首相の危機を救い文科相に駆け上がった萩生田氏自身の「身の丈」を探る

首相の危機を救い文科相に駆け上がった萩生田氏自身の「身の丈」を探る

衆院文部科学委員会の冒頭、大学入学共通テストで導入される英語民間試験に関する自身の発言について陳謝し、着席する前に一礼する萩生田光一文部科学相=国会内で2019年10月30日午前9時1分、川田雅浩撮影

 大学入学共通テストで導入予定の英語民間試験について、萩生田(はぎうだ)光一文部科学相が「自分の身の丈に合わせて勝負してもらえれば」と発言。格差を容認するかのような表現に、ネット上などでは批判が噴出し、萩生田氏は「説明不足な発言だった。おわび申し上げたい」と陳謝した。安倍晋三首相の側近として知られる萩生田氏とは、どういう人物なのか。【吉田卓矢/統合デジタル取材センター】

面倒みよく人心掌握にたける

 発言があったのは24日のBS番組。大学入試センター試験に代わり2020年度に始まる大学入学共通テストで導入予定の英語民間試験について、金銭的・地理的な条件で不公平が生じるとの懸念に対し、「自分の身の丈に合わせて勝負してもらえれば」と話した。直後から、ネット上では「教育の機会均等を否定する発言だ」などと批判が相次いだ。

 萩生田文科相は、1963年東京都八王子市生まれ。地元の小中から早稲田実業高に進学し、明治大卒。八王子市議時代の同期、萩生田富司・自民八王子総支部長などによると、学生時代から当時八王子市議だった黒須隆一・元八王子市長の秘書となり、27歳の若さで八王子市議に初当選した。富司総支部長は「頭の回転が速かった。若かったので将来、政治の世界で伸びると思った」と振り返る。

加計学園獣医学部新設に関連し、萩生田光一氏の指示について記された関連資料=東京都千代田区で2017年6月15日、竹内紀臣撮影

 2001年に都議へ転身後、03年に衆院議員に初当選、2期目には自民党青年局長などを務めたが、09年の衆院選で落選。12年の衆院選で返り咲いて現在5期目だ。3期目以降は、党筆頭副幹事長、内閣官房副長官、党幹事長代行などを歴任し、今年9月、第4次安倍再改造内閣で文科相に任命された。

 政界を順調に駆け上がる秘訣(ひけつ)はどこにあるのか。「上から目線の発言が目立ち、野党にも挑発的」(政治ジャーナリスト)との声がある一方で、市議時代を知るある現職市議は「自分が落選した時に、党の違う私を心配する電話をくれた」と話す。萩生田氏には面倒見がよく人心掌握にたけた面があるようだ。

拉致問題通じ安倍氏と交友、支え続ける

 特に、安倍晋三首相の「最側近」と目されている。安倍首相との関係について、萩生田氏は、雑誌「正論」(19年7月号)の中で、「八王子市議の時、拉致問題を通じて縁ができた」としている。ジャーナリストの鈴木哲夫さんによると、「第1次安倍政権後、安倍首相の政治生命はもう終わりだとまで言われた。多くの人が離れる中、萩生田氏と稲田朋美氏の2人は、安倍さんのところに通って励まし、支え続けた」と明かす。第2次安倍内閣の発足後、終戦記念日には、靖国神社に自民党総裁として私費で玉串料を奉納する安倍首相の代理を何度か務めた。保守系雑誌では、たびたび安倍首相を擁護する論文などを寄稿。保守支持層の安倍支持をつなぎ留める役割を果たしたという。ある関係者は「萩生田氏は、安倍首相への近さと保守派の支持を取り付けることで、自分の存在感を出している」と明かす。

衆院文部科学委員会の冒頭、大学入学共通テストで導入される英語民間試験に関する自身の発言について陳謝する萩生田光一文部科学相=国会内で2019年10月30日午前9時、川田雅浩撮影

「事務所に教育勅語の大きな掛け軸」

 萩生田氏は、「誇りある国づくり」などを掲げる保守団体「日本会議」を支援する日本会議国会議員懇談会のメンバーの一人だ。教育勅語を重んじていることで知られ、前川喜平・元文科事務次官は自身のツイッターで「彼の議員会館の事務所には、教育勅語の大きな掛け軸が掛けてあった」と明らかにしている。大臣就任会見でも教育勅語について問われ、「内容について政府としてコメントするのは差し控えたい」としつつも、個人の意見として「親孝行だとか、友達を大切にするとか、日々の暮らしの中で一つ参考になることもある」と述べた。

 一方、失言は過去にも問題となっている。16年11月、都内のシンポジウムで野党の国会対応について「田舎プロレス。ある意味、茶番だ」などと発言。野党の反発を受けて、発言を撤回・陳謝した。

加計理事長、首相とバーベキューでも「指示ない」

 萩生田氏が、最も注目されたのは「加計学園問題」。安倍首相の友人の加計孝太郎氏が理事長を務める学園が、愛媛県今治市で獣医学部を新設する計画を巡り、首相官邸が何らかの働きかけをしたのではないかとされた問題だ。この問題では、17年に当時官房副長官だった、萩生田氏が文科省幹部とのやり取りを記録したとされる二つの文書「萩生田副長官ご発言概要」が見つかった。文書の中では、萩生田氏が、安倍首相の指示で文科省に対し、獣医学部の早期開学に向けた手続きを進めるよう迫っていたと読み取れる発言があり、連日、野党やマスコミが追及した。

 こうした問題について、萩生田氏は「首相からの指示も、文科省への指示もない」と否定。ただ、13年の萩生田氏のフェイスブックには、バーベキューをしている安倍首相と萩生田氏、加計理事長の3人が親しそうに談笑する写真が掲載されており、関係の深さをうかがせた。

「ブラックジョーク」と批判ある文科相就任

 そんな萩生田氏が、文科行政のトップに就任した。政治アナリストの伊藤惇夫さんは「加計問題の渦中の人が文科大臣になるなんて、ブラックジョークかと思った」と振り返る。その上で、今回の発言については、発言自体が格差を前提としたものであること▽文科相という立場での発言であること▽制度が変わる節目で受験生らが神経質になっている時期の発言だったこと――から、「『言って良いこと・悪いこと 言って良い人・悪い人 言って良い時・悪い時』という故田中角栄元首相の名言があるが、このすべてに反しているありえない発言だ。受験生全員に影響を与える問題だけに、安倍首相の任命責任が問われる」と批判した。

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