負担が9602億ウォンだったのを、今年は1兆389億ウォンと8%余増額させられ、来年さらなる交渉が行われる予定だ。トランプ政権が日本にも大幅な増額を要求する公算は大だ。

「駐留米軍によって日本は守られている」との観念は広く定着している。だが実は、日本防衛に当たっている在日米軍の部隊は無きに等しいのだ。

最も顕著なのは空軍(日本に1万2千人余)だ。1959年に航空自衛隊が防空任務の引き継ぎを受けて以後、米空軍は日本の防空には一切関与せず、約330機の日本の戦闘機や対空ミサイルが防空に当たっている。

 米空軍は沖縄県の嘉手納基地にF15戦闘機27機、青森県の三沢基地にF16戦闘攻撃機22機を常駐させ、ステルス戦闘機F22も嘉手納に飛来している。

 72年の沖縄返還後は沖縄の防空も航空自衛隊が担い、嘉手納の米軍戦闘機は交代で約半数が韓国に展開していた。91年の湾岸戦争以後は中東にも出動している。三沢のF16は対空レーダー、対空ミサイル破壊が専門で、これもしばしば中東で活動している。

 ならば、なぜ米空軍は日本にいるのか。日本の米空軍基地は実質上米本土の母基地に似た性格だから、米議会でも「日本にいる空軍機は本土の基地に戻し、そこから中東などに派遣する方が合理的ではないか」との指摘がある。そのたびに米国防当局は「日本が基地の維持費を出しているから、本土に置くより経費の節約になる」と答弁してきた。

 空軍だけではない。陸上自衛隊が13万8千人余、戦車670両、ヘリコプター370機であるのに対し、在日米陸軍(2600人余)はほとんどが補給、情報部隊で、地上戦闘部隊は沖縄のトリイ通信所にいる特殊部隊1個大隊(約400人)だけ。これはフィリピンなどに派遣されていることが多い。

 在日の米海兵隊(1万9300人余)の主力は「第3海兵師団」だが「師団」とは名ばかりで補給、病院、司令部の要員が大部分だ。地上戦闘部隊は歩兵1個大隊(約970人)を中心とし、それに短い滑走で離陸可能なF35戦闘機6機や大砲6門、ヘリコプター、オスプレイ計約25機、装甲車約30車両などが付く計2200人余の「第31海兵遠征隊」だけだ。

 この遠征隊は佐世保を母港とする揚陸艦4隻(常時出動可能は3隻)に乗り、米第7艦隊の陸戦隊として、西太平洋、インド洋各地を巡航している。戦車は無く、歩兵970人が主体だから本格的な戦争ができる規模ではない。海外で戦乱や暴動が起きた場合、一時的に飛行場や港を確保し在留米国人を避難させるのが精いっぱいだろう。沖縄の防衛は陸上自衛隊第15旅団(約2600人)の任務だ。

 米海軍は横須賀に揚陸戦指揮艦「ブルー・リッジ」(第7艦隊旗艦)、原子力空母「ロナルド・レーガン」、ミサイル巡洋艦3隻、ミサイル駆逐艦7隻を配備している。また、佐世保には空母型の強襲揚陸艦「ワスプ」とドック型揚陸艦3隻、機雷を処理する掃海艦4隻を配備してきた。「ワスプ」はすでに本国に戻り、交代としてより大型の「アメリカ」が来る。ドック型揚陸艦も1隻増強となる。

 米第7艦隊は東経160度以西の太平洋から、インドとパキスタンの国境線までのインド洋にわたる広大な海域を担当している。横須賀、佐世保を母港としている米軍艦がもっぱら日本の防衛をしていないのは当然だ。

 食料の自給率が37%(同じ島国の英国でも70%以上)である日本にとっては海上の通商路「シーレーン」の確保が海上防衛の最大の課題だが、米国は食料も石油も自給自足できるから、商船防護への関心は低い。米海軍の巡洋艦、駆逐艦、フリゲート(小型の駆逐艦)は計101隻。11隻の空母と海兵隊を運ぶ揚陸艦を守るのがやっとの数だ。日本のシーレーンを守るのは海上自衛隊の護衛艦47隻に頼るしかない。(軍事ジャーナリスト・田岡俊次)

AERA 2019年8月26日号より抜粋

 

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