桜を見る会 「ヒラ議員枠」は1議員4人 閣僚は「10~40人」枠
毎日新聞
「桜を見る会」の招待者に関し、菅義偉官房長官は13日の記者会見で、内閣官房が与党や首相官邸内から推薦を求めていたと明かした。自民党関係者への取材では、要職に就いていない「ヒラ議員」は1議員4人の「枠」がある一方、閣僚は「10~40人」の枠が用意されるなど役職の軽重で人数に差があった。事務所間で「枠」の貸し借りもあったという。
この実態について菅氏は会見で「慣行だったので、それが自然なことかなとずっと思っていた」と語った。参加人数が今年は1万8000人に膨らんだことへの「慣行」の影響を問われ、「数多くあることは事実だと思う」と認めた。自民幹部は「増えたのは長期政権だからだ。1回呼んだ人は『また来たい』となる。1年交代の政権ならこうはならない」と解説した。
閣僚経験者の秘書は「枠」を示された経緯を明かす。閣僚就任後に秘書から党本部に相談すると、「そちらの先生の『枠』は10人。招待したい人の住所・氏名を名簿にして幹事長室に送ってほしい」と言われ、ファクスで送信。後日、支援者らの自宅に招待状が届いたという。政府は招待者を「各界で功績、功労のあった方々」とするが、秘書は「功績、功労は全く聞かれなかった」とも証言した。
別の閣僚経験者は「『枠』は10~20(通分)だったと思う。1通で本人と配偶者を呼べるから、20~40人は呼べる」と説明した。
「ヒラ議員」の秘書は「貸し借り」もあったと話す。「来年は地元から100人招待するつもりだった。他の事務所の枠を確保するのが大変だったが、中止でホッとした」
別の秘書は、地元支援者の招待には旅行会社を使うと説明。「会社の企画の中で議員が登場する場面を作ってもらう。お金の出入りは旅行会社で、出納に事務所は関わらず、政治資金の問題にしないようにした」と話した。安倍晋三首相の支援者の「ツアー」も同様に企画されていたとみられるが、ある与党議員は「800人という規模はちょっと考えつかない。本来の趣旨に戻って、会を見直すべきだ」と指摘した。
国民民主党は13日、民主党政権下の2010年2月に、内閣官房と内閣府の連名で議員事務所に配布された資料を記者団に提供した。資料は「招待者の推薦名簿のご提出をお願いします」とし、別途メールで送付するエクセルファイルに氏名を記入して内閣府のアドレスに送り返す段取りが記載されていた。「各省庁には、原則として同一人物が連続して招待を受けることのないよう配慮を依頼しており、これを踏まえて推薦を」「国民から疑惑を持たれないよう十分考慮して」などの注意書きもあった。関係者によるとこの時も1議員の「枠」は4人だった。【吉井理記、大場伸也、村尾哲】