解散も改憲もできずアベの政治的命脈が尽きようとしている

安倍晋三首相の政治的命脈が尽きようとしていることについて、年季の入った永田町ウオッチャーたちの見方はほぼ一致している。自民党のベテラン秘書が言う。
「内閣改造から1カ月あまりのうちに2人の大臣が辞任するというのはもうすでに非常事態で、安倍が『任命責任は私にあります』と口先だけで言って謝罪もしないで済ませようというのは無理。これでもう1件何かが起きて、もう1人……となれば内閣総辞職にならざるを得ないだろう」と。
もうひと揺れあれば船が転覆する危険水域に突入しているということか。
「『安倍1強』と誰も言わなくなった。1強というのは、安倍が頂点にいて両辺を菅義偉官房長官と二階俊博幹事長が支えているという三角形が立った状態を指すが、今はそれが寝てしまって、フラットな立場で三者三様に駆け引きをしているから、バランスが悪く、ひっくり返りやすい」と、彼は分かりやすい解説をした。
「外的条件としては、3つの台風の被害が甚大で、まだ家にも戻れない人がたくさんいる時に、『政権浮揚』などという自己都合のためのお遊びのような解散・総選挙などやれば、国民が怒り出すでしょう。それでもやるという場合は、一応『改憲』とか言うのでしょうが、そもそも国民はそれを望んでいないどころか関心もない。内的条件としては、そもそも国会でまだ議論も始まっていないことについて何を問いかけるのか。与党の中を見ても、公明党は気乗りしないことを隠していないし、自民党の中でさえ安倍のインチキ改憲案への反発があるし、伊吹文明元衆院議長にいたっては『改憲は国会が発議するもので、首相がそれを理由に解散権を行使すること自体が違憲だ』とまで言っていて、安倍はすでに手も足も縛られた状態だ」と指摘する。
改憲もできない安倍は何のために政権を続けるのか。
前出の秘書は「もう名分がないから、なおさらもたない。来年の東京五輪が終わって、それから解散を打つとか改憲を発議するとかのエネルギーは残っていないだろうから、もったとしてもそこまでじゃないですか」と見通すのである。