気候変動対応、日本も急げ=山本良一・東京大名誉教授

発言

気候変動対応、日本も急げ=山本良一・東京大名誉教授

 日本は昨年7月の西日本豪雨で200人以上、同年夏の熱波では1000人以上の犠牲者を出した。今年も、台風15号の深刻な被害が広がった。その中、長崎県壱岐市が9月25日、「気候非常事態宣言(Climate Emergency Declaration=CED)」を出した。これまで世界で数多くの自治体が相次いでCEDを議決する中、日本ではゼロが続いていた。ようやく日本も動き始めたといえよう。

 この宣言は、気候変動を緊急に対応すべき危機と位置付け、温室効果ガス排出実質ゼロ(ゼロカーボン)を目指すなど、社会を動員して危機に対処するものだ。英国では408自治体のうち322がCEDを議決した。宣言を出した都市には、ロンドン、パリ、豪シドニー、米ニューヨーク、アムステルダムなど大都市が名を連ね、そのうち50余りの都市は2030年まで、他は50年までのゼロカーボンを目指す。英国、アイルランド、ポルトガル、カナダ、フランスなどは国会で気候非常事態宣言を議決した。米議会にも民主党が同様の決議案を出している。

 環境の劣化、極端な気象の頻発に最も心を痛めているのは青少年である。18年8月、スウェーデンの少女、グレタ・トゥーンベリさんは、科学的知見に基づいた厳しい政策決定を求めて国会前に一人で座り込んだ。この勇気ある行動はメディアやSNSで瞬く間に世界に拡散した。若者たちは自治体や政府にCEDと抜本的な政策の立案・実施を求める。グレタさんは先月、国連気候行動サミットにも出席して、対策の早期実行を強く訴えた。

 世界の科学者たちも、学生の気候ストライキへの支持声明を相次いで発表し、若者たちへ最大級の賛辞を贈る。9月初めには1万人を超える世界の科学者が気候が非常事態にあることを警告した。ニューヨーク市は今年、気候非常事態を宣言すると、気候変動対策の行動計画を制定し、ビルからの温室効果ガス排出の徹底的抑制に乗り出した。米ロサンゼルス市は世界で初めての気候非常事態部門を設置した。CEDは文化・芸術関連団体、医師会、病院、企業にも及び、「気候非常事態ファンド」のようなこの運動を資金面から支援するファンドも現れた。

 特筆すべきは、気候ストライキやCED運動で、グレタさんをはじめ女性が大活躍していることである。スコットランド、英国のCEDを先導したのはニコラ・スタージョン首相、テリーザ・メイ前首相であり、パリやアムステルダムの首長も女性である。日本でも小池百合子・東京都知事や林文子・横浜市長が、気候変動対策で積極的な姿勢を見せていることに期待したい。

 現在の急激な気候変動を止めるため、時間はもうほとんど残されていない。世界は、化石燃料からの完全な脱却という大転換を迫られている。そのために「革命」レベルの社会変革を、確実に実現しなければならないのである。世界はCEDをきっかけに動き始めている。日本の自治体や政府も、先陣を切った壱岐市に続いてほしい。


 ■人物略歴

やまもと・りょういち

 専門はエコマテリアル学。国際グリーン購入ネットワーク名誉会長など務める。

Categories Uncategorized

Leave a Reply

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out /  Change )

Twitter picture

You are commenting using your Twitter account. Log Out /  Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out /  Change )

Connecting to %s

%d bloggers like this:
search previous next tag category expand menu location phone mail time cart zoom edit close